ティレーノ・アドリアティコ第3&4ステージ:元スキージャンパーのログリッチが第3ステージで飛翔!G.トーマスは総合首位獲得も第4ステージでメカトラに泣く、第4ステージはランダ!
ドラマチックな展開というのは常に用意されているものだ。ティレーノ・アドリアティコでもそれは変わらない。第3、第4ステージと連続する何ステージ、そこにはやはり魔物も潜んでおり、その結果にそれぞれが一喜一憂することとなった。第3ステージでは元スキージャンプジュニア金メダリストのプリモズ・ログリッチ(ロットNLジャンボ)がその才能の一端をさらに見せつける独走勝利、さらには第4ステージでは新天地移籍でグランツールエースを担う予定のミケル・ランダ(モビスター)が力強い走りでグランツールでライバルになるであろうアダム・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)らを撃破し勝利を手にした。
第3ステージ
20歳を超えて本格的に競技を始めたとは思えない上昇カーブをこの男は見せている。スキージャンプで世界選手権金メダルを取りながらもそこから伸び悩み、気分転換にと始めた自転車で一気に頭角を現した男は、今やレース界にその名をとどろかせる強豪選手となった。
第3ステージ後半、勝負所で集団先頭には各チームのエースクラスが顔を揃えた。それぞれが牽制する中で、ちゅうちょなくアタックを決めたのはログリッチだった。一気に後続との差を広げていくと、独走でフラムルージュ(残り1㎞地点)を通過、勾配がきつくなってもそのままペースは衰えることなくガッツポーズで勝利を祝った。
「昨日落車のせいでタイムを失ったし、総合はもう希望がないから、ステージ勝利狙いに切り替えたんだよ。最後まで待ったら勝てないのはわかっていたんだよ。だから早目に仕掛けたんだ。限界まで踏み続けたからね。」ログリッチは気持ちを切り替えての勝利だった。
このステージではチームスカイが動きを見せた。ゲラント・トーマスが総合首位となり、クリス・フルームが総合3位、そしてミカル・クウィアトコウスキーが総合5位とチーム力をいかんなく見せつけた。「正直総合リーダージャージは予定外だったよ。でもうちのチームは強いからね。今日はできるだけ多く最終局面まで選手を送り込むことだったんだよ。」逆境のチームスカイだが、やはり強さは変わらない。
そんな第3ステージでは初山翔(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)が逃げを敢行、山岳ポイントを獲得している。
ティレーノ・アドリアティコ第3ステージ
1位 プリモズ・ログリッチ(ロットNLジャンボ) 6h17’23”
2位 アダム・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) +03”
3位 ティス・ベノート(ロット・ソウダル) +06”
4位 ゲラント・トーマス(チームスカイ) +07”
5位 リゴベルト・ウラン(EFエデュケーション・ファーストドラパックp/bキャノンデール) +10”
ティレーノ・アドリアティコ総合順位
1位 ゲラント・トーマス(チームスカイ) 10h52’22”
2位 グレッグ・ヴァン・アーヴェルマート(BMC)
3位 クリス・フルーム(チームスカイ) +03”
4位 ダミアーノ・カルーソ(BMC) +08”
5位 ミカル・クウィアトコウスキー(チームスカイ) +09”
第4ステージ
頂上ゴールが壮絶なバトルを予感させたこのステージは、その通りサバイバルとなる。序盤にはジロ・デ・イタリア連覇へ向け準備を整えていたトム・デュムラン(チームサンウェブ)が落車リタイアとなる。そしてステージ勝利のみならず、総合を狙うバトルが勃発する。各チームエースクラスが控える中で、窮地のアスタナはここでも積極的な動きを見せる。ミゲル・アンヘル・ロペスがうごくと、新天地移籍のファビオ・アルー(UAEチームエミレーツ)とクウィアトコウスキーらが動く。さらには残り3.5㎞でラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ)が飛び出していくと、勝負は加速する。
ここでランダが動くと、レースは一気にペースアップし、サバイバル状態となる。フルームが遅れる中、チームスカイのエースであるGトーマスだったが、残り1㎞でまさかのメカトラブルによるチェーン脱落、普段は冷静沈着な男が思わず放送禁止用語を口にする保護激怒、何とかバイク交換をしたがタイムを失い、総合リーダージャージをダミアーノ・カルーソ(BMC)へと明け渡す結果となった。
ランダはマイカにサム・ベネット(ロットNLジャンボ)とともに合流すると、ゴール前でアタックを決め余裕の表情でステージ優勝を上げた。これで総合でも4位へとジャンプアップを果たした。「スカイが人数を残していたからね。だからロペスのアタックには反応せずに待ったんだよ。新チームで結果が残せたのは嬉しいよ。いい形で今シーズンが送れそうだよ。」ランダは笑顔だった。
ティレーノ・アドリアティコ第4ステージ
1位 ミケル・ランダ(モビスター) 6h22’13”
2位 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ)
3位 ジョージ・ベネット(ロットNLジャンボ)
4位 ファビオ・アルー(UAEチームエミレーツ) +06”
5位 ベン・ヘルマンス(イスラエル・サイクリングアカデミー)
ティレーノ・アドリアティコ総合順位
1位 ダミアーノ・カルーソ(BMC) 17h14’49”
2位 ミカル・クウィアトコウスキー(チームスカイ) +01”
3位 ウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ) +11”
4位 ミケル・ランダ(モビスター) +20”
5位 ゲラント・トーマス(チームスカイ) +26”
H.Moulinette