ブエルタ・ア・エスパーニャ第12st:ポガチャルに続くスロヴェニアの新星降臨!20歳のオムルツェルが逃げから山頂独走勝利で総合6位に!マスはガルとログリッチに対しタイムを稼ぐ

©ASO
今年はすでにマシュー・ブレナン(ヴィズマ・リースアバイク)が3勝を挙げ今大会の新星としてその名を上げたが、この第12ステージでも新たな若手の新星が現れた。絶対王者のタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG)や総合4度のブエルタ総合優勝のプリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラハンスグロエ)を育んだスロヴェニアが、新たな未来の王者を登場させたかもしれない。ヤコブ・オムルツェル(バーレーン・ヴィクトリアス)は昨日迄総合10位につけていたが、このステージで逃げに乗り、さらにそこから頂上ゴールへ向け逃げ続けると、ライバルたちをことごとく自力で置き去りにし独走態勢へと持ち込んでみせた。後続の総合優勝争いを繰り広げる一団とのタイム差も大きく縮まることはない素晴らしい走りで、史上2番目の若さのブエルタ・エスパーニャステージ優勝を成し遂げた。これはポガチャルを超える記録でもあり、スロヴェニア人選手最年少優勝となった。これで一気に総合でも6位となり、新人賞争いでもオスカル・オンリー(ネットカンパニー・イネオス)に次ぐ順位、タイム差も僅か30秒ほどまで肉薄してきた。
このレースが動いたのは最後の上りに入ってからだった。この日の逃げはアタックと吸収を繰り返しながら、各チーム複数名の選手を送り込んでいる。また後続の総合優勝争いに絡め、デカスロンCMA・CGMやモビスターは意図的に逃げに選手を送り込み、最終局面でのアシストを目論んでいた。だからこそそこに隙ができた。自らがチームでの総合トップでもあるオムルツェルは、山岳賞ジャージを着用するチームメイトのサンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン・ヴィクトリアス)のアシストを受け走り続けると、ゴールまでの登坂区間で遂にすべての選手を自らのペースアップのみで振り千切り残り11.6㎞で独走態勢へと持ち込む。

©ASO
その背後では残り15㎞でCMA・CGMが猛烈なペースアップを図ると、まずはセップ・クス(ヴィズマ・リースアバイク)とマティアス・スケルモース(リドル・トレック)がその犠牲となる。最後のグレゴール・ミュールベルガー(デカスロンCMA・CGM)が残り13㎞までさらに牽引すると、ついにガルが先頭で攻撃態勢に出る。これにより総合リーダーのエンリック・マス(モビスター)、総合2位のログリッチ、そして総合3位のガル、さらには総合4位のオスカル・オンリー(ネットカンパニー・イネオス)と5位のリチャード・カラパズ(EFエデュケーション・イージーポスト))がそれを追随するという直接対決となる。先頭からおよそ4分後方で勃発した直接対決だったが、残り11㎞で展開が大きく動く。なんとマスがアタックを決め、そのままログリッチとガルを置き去りにしてしまう。
ガルは圧倒的な爆発力を出すタイプではないため、この動きには対応できず、またログリッチも今後の個人TTでの逆転も視野に入れており、ここはガルの様子をうかがう走りで追走に加わらない。するとここで先頭のマスに逃げていたチームメイトが合流、さらにペースアップを図る。その背後では結局ガルは一度は離れていったアシストのミュールベルガーと合流、この際カラパズも合流を果たすと、さらにデカスロンCMA・CGMとレッドブル・ボーラハンスグロエの逃げに乗っていた1名ずつが合流し、マスへの猛追を仕掛けるが、それでもその40秒ほどの差はほとんど縮まらない。

©ASO
残り4.5㎞からはマスが単独となりひたすらにゴールを目指すこととなったが、それでも後方の追走との差はなかなか縮まらなかった。オムルツェルが先頭で大きくガッツポーズを決めてから2分56秒後にマスはゴール、そしてガル、ログリッチ、カラパズはさらに27秒遅れてゴールとなった。致命的ではないにせよ、マスの後塵を拝した形となった総合上位勢、攻めの姿勢を見せるマスをどのようにして追い詰めていくのか、今後さらなる混戦が予想される。

©ASO
そんな第12ステージは逃げに乗ったワウト・ファン・アールト(ヴィズマ・リースアバイク)とブイトラゴが激しく山岳ポイントを奪い合う展開となる。ポガチャルがいたときは可能性が薄かったが、そのリタイアにより総合上位勢は山岳ステージでの逃げを許す傾向が顕著となり、山岳賞ジャージ争いのチャンスが生まれたことで、ポイント賞ジャージも狙うファン・アールトが山岳賞ジャージにも手を伸ばそうとしている。さらにここにオムルツェルという総合10位の選手が入ってはいたが、メイン集団はやむなしの雰囲気となりタイム差は一時7分半にまで広がり、オムルツェルはバーチャルで総合2位まで順位を上げる。

©ASO
この逃げにはUAEチームエミレーツXRGも本調子であれば総合優勝争いに加わるべきジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツXRG)らを送り込んでおり、この日もステージ優勝を狙う走りを繰り広げた。そんな中後方のメイン集団でも残り37㎞でカラパズがアタックを仕掛けるなど、展開が動き始める。だがこのカラパズの動きは吸収され、そのまま最後の上り勝負へとすべては持ち越された。
先頭ではブイトラゴがアタックを仕掛けると、オムルツェルらがそれにきっちりと対応するが、一気に逃げは4人にまで絞られた。オムルツェルに最後まで抗ったのはウルコ・ベラーデ(エキッポ・ケルン・ファルマ)、だが力の差は歴然としており残り11.6㎞で遂に脱落していってしまった。そこからゴールまではひたすら自らのリズムを刻んでいったが、昨年度のスロヴェニアチャンピオンの20歳の勢いはゴールまで続いていった。昨年度のベビージロ(U-23のジロ・でイタリア)の総合優勝の実力が本物であると自ら示して見せた。

©ASO
そして背後では31歳、念願のグランツール初優勝を狙うマスが躍動、5度目の勝利を狙うログリッチとのタイム差をさらに広げることに成功した。
ヤコブ・オムルツェル(ステージ1位、総合6位)
「この勝利には驚いていないよ。それだけ過酷なトレーニングをしてきたし、遅かれ早かれこういう日が来ることはわかっていたんだ。でもそれがまさか初めてのグランツール出場でできるとは思っていなかったけどね。でもこういう勝ち方ができたことは信じられないよ。脚はよく回っていたし、ゴールしてもまだまだいけるという感じだしね。でもせっかくなんで今はこの勝利を噛み締めたいね。僕らはプレステで遊んでる感じだよ。やりたいことをやりたいタイミングでやる、それができているのが最高だし、いかしてると思うんだ。」

©ASO
プリモズ・ログリッチ(総合2位)
「タイムを失うことは腹立たしいよ。。でもそれだけマスが好調ってことだからね。それは現実だよ。やるべきことをやって諦めないよ。」
フェリックス・ガル(総合3位)
「マスは最高のタイミングでアタックを決めたよね。彼は今頭一つ抜けている感じだよ。それに精神的にも充実している感じがするよ。今日は総合表彰台争いを一人でも減らしたかったんで、オンリーが落車はあったけど脱落したので良しとするよ。」
第12ステージ順位
1位 ヤコブ・オムルツェル(バーレーン・ヴィクトリアス) 4h29’53”
2位 ウルコ・ベラーデ(エキッポ・ケルン・ファルマ) +1’56”
3位 サンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン・ヴィクトリアス) +2’13”
4位 アレクセイ・ルチェンコ(XDSアスタナ) *2’49”
5位 マウリ・ファンセヴェナント(ソウダル・クイックステップ) +2’53”
6位 エンリック・マス(モビスター) +2’56”
7位 フェリックス・ガル(デカスロンCMA・CGM) +3’23”
8位 プリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラハンスグロエ)
9位 リチャード・カラパズ(EFエデュケーション・イージーポスト)
10位 グレゴール・ミュールベルガー(デカスロンCMA・CGM) +3’50”
ブエルタ・ア・エスパーニャ)総合順位
1位 エンリック・マス(モビスター) 40h30’51”
2位 プリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグロエ) +1’45”
3位 フェリックス・ガル(デカスロンCMA・CGM) +2’06”
4位 リチャード・カラパズ(EFエデュケーション・イージーポスト) +3’53”
5位 オスカル・オンリー(ネットカンパニー・イネオス) +4’29”
6位 ヤコブ・オムルツェル(バーレーン・ヴィクトリアス) +4’59”
7位 マティアス・スケルモース(リドル・トレック) +7’42”
8位 セップ・クス(ヴィズマ・リースアバイク) +7’58”
9位 グレゴール・ミュールベルガー(デカスロンCMA・CGM) +8’37”
10位 ハロルド・テハダ(XDSアスタナ) +8’33”
H.Moulinette
