雨中の筋書きのないドラマ!アリエッタ執念でUAEにチーム連勝をもたらす!残り100mで逆転されたエウアリオはプロ初勝利を逃すもマリア・ローザ獲得の大殊勲!(ダイジェスト動画あり)

©Giro d’Italia
トリプルエースを失ったことでその呪縛から解放されたUAEチームエミレーツXRGの残りのメンバーの躍動が止まらない。ステージ勝利に切り替えたことで自由を得たヤン・クリステンとヨナタン・ナルバエス(共にUAEチームエミレーツXRG)が昨日は新人賞ジャージとステージ優勝を獲得したが、この日は今度はイゴール・アリエッタ(UAEチームエミレーツXRG)が逃げからのドラマチックすぎるバトルをアフォンソ・エウアリオ(バーレーン・ヴィクトリアス)と繰り広げた末に大逆転でステージ勝利を挙げて見せた。
二人で逃げ続ける最終盤に、脚本でもこうはいかないようなドラマチックな展開が待っていた。この日の大逃げが決まり、そこから飛び出した二人によるステージ優勝争いが繰り広げられたが、濡れた路面が見せ場を作る。まずは残り13.5㎞でアリエッタがコーナーで落車、これによりチェーンが脱落し直そうとしたが諦め、スペアバイクで再スタートを切る。しかし濡れた路面で滑った感覚は体に染みついており、加速しての猛追に移行するまでに時間を要してしまう。それに対して落車したアリエッタを間一髪で交わしたエウアリオはプロ初優勝を目指し独走態勢となる。この二人のタイム差が縮まらない中で、今度はエウアリオが濡れた路面で滑って落車、コースを横断するほど滑ってようやく停止する。こちらもチェーンが脱落、すぐさまバイク交換をして漕ぎ出そうとするが、焦ったメカニックが背中を押そうとしてうまくいかず、再スタートに時間を要してしまった。

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これによりアリエッタが一気にその差を詰め追いつくと、展開は振出しに戻ってしまう。だが力いっぱい踏み込んでしまうアリエッタは、何度となく後輪を滑らせながらの不安定な走行が続く。すると残り2.1㎞でまたしてもアリエッタがバランスを崩してしまう。落車は逃れたがコースオフをし、コースロープを巻き込みながらコース外の道へと入ってしまう。ここですぐさまU ターンをしてエウアリオを追うが、ここでもトラクションをかけすぎて後輪が激しくスライド、それでも諦めない心がここから奇跡を呼び起こす。残り1㎞のバナーを10秒差で通過したアリエッタ、通常であればこの差はもう詰まることはない決定的なタイム差だが、エウアリオも限界が近く、距離が徐々に詰まっていく。目の前の背中をがむしゃらに追うアリエッタの根性が最後の最後で大逆転劇へと繋がる。残りわずか100m、ついにアリエッタはエウアリオを捉えると、そのまま追い抜きゴールでガッツポーズを決めた。
まだ23歳のアリエッタにとっては今シーズン急成長を遂げており、アルーラツアーでは総合3位、ツアー・オブ・バスクカントリーでは総合8位と結果を残している。これが今シーズン初勝利になるとともにプロ2勝目がジロ・デ・イタリアでのワールドツアー初勝利というこれ以上ない結果となった。一方でゴール前で抜かれたエウアリオもまだ24歳の若手、疲労からしばし放心状態が、それでもこの日の走りで一気に総合首位に躍り出てマリア・ローザを獲得した。当人はステージ勝利の方が欲しかったようだが、結果的に誰もが夢見るグランツールでの総合リーダージャージ獲得という大殊勲を成しとげた。
昨日までの総合リーダー、ジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック)は結局わずか一日でマリア・ローザを手放す形となった。本来は失いたくなかったジャージだが、天候とライバルチームの協力がなく、結果的に諦めて手放すという選択となった。

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203㎞の長丁場のこのステージは雨に祟られる形となった。4000mの総獲得標高があるこのステージは逃げ切りが容認される可能性が高かったが、それに加えて雨というコンディションが、追走を困難とすることが予想され、これにより逃げ切りはある程度確定路線となった。そのためこの日の逃げは容認されるまでに時間を要し、スタートから40㎞を過ぎようやくこの日の12名の逃げが確定する。そこには昨日ステージ勝利を挙げたナルバエスの姿に加え、アリエッタ、エウアリオ以外に第3ステージでマリア・ローザを獲得したトーマス・シルヴァ(XDSアスタナ)やベン・ターナー(ネットワーク・イネオス)、TTスペシャリストであり独創力もあるヴィクター・カンペナールツ(ヴィズマ・リースアバイク)らが顔をそろえた。
中盤では雨脚が弱まったものの、後半に入ると再び雨が選手たちを濡らす。そしてのこり62km、後半の山岳に入る前に飛び出していく。そして残り55㎞で山岳の上りに入るとエウアリオがここで追走アタック、残り51㎞からは二人旅が始まる。しかしメイン集団との差は2分ほどで推移していており、まだ安全圏とはいいがたい状況だった。そしてメイン集団はレッドブル・ボーラ・ハンスグロエが主導権を握り、雨という状況もあり無理をして前を追うという選択肢を取らなかった。これによりタイム差は最終盤にきてどんどんと広がっていくこととなった。
先頭では劇的なアリエッタの勝利とエウアリオの総合首位に沸く中、結局メイン集団は総合勢が7分13秒遅れで集団でゴール、総合上位候補たちに大きな波乱はなかった。

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イゴール・アリエッタ(ステージ1位)
「ここにはアシストで来たんだよ。そして時々チャンスが与えられたらなぁという感じだったんだ。そして今日はまさにそのチャンスが巡ってきて、そして結果的に最良の一日となったよ。

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アフォンソ・エウアリオ(総合1位)
「正直きょうはステージ勝利を狙う作戦だったんだよ。でも僕自身マリア・ローザから一分ほどの遅れだったから、それも意識にはあったよ。そしてあの落車、あの瞬間は完全に頭が真っ白になったよ。自分のバイクを探したら、新しいものがもうすでに用意されていて、それにまたがってすぐさま再スタートしたんだけど、全く無心だったよ。とにかく勝利とマリア・ローザというイメージだけが脳裏に焼き付いていたよ。これはもう夢ではなくあり得ないことだね。去年ワールドツアーに昇格したばかりで、それまではコンチネンタルでロードとマウンテンバイクに乗っていたからね。ロードももっと本格的にやったら、という言葉で2025年に本格的に参戦して、そして今こうしてマリア・ローザを着ているんだよ。まあでも最後は二人とも疲れ果てていて、最も遅いスプリント勝負になったね。」
ジロ・デ・イタリア第5ステージ順位
1位 イゴール・アリエッタ(UAEチームエミレーツXRG) 5h07’51”
2位 アフォンソ・エウアリオ(バーレーン・ヴィクトリアス) +02”
3位 トーマス・シルヴァ(XDSアスタナ) +51”
4位 ロレンツォ・ミレシ(モビスター) +1’29”
5位 クリスチャン・スカローニ(XDS アスタナ) +1’30”
6位 ジャンマルコ・ガロフォリ(ソウダル・クイックステップ)
7位 コーエン・ボウマン(ジェイコ・アルーラ) +3’11”
8位 ヨハネス・クルセット(Uno-Xモビリティ) +3’13”
9位 アンドレア・ラチャーニ・ノヴィエロ(ソウダル・クイックステップ) +3’29”
10位 ルドヴィコ・クレスチオーリ(ポルティ・ヴィジットマルタ) +4’42”
総合順位
1位 アフォンソ・エウアリオ(バーレーン・ヴィクトリアス) 21h27’43”
2位 イゴール・アリエッタ(UAEチームエミレーツXRG) +2’51”
3位 クリスチャン・スカローニ(XDSアスタナ) +3’34”
4位 アンドレア・ラチャーニ・ノヴィエロ(ソウダル・クイックステップ) +3’39”
5位 ヨハネス・クルセット(Uno-Xモビリティ) +5’17”
6位 ジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック) +6’12”
7位 ヤン・クリステン(UAEチームエミレーツXRG) +6’16”
8位 フロリアン・ストーク(チュードル・プロサイクリング)
9位 イーガン・ベルナル(ネットカンパニー・イネオス)
10位 サイメン・アレンスマン(ネットカンパニー・イネオス) +6’18”
H.Moulinette












