ツール・ド・フランス第14ステージ:容認された大逃げ、制したのはフライレ!アラフィリップが2位で山岳賞争いをリード、総合勢もゴール手前の急坂勝負で駆け引きでタイム差発生

総合勢にとっては、この日の問題はゴール手前の急坂勝負だけだった。その為この日は大逃げが容認され、多くのメンバーが逃げに乗りステージ勝利を目指した。グリーンジャージの世界チャンピオンのピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)はさらなる勝利を目指し、山岳賞ジャージのジュリアン・アラフィリップ(クイックステップ・フロアーズ)はステージ勝利と山岳ポイント確保を目指しこの大逃げに乗った。しかしこのステージを制したのはオマール・フライレ(アスタナ)、最後の上りで先行していたジャスパー・ストゥーヴェン(トレック・セガフレド)を捉えそのまま独走勝利で飾った。

©Tim D.Waele/Getty Images

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最大で31人の大逃げが発生したこのステージ、総合勢に影響がないメンバーが揃たっ為に集団はこれを容認、中盤でも一切の追走をすることなくタイム差はじわじわと開いていった。そうなると当然逃げ集団ではステージ優勝を目指したバトルが激しくなる。そして迎えたゴール手前最後の上り、先行するのは ストゥーヴェン、快調に独走を続ける。しかしそれに追いすがったのがフライレだった。フライレはその差をぐんぐんと縮めていく中、さらに遅れてアラフィリップが追走を仕掛ける。
フライレは ストゥーヴェンに追いつくとそのまま一気に突き放し独走態勢へと持ち込む。しかしアラフィリップはその背後に迫っている。ただ見た目の距離以上にタイム差があるのが上り、目の前に見えている背中が遠いのだ。アラフィリップは何とか歯を食いしばりながら何度となくダンシングで加速、頂上手前でようやくストゥーヴェンに追いつくが、下りでのことを考えてストゥーヴェンとの並走を選択する。

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頂上からゴールまでは僅か、ストゥーヴェンの加速は素晴らしかったが、一度先に行かれたフライレの背中は遠すぎた。フライレが最後はジャージの前をきっちりと締め、スポンサーロゴを指さしながらゴールした。2位争いはアラフィリップが制し、ストゥーヴェンは3位に終わった。さらにそのすぐ背後の4位争いも激化、最後は1ポイントでも多く獲得を狙うサガンがスプリント力を見せつけゴールした。

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「夢のようだよ。この勝利をどれだけ夢見てきたか!チームにとってもこの勝利は大きいし、最高の気分だよ!最後の上りは向かい風で難しかったんだけど、無理して追うと言うよりは、マイペースで上り続けたよ。今日の上りを知っていたのも勝因だね。あとは脚が最高に廻っていたからね。」フライレは満足げに語った。
そして集団の背後では総合勢のバトルが最後の上りで勃発、この日もロメイン・バルデ(AG2R)らが仕掛ける。しかし最後に飛び出しに成功したのは総合4位のプリモズ・ログリッチ(ロットNLジャンボ)、そのまま総合トップ3とわずかながらタイム差をキープしてのゴールを果たした。
トム・デュムラン(チームサンウェブ)はここでもマイペース、ライバルたちの仕掛けをやり過ごした後に満を持して動くが、総合リーダーのゲラント・トーマスとクリス・フルームのチームスカイのツートップを引き離すことはできなかった。
ナイロ・キンターナ、ミケル・ランダ、アレハンドロ・バルベルデのモビスタートリオはこの日もトップ3についていくことはできずに微妙にタイムロス、仕掛けを見せ続けるバルデもタイムを失うなど、徐々にトップ3と総合勢のタイム差は広がりつつある。

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「僕はレースが大好きだからね。だから行けるかも?と思ったらとりあえずやってみるんだよ。スカイだってあれだけの走りができるんだよ、当然僕だってできるはずだろ。まあチーム力のおかげで向こうのほうが余力は残していると思うけど、でもそれでもこうして結果としてタイム差を稼ぎ出せたからね。たった8秒、されど8秒だよ。あとは日々集中してまた狙うよ」~ログリッチ
「ステージ勝利を挙げた以外は、この大会は悪夢続きだよ。(残り5kmでパンクし、遅れた)」~ダニエル・マーティン(UAEチームエミレーツ)
「ようやく自身のペースが上がってきたよ。タイムロスも最低限に抑えられたしね。」~キンターナ
「今日は誰が逃げに乗るかの確認が仕事だったよ。それで容認するかどうかだからね。あとはデュムランをマークしておけばOK.それがベストだったね。」~Gトーマス
「今日は正直逃げは退屈だったよ。どうせどこかで振り切られると思っていたからね。でも最後まで行ったらなんとなくまだできそうだったから最後まで苦しんでみることにしたんだよ。」~サガン

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ツール・ド・フランス第14ステージ
1位 オマール・フライレ(アスタナ) 4h41’57”
2位 ジュリアン・アラフィリップ(エティックス・クイックステップ) +06”
3位 ジャスパー・ストゥーヴェン(トレック・セガフレド)
4位 ピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ) +12”
5位 ダミアーノ・カルーソ(BMC) +17”
6位 サイモン・ゲシュケ(チームサンウェブ) +19”
7位 ニコラス・エデ(コフィディス・ソルーションクレジッツ)
8位 リリアン・カルメジャーネダイレクトエナジー +23”
9位 ダリル・イムペイ(ミッチェルトン・スコット) +30”
10位 トーマス・デ・ヘント(ロット・ソウダル) +37”
ツール・ド・フランス総合順位
1位 ゲラント・トーマス(チームスカイ) 58h10’44”
2位 クリス・フルーム(チームスカイ) +1’39”
3位 トム・デュムラン(チームサンウェブ) +1’50”
4位 プリモズ・ログリッチ(ロットNLジャンボ) +2’38”
5位 ロメイン・バルデ(AG2R) +3’21”
6位 ミケル・ランダ(モビスター) +3’42”
7位 スティーブン・クライズワイク(ロットNLジャンボ) +3’57”
8位 ナイロ・キンターナ(モビスター) +4’23”
9位 ダニエル・マーティン(UAEチームエミレーツ) +6’14”
10位 ヤコブ・フグルサング(アスタナ) +6’54”
H.Moulinette