ピーター・サガンが早くも通算100勝到達!勝利量産の現役世界チャンピオンはどこまで強くなる?

通算100勝といえば、やはりスプリンターが達成しやすい記録だが、それでも年間の出場レース数を考えれば、やはりそこに到達できる人間はほんの一握りに限られる。最近ではトム・ボーネン(クイックステップ・フロアーズ)とアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)が100勝を達成したが、バルベルデはグランツールレーサー、ステージレーサー、クラシックレーサーとしての勝利数であり、その価値は比較にはならない。しかし同じスプリンターで一時期は最強と呼ばれたボーネンでさえ100勝に到達するには相当な時間がかかったにも関わらず、世代最強の2年連続世界チャンピオン、ピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)は27歳にして早くも通算100勝に到達してしまった。
サガンも純粋なスプリンターかと言われれば、特質系の選手であり、スプリントもこなせるし、クラシックレースでも活躍でき、また中級山岳ぐらいであればこなしてしまうが、やはり圧倒的にそのスプリント力の評価が高く、純粋なスプリンターを相手に力でねじ伏せてしまうのだ。

『早くも通算100勝、どこまでそのその勝利数を伸ばし続けるか ©Tim D.Waele 』
そんなサガンが北米カナダで行われたGP・デ・ケベックで圧倒的な強さを見せた。今シーズン絶好調のグレッグ・ヴァン・アーヴェルマート(BMC)、マイケル・マシューズ(チームサンウェブ)を相手に完全な横綱相撲を見せたサガン、クリス・フルームがダブルツールを達成し世界最強となったた地球の裏側で、もうひとりの最強の男も記録に名を残した。
今までアルカンシエル、世界チャンピオンジャージを来たものはシーズン中勝てないというジンクスがあった。実際多くの世界チャンピオンが苦しむ中で、サガンは初めて世界チャンピオンジャージを獲得した年の序盤こそ多くの2位を獲得し”アルカンシエルの呪い”に苦しんでいるかに思われたが、一度勝利の感覚を思い出した途端に勝利を量産、そして2度目の世界チャンピオンを獲得すると、その勢いのままにさらに勝利数は増え続け、そしてあっという間に100勝へと到達してしまった。

『サガンは勝つべくして勝てる数少ない選手だ ©Tim D.Waele 』
サガンの凄さは勝利への嗅覚の鋭さと、そのスプリント能力だけではない。何よりも怪我をしない体がその勝利量産に大きく貢献している。落車をしないわけではないが、落車を避ける嗅覚も抜群であり、またMTBで培ったボディーバランスで危険な状況でも難を逃れるシーンが多い。落車した選手の上をバニーホップで飛び越えるなどという芸当ができるのも、サガンの能力があってこそといえるだろう。
果たして現役を終えるまでにどこまでその勝利数を積み上げるのか、サガン最強伝説はいつまで続くのか、この男からこれからも目が離せない。
H.Moulinette