ドワース・ドア・フランデーレン:ランパートが逃げ集団内で巧みな駆け引きから一発でアタックを決め大会連覇!またしてくクイックステップ・フロアーズが勝利でこれでシーズンロード20勝目到達!
個性派集団はいったい何枚のカードを持っているのだろう。この日もニキ・テルプストラ、ゼネク・スティバー、イブ・ランパート(クイックステップ・フロアーズ)の3枚で終盤の勝負所に挑むと、昨年度はフィリップ・ジルベール(クイックステップ・フロアーズ)のアシストをしながらも、ライバルたちの裏をかく作戦で勝利を奪い去ったランパートが今年は自ら勝利を奪い去った。
あまりにも鮮やかだった。土砂降りの雨が選手たちを打ち付ける残り25㎞、先行していたティス・ベノート(ロット・ソウダル)らを吸収し一つになっていた先頭集団から飛び出したのは、セップ・ファンマルケ(EFエデュケーション・ファーストドラパックp/bキャノンデール)、ランパート、マイク・テウニッセン(サンウェブ)、エドヴァルド・ボアッソン・ハーゲン(ディメンション・データ)、そしてマッズ・ペデルセン(トレック・セガフレド)だった。
この逃げに乗れなかったメンバー、グレッグ・ヴァン・アーヴェルマート(BMC)、ジャンニ・モスコン(チームスカイ)、アレハンドロ・バルベルデ(モビスター)らが必死に追うが、テルプストラとスティバーの二人がその追走に対するアンカー(錨)となり、追走のペースを上げさせない役割に徹する。それにより先頭の5人とのタイム差は40秒弱で推移、近くて遠い背中に最後まで追いつくことができなかった。
逃げ切りが確定的となったメンバーは後続との距離を確認しながら駆け引きを始める。5人は順に仕掛けていくが、そのアタックも決まらない。しかし残り850m、ライバル4人が足を緩めた瞬間をランパートは見逃さなかった。一気に加速をすると残り4人は誰も動かず勝負あり、ランパートはそのまま独走でゴールラインでガッツポーズを決めた。2位争いはテウニッセンが制し、クラシックハンターのファンマルケは3位に終わった。
「最高の勝利だよ。これで今大会2勝目でテルプストラや往年の名選手ヨハン・ムセウに並んだけど、僕はまだまだ彼らのような域には達していないよ。でもワールドツアーで勝利したのは紛れもない事実だからね。だから心底嬉しいよ!」このランパートの勝利でクイックステップ・フロアーズは早くもロードレースでシーズン20勝目、そして合計で10人もの異なる選手が勝利を挙げたこととなった。
「これでフランダースでは僕、スティバー、テルプストラ、ジルベールの4人で勝負できるね。誰が勝つかが重要なのではなくて、チームのだれかが勝てればそれでいいんだよ。防御にまわるのではなく常に積極的に攻撃を仕掛ける事を意識していくよ。」ランパートの言葉からも、このチームの攻撃パターンの多さという強みを改めて感じた。
この日の悪天候は選手たちが動き出すまでにしばしの時間を要した。レースがようやく動いたのは中盤、ルーク・ロウ(チームスカイ)がアタックを決める。しかしこれには誰も反応せずに、ロウはその後30㎞程独走を余儀なくされた。その後残り65㎞からはクイックステップ・フロアーズとBMCが動き出す。このペースアップで多くの選手が削られ、人数はどんどん減っていき、さらに残り25㎞ではファンマルケの積極的な動きで5人に絞られる。
ヴァン・アーヴェルマートは脚がありながらもタイミングを逸し、この日も追走を余儀なくされる。無冠の帝王を返上し2016年にはオリンピック金メダリストとなり、さらに飛躍の2017年度には大暴れをして勝利を量産した。しかしそのことからライバルチームのマークが厳しくなり、今シーズンはここまでステージレースでのステージ勝利のみで、大きなタイトルではなかなか勝負に絡めていない。絶対的エースに勝利を託すBMCに対し調子のいい選手が勝利を狙うクイックステップ・フロアーズ、対照的なチーム戦術の差が出た大会となった。
ドワース・ドア・フランデーレン
優勝 イブ・ランパート(クイックステップ・フロアーズ) 4h09’40”
2位 マイク・テウニッセン(チームサンウェブ) +02”
3位 セップ・ファンマルケ(EFエデュケーション・ファーストドラパック)
4位 エドヴァルド・ボアッソン・ハーゲン(ディメンション・データ)
5位 マッズ・ペデルセン(トレック・セガフレド)
6位 ゼネク・スティバー(クイックステップ・フロアーズ) +29”
7位 ティス・ベノート(ロット・ソウダル) +39”
8位 グレッグ・ヴァン・アーヴェルマート(BMC) +59”
9位 ニキ・テルプストラ(クイックステップ・フロアーズ)
10位 ジャスパー・ストゥーヴェン(トレック・セガフレド)
H.Moulinette