UCIシクロクロス第4戦 ボヘンセ:強すぎるファン・デル・ポエル、UCIシリーズは全戦全勝の4連勝!世界チャンピオンのファン・アートは上り調子も全く歯が立たず
シクロクロスは、最強の鉄人と呼ばれたスヴェン・ネイスが引退したあと、完全に2強の時代となっていた。20台前半の二人のバトルがどこまで続くのかと思われたが、今シーズンはその二人の明暗がくっきりと別れている。マシュー・ファン・デル・ポエル(ベオバンク・コレンドン)は今シーズンここまで絶好調、ベルギー国内戦、ヨーロッパシリーズ、そしてUCI世界選手権シリーズの全てで勝利を量産、特にUCI戦ではこの第4戦も制して4戦4勝、圧倒的なパフォーマンスで余裕の勝利を飾った。
対して2度の世界チャンピオンになるなど大舞台での強さを見せているワウト・ファン・アート(クレラン・チャールス)だが、ここ数シーズンロードと並行して一年を通してレースをしているせいか、シクロクロスシーズンが開幕しても疲れのせいか調子が上がってきておらず、常にファン・デル・ポエルの背中を見ながらのレースが続いている。
「正直日差しがないせいで路面状況が読み取りにくかったんだよ。練習のときに比べてだいぶコンディションが変化していたんで、だからリズムよく走るまでに時間がかかったよ。」圧勝していながらもこの冷静な発言が、いかにファン・デル・ポエルが好調かの証だ。「練習で以前手術した膝を痛めてしまったけど、本番のレースではなんともなかったよ。」若干22歳とは思えない貫禄がすでに漂っており、ロード転向も噂されているだけに多くの関係者が注目している。
スタート直後からファン・デル・ポエルの走りは圧巻だった。今シーズン好調な小さな巨人、ラース・ファン・デル・ハール(テレネット・フィデア・ライオンズ)をあっさりとパス、一度はミスをしてファン・アールトとファン・デル・ハールに追いつかれるが、2周回目に再びアタック、するとついて行けたのはヨーロッパチャンピオンのトゥーン・アールツ(テレネット・フィデア・ライオンズ)だけだった。
2トップとなった先頭はそのまま快調にとばすなか、その背後ではファン・アートが単独3位で猛追を仕掛ける。強風の影響をモロに受けたのが小柄なファン・デル・ハール、それでもしっかりと4位の座を守り続けた。
優勝い争いは一瞬だった。アールツが泥まみれのバイクの交換にピットに入り数秒を失うと、その間にファン・デル・ポエルは一気に加速、そこでついた数メートルの差が勝負の分かれ目となったそのままアールツをお置き去りにしたのだ。そして背後からはファン・アートとがこのアールツを徐々に追い詰めていく。
独走で優勝を決めたファン・デル・ポエルの後ろで、2位争いはスプリント勝負に持ち込まれ、ファン・アートが意地の2位獲得、アールツはは2強には屈したが、それでもヨーロッパチャンピオンになった実力がこの二人に次ぐものであることを証明してみせた。
「バイク交換が失敗だったかもしれない。あそこまでは必死について行ったんだけど、その数メートルで勝負がついてしまった。一度離れた距離はもう詰められなかったよ。」アールツは悔しそうな表情を見せた。
「アールツと僕は同じくらいのコンディションだったけど、ファン・デル・ポエルがただ強すぎるんだよ。現状の僕らのままでは今の彼には勝てないよ。」世界チャンピオンのアルカンシエルを着用するファン・アートは力量の差を素直に認めた。
これで総合ランキングではファン・デル・ポエルが大きく独走、年間チャンピオンへ向け順調に帆を進めている。
UCIシクロクロス第4戦 ボヘンセ
1位 マシュー・ファン・デル・ポエル(ベオバンク・コレンドン) 1h02’58”
2位 ワウト・ファン・アート(クレラン・チャールス) +08”
3位 トゥーン・アールツ(テレネット・フィデア・ライオンズ) +09”
4位 ラース・ファン・デル・ハール(テレネット・フィデア・ライオンズ) +47”
5位 ティム・メリエール(クレラン・チャールス) +1’21”
6位 コーン・ファン・ケッセル(テレネット・フィデア・ライオンズ) +1’28”
7位 ローレンス・スウィーク(ERAサーカス) +1’48”
8位 クインテン・ヘルマンス(テレネット・フィデア・ライオンズ) +1’52”
9位 ミカエル・ファントゥーレンハウト(マーラックス・ナポレオンゲームス) +2’05”
10位 ケヴィン・パウエルス(マーラックス・ナポレオンゲームス) +2’06”
H.Moulinette