ブエルタ・ア・エスパーニャ第14ステージ:マイカが逃げから単独頂上超級制覇!総合勢はサバイバルに!フルーム安泰もチャベス総合で順位落としケルデルマンが総合3位に
ついに始まった頂上山岳バトル、超級山岳でゴールを迎える第14ステージは総合勢にとっては避けては通れない試練の場となった。そんなステージを制したのは本来その総合争い候補であったはずのラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ)、逃げ集団から飛び出し、後続の総合集団にただ1人追いつかれること無く最後は独走でステージ優勝を決めた。
この日10人から始まった逃げは最大で7分差にまでタイム差を広げたが、そこから一人、また一人と脱落していった。元世界チャンピオンのルイ・コスタ(UAEチームエミレーツ)も最後まで粘ったが遅れていく。だがマイカのペースは最後まで軽快だった。超級山岳ゴールの上りはじめ、残り14kmの時点で2分差は普通の選手であれば間違いなく逃げ切り困難なタイム差、しかし総合上位候補にも挙げられていた男、ツール・ド・フランスで山岳賞を獲得した男からすれば、このタイム差は逃げ切るには十分だった。
後続とのタイム差が一時は詰まるかに思われたが、結局そのタイム差は僅かに縮んでいくだけ。マイカは無理することなく自分のペースで上り続け、最後は余裕でガッツポーズを決めた。今大会早々と総合争いから脱落した男だが、きっちりとステージ優勝という結果をチームにもたらしてみせた。
「とにかく嬉しいよ。チームにとっても僕にとってもとても重要な勝利だよ。ブエルタ序盤からチーム全員がお腹を壊して苦しみ、僅か2~3日で僕の総合の夢は潰えてしまったでもそれでも気持ちを切り替えて諦めないことにしたんだよ。チームとしてはここまで表彰台はあったけど、ようやく勝利できてホッとしているよ。できればもう1勝狙っていきたいね。」笑顔のポーリッシュクライマーはようやく安堵の表情を見せた。
その背後では総合勢によるバトルが行われ、激しい駆け引きの応酬が行われた。まず動いたのはロメイン・バルデ(AG2R)だった。そしてそれにすかさずリチャード・カラパス(モビスター)が反応、さらにアルベルト・コンタドール(トレック・セガフレド)が合流する。さらにここへヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)が合流を果たす。するとバルデは脱落、ニバリとコンタドールがさらにペースを上げるとチャベスも脱落し、ニーバリとコンタドールの二人が総合系集団を先行する形となる。
フルームはまだこの段階でチームメイトのワウト・ポエルス(チームスカイ)がサポートしており、自分の間合いとペースを崩すことはない。しかしポエルズが外れると一気にペースを上げ、ニーバリとコンタドールに追いついてしまう。それに乗じてミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ)がアタック、しかしこれは一度は吸収されてしまう。そして集団の人数が増えたことでペースが落ち、ここでウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ)、イルヌール・ザッカリン(カチューシャ)それにチャベスが追いついてくる。そのさらに後方でファビオ・アルー(アスタナ)も粘りの走りを見せるが、先行しているチームメイトのロペスのようなキレがない。
そして残り2kmでケルデルマンがアタックすると、それに乗じてロペスが素晴らしい切れ味のアタックでライバルたちを一気に置き去りにする。総合10位のロペスの走りはそもまま衰えること無く、マイカに次ぐステージ2位を獲得した。
チャベスはせっかく合流を果たすもまたしても脱落、そしてコンタドールもゴール前で力尽きニーバリやフルームらに僅かに遅れを取った。しかし総合順位で大きく脱落したものはなく、僅差の3位から8位でのシャッフルとなった。
「今日は動くつもりがなかったんだ。だからポエルスのアシストで一定ペースの方がいいと判断したんだよ。明日の第15ステージが本当にきつい、その為脚を少しでも温存していたんだ。」フルームのコメントには王者の余裕が漂っていた。
対してニーバリは「早めにアシストを削いでしまえば、直接対決ならフルームに勝てる。」と口にしており、明日以降の山岳ステージではチーム力の対決となりそうだ。
ブエルタ・ア・エスパーニャ第14ステージ
1位 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ) 4h42’10”
2位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ) +27”
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ) +31”
4位 クリス・フルーム(チームスカイ)
5位 イルヌール・ザッカリン(カチューシャ・アルペシン)
6位 ウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ)
7位 アルベルト・コンタドール(トレック・セガフレド) +37”
8位 ワウト・ポエルス(チームスカイ) +46”
9位 エステバン・チャベス(オリカ・スコット) +57”
10位 ファビオ・アルー(アスタナ) +1’03”
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 クリス・フルーム(チームスカイ) 58h30’47”
2位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ) +55”
3位 ウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ) +2’17”
4位 イルヌール・ザッカリン(カチューシャ・アルペシン) +2’25”
5位 エステバン・チャベス(オリカ・スコット) +2’39”
6位 ファビオ・アルー(アスタナ) +3’09”
7位 ダビ・デ・ラ・クルス(クイックステップ・フロアーズ) +3’11”
8位 アルベルト・コンタドール(トレック・セガフレド) +3’19”
9位 マイケル・ウッズ(キャノンデール・ドラパック) +3’23”
10位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ) +3’48”
H.Moulinette