ツール・ド・フランス第6ステージ:クラシックのようなステージを制したのはクラシックスペシャリストD.マーティン!残り5km強でメカトラのバルデとデュムランがまさかのタイムロス!

クラシックステージのようなステージ連戦となったツール・ド・フランス第6ステージ、逆転でのマイヨ・ジョーヌ獲得を狙うクイックステップ・フロアーズのチーム力が大きく中盤を左右した。しかしレース最後に笑ったのは、クラシックで何度となく勝利を挙げているダニエル・マーティン(UAEチームエミレーツ)だった。そして総合勢の命運も大きく分かれることとなった。

©Tim D.Waele/Getty Images
残り5.5km、勝負どころのミュール・デ・ブルターニュの犠牲になったのはトム・デュムラン(チームサンウェブ)とロメイン・バルデ(AG2R)だった。メカトラで後れを取った二人を置き去りにしてレースはそのままさらにハイスピードなサバイバルとなる。そして残り1.5kmでペースアップをしたリッチー・ポート(BMC)に対応したDマーティンが残り1.2kmで多くの選手を出し抜く形で飛び出す。

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ポートやアダム・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)、さらにはゲラント・トーマス(チームスカイ)がペースアップを図りDマーティンを捉えにかかるが、Dマーティンの加速は抜群だった。さらには誰が主導権を握って追走するかで顔を見合わせる面々に対してピエール・ラトゥール(AG2R)が単独で追走アタック、その差を縮めていく。それでも最後までペースを緩めることなく走りぬいたDマーティンはそのまま鮮やかに勝利を飾って見せた。

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「いや~、こうして久しぶりにツールで勝利するのは最高の気分だね。何度も2位はあったんだけど、なかなか勝てなかったからね。正直勝てるという確信はなかったんだよ。ペースが上がって、気が付けば僕はアシストがいなかったから、”だったらもう行っちゃえ”って思ったんだよ。アドレナリン出まくりで、とにかく脚が回っていたからね」Dマーティンは笑顔で語った。
ステージ2位にはラトゥールが1秒差で入り、さらにそれを追ってきた14人の集団の先頭を取ったアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)が3位となった。バルベルデは徐々に順位を上げてきており、これで総合でも8位まで順位を上げてきた。ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)、Aイェーツ、Gトーマス、ポートらはこの集団でゴールし、総合順位を保っている。

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この集団に僅かながら遅れたのがクリス・フルーム(チームスカイ)、終盤のクラシックレベルでのペースについていけすにタイムを失うこととなった。さらにはリゴベルト・ウラン(EFエデュケーション・ファーストドラパック)もタイムを失う形となった。またバルデとデュムランはお互いに接触、結果的にメカトラとなり、バルデはチームメイトのバイクでゴール、デュムランはその後の向かい風で苦しみタイムを大きく失い、ここまでチームTTなどで得ていたタイムアドバンテージを一気に吐き出す形となり、総合ではフルームと同タイムとなってしまった。
総合リーダーのグレッグ・ヴァン・アーヴェルマート(BMC)はこの日もマイヨ・ジョーヌをきっちりとキープし、Gトーマスが順位を上げ総合2位にとなっている。

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この日のレースは中盤でクイックステップ・フロアーズが得意の横風分断作戦を決行、これにより多くの選手が分断され、集団復帰に大きく労力を要する形となった。その後も各チームが積極的にライバルたちを削る動きを繰り返し、このステージはまさにサバイバルステージと化した。その攻撃をやり過ごし、単独となりながらも勝負所を見極め積極的に動いたDマーティンはあっぱれと言うほかないだろう。
「誰も教えてくれなかったからうちのエース(バルデ)のトラブルには全く気付かなかったよ。」~ラトゥール
「デュムランのバッドラックは、僕らのグッドラックだよ。」~Gトーマス
「バルデを避けられなかったんだよ。それで突っ込んでスポークが折れてしまったんだ。あのタイミングだったから、もう後はいかにダメージを最低限にとどめるかしかなかったよ。」~デュムラン
「第2週、第3週にピークを持っていくのが僕のやり方だよ。」~フルーム
「今日はライバルチームを粉砕して勝利を狙ったんだけど、思ったような結末にならなかったね。また狙っていくよ。」~ジルベール

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ツール・ド・フランス第6ステージ
1位 ダニエル・マーティン(UAEチームエミレーツ) 4h13’43”
2位 ピエール・ラトゥール(AG2R) +01”
3位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +03”
4位 ジュリアン・アラフィリップ(クイックステップ・フロアーズ)
5位 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ)
6位 アダム・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)
7位 バウク・モレンマ(トレック・セガフレド)
8位 ピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)
9位 ゲラント・トーマス(チームスカイ)
10位 プリモズ・ログリッチ(ロットNLジャンボ)
ツール・ド・フランス総合順位
1位 グレッグ・ヴァン・アーヴェルマート(BMC) 22h35’46”
2位 ゲラント・トーマス(チームスカイ) +03”
3位 ティージェイ・ヴァン・ガーデレン(BMC) +05”
4位 ジュリアン・アラフィリップ(クイックステップ・フロアーズ) +06”
5位 フィリップ・ジルベール(クイックステップ・フロアーズ) +12”
6位 ボブ・ユンゲルス(クイックステップ・フロアーズ) +18”
7位 リゴベルト・ウラン(EFエデュケーション・ファーストドラパック) +45”
8位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +51”
9位 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ) +52”
10位 ヤコブ・フグルサング(アスタナ) +53”
H.Moulinette