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2008/7/10 13:31

ツール・ド・フランス2008第5ステージ

23歳カヴェンディッシュ、念願の勝利で勢いに乗る


序盤から220km以上に渡って逃げ続けたニコラ・ヴォゴンディ(フランス、アグリチュベル)、フローラン・ブラール(フランス、コフィディス)、リリアン・ジェグー(フランス、フランセーズデジュー)
『序盤から220km以上に渡って逃げ続けたニコラ・ヴォゴンディ(フランス、アグリチュベル)、フローラン・ブラール(フランス、コフィディス)、リリアン・ジェグー(フランス、フランセーズデジュー)』
マイヨジョーヌのステファン・シューマッハー(ドイツ)擁するゲロルシュタイナーがメイン集団をコントロール
『マイヨジョーヌのステファン・シューマッハー(ドイツ)擁するゲロルシュタイナーがメイン集団をコントロール』
85km地点で落車したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケスデパーニュ)
『85km地点で落車したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケスデパーニュ)』
シャトールーで繰り広げられたスプリンターたちの競演
『シャトールーで繰り広げられたスプリンターたちの競演』
両手を広げてゴールに飛び込むマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア)
『両手を広げてゴールに飛び込むマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア)』
ゴールの僅か100m手前で捕まった失意のニコラ・ヴォゴンディ(フランス、アグリチュベル)
『ゴールの僅か100m手前で捕まった失意のニコラ・ヴォゴンディ(フランス、アグリチュベル)』
ステージ初優勝のマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア)が表彰台に上がる
『ステージ初優勝のマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア)が表彰台に上がる』
マイヨジョーヌを守ったステファン・シューマッハー(ドイツ、ゲロルシュタイナー)
『マイヨジョーヌを守ったステファン・シューマッハー(ドイツ、ゲロルシュタイナー)』
敢闘賞を獲得したトリコロールのニコラ・ヴォゴンディ(フランス、アグリチュベル)
『敢闘賞を獲得したトリコロールのニコラ・ヴォゴンディ(フランス、アグリチュベル)』
2008年7月9日、ツール・ド・フランス第5ステージが大会最長の232kmで行なわれた。序盤からの逃げをラスト100mでメイン集団が吸収し、最後は強豪選手のひしめく本格スプリント勝負へ。この力と力のぶつかり合いを制したのは23歳のマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア)だった。総合成績に大きな変動は無い。

第5ステージはショレからシャトールーまでの今大会最長となる232kmで行なわれた。中間スプリントポイントが3つ設定されただけで、大きな上りも無ければ山岳ポイントも無い。アップダウンもなだらかで、道幅の広い直線的な平坦路で構成されるコース。ピュアスプリンターのための舞台は整った。

この日は178名の選手がショレのスタートラインに立った。しかし第1ステージで落車して手首を痛めていたマウリシオ・ソレール(コロンビア、バルロワールド)はニュートラルゾーンで再び落車してしまい、何とか集団に復帰するもののしばらくしてリタイア。前年度の山岳王ソレールが5日目にしてレースを去った。

レースは開始直後からアタックが掛かる展開で、しばらくのアタック合戦の末に11km地点で3名の逃げが決まる。大会きってのロングコースに挑んだのはニコラ・ヴォゴンディ(フランス、アグリチュベル)、リリアン・ジェグー(フランス、フランセーズデジュー)、フローラン・ブラール(フランス、コフィディス)の3名だ。個人タイムトライアルを除く全てのステージで、コフィディスは逃げに選手を送り込むことに成功している。

この新旧フランスチャンピオンを含むフレンチトリオは52km地点で8分15秒のアドバンテージ。しかし逃げ切りを許してしまった第3ステージの反省をふまえ、メイン集団は早めの追走を開始した。メイン集団を完全にコントロールしたのは、前日の個人タイムトライアルでマイヨジョーヌを獲得したステファン・シューマッハー(ドイツ)擁するゲロルシュタイナーだ。

晴れ渡る草原を貫く平坦路を、追い風に乗る選手たちが疾走。85km地点で発生した落車にアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケスデパーニュ)が巻き込まれるが、擦過傷を負っただけで大きな影響なく集団に復帰している。

先頭の3名はスピードを維持しながらも追い込まずに脚をセーブする走りに徹し、メイン集団もそれに呼応するようにスピードをコントロールした。追い風の中での平均スピード40km/hほどのレース進行は、前日に酷使したカラダのリカバリーに励む総合狙いの選手にとっても好都合だ。

タイム差はラスト80kmで5分、ラスト40kmで2分。この膠着状態を脱したのは、タイム差が1分に迫ったラスト20kmを切ってから。先頭の3名が追い込みをかけるようにスピードを上げ始め、これにクレディアグリコル、チームコロンビア、ゲロルシュタイナーがスピードを上げて応戦した。

逃げながらも省エネ走行に徹していた先頭3名はそこから粘った。メイン集団はチームコロンビアを筆頭にクイックステップやリクイガスもローテーションに加わってフルスロットルで突き進む。しかし先頭3名とのタイム差が思うように縮まらない。ラスト7kmの時点でタイム差は30秒。

そしてメイン集団とのタイム差が10秒を切ったラスト1km手前で、トリコロール(フランスチャンピオンジャージ)のヴォゴンディが先頭グループから飛び出した。ヴォゴンディはこの日と同地点にゴールするシャトールー・クラシックで2006年に優勝(3位は福島晋一)を飾っている選手。ヴォゴンディは文字通り最後の力を振り絞って独走した。

しかし隊列を組んでメイン集団を牽くチームコロンビアの勢いには敵わない。チームコロンビアはマイヨブランのトーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン)やマイヨヴェールのキム・キルシェン(ルクセンブルク)も動員して集団をハイスピードで牽き続け、最終ストレートで先頭ヴォゴンディを捉える。フランスの期待を背負うヴォゴンディを、ラスト100mでスプリンターたちが抜き去っていった。

ラスト200mでトル・フースホフト(ノルウェー、クレディアグリコル)が早めに仕掛けるが、これにカヴェンディッシュが反応。フースホフトが失速する一方、カヴェンディッシュのスプリントは伸び続けた。後方からオスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)とエリック・ツァベル(ドイツ、チームミルラム)が追い上げたが届かず、カヴェンディッシュがそのまま先頭でゴール。信じられないと言わんばかりの頭を抱えるポーズでゴールに飛び込んだ。

ジロ・デ・イタリアでステージ2勝を飾り、鳴り物入りでツールに挑んだカヴェンディッシュはこれがツールのステージ初優勝。マディソン(トラック競技)で2度世界チャンピオンに輝いているマン島生まれの23歳が、先輩スプリンターたちを破って念願の勝利を飾った。現在最も勢いのある気鋭のスプリンターだ。

カヴェンディッシュのために集団を牽いたキルシェンがスプリントに加わらなかったため、この日ステージ4位に入ったフースホフトにマイヨヴェールは移った。3ポイント差でフレイレが続いている。その他のジャージはこの日動かず、マイヨジョーヌはシューマッハーがしっかりとキープしている。

翌第6ステージは今大会最初の頂上ゴールが登場する。アルプスやピレネーの山岳に及ばないが、中央山塊で山岳バトルが繰り広げられる。レース終盤に2つの2級山岳が設定され、最後は2級山岳シュペール・ベス・サンシーを駆け上がってゴール。劇的なタイム差がつくような難易度ではないものの、総合成績変動の可能性は高い。逃げ切りが決まりやすいコースでもあると言えるだろう。

ツール・ド・フランス2008第5ステージ結果
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア)  5h27'52"
2位 オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)
3位 エリック・ツァベル(ドイツ、チームミルラム)
4位 トル・フースホフト(ノルウェー、クレディアグリコル)
5位 バーデン・クック(オーストラリア、バルロワールド)
6位 ロバート・ハンター(南アフリカ、バルロワールド)
7位 レオナルド・ドゥケ(コロンビア、コフィディス)
8位 ロビー・マキュアン(オーストラリア、サイレンス・ロット)
9位 フランチェスコ・キッキ(イタリア、リクイガス)
10位 ジュリアン・ディーン(ニュージーランド、チームガーミン・チポレ)


1位 ステファン・シューマッハー(ドイツ、ゲロルシュタイナー)  19h32'33"
2位 キム・キルシェン(ルクセンブルク、チームコロンビア)      +12"
3位 デーヴィット・ミラー(イギリス、チームガーミン・チポレ)
4位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)    +21"
5位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、チームCSC・サクソバンク) +33"
6位 クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、チームガーミン・チポレ)+37"
7位 ジョージ・ヒンカピー(アメリカ、チームコロンビア)       +41"
8位 トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームコロンビア)   +47"
9位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)       +58"
10位 ホセイバン・グティエレス(スペイン、ケスデパーニュ)     +1'01"


1位 トル・フースホフト(ノルウェー、クレディアグリコル) 88pt
2位 オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)      85pt
3位 キム・キルシェン(ルクセンブルク、チームコロンビア) 81pt


1位 トマ・ヴォクレール(フランス、ブイグテレコム)    19pt
2位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、コフィディス)  11pt
3位 ビョルン・シュレーダー(ドイツ、チームミルラム)   9pt


1位 トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームコロンビア) 19h33'20"
2位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)       +11"
3位 マキシム・モンフォール(ベルギー、コフィディス)        +37"

チーム総合成績
1位 チームガーミン・チポレ       42h13'59"
2位 チームコロンビア           +1'41"
3位 チームCSC・サクソバンク       +2'35"

敢闘賞
ニコラ・ヴォゴンディ(フランス、アグリチュベル)


第5ステージ グラフィックス


ツール・ド・フランス2008第5ステージ ダイジェストムービー

text:Kei TSUJI
photo:Tim De Waele

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News Commentator
7  コメンテーター: felt  コメント日: 2008/07/11 00:30:43
ツールドフランスでフランスチャンピオンの証であるジャージを着たフランスチームに所属するフランス人であるヴォゴンディがゴール直前に吸収された瞬間、現地のフランスから悲鳴にも似た叫び声がここ日本まで聞こえくるようでした。

近年はフランス人の活躍が見られない中、ツールだけは例外的に活躍(?)しているのはなぜでしょうか。やっぱり目には見えないホームアドバンテージがあるんでしょうかね?

8  コメンテーター: kohei_1991  コメント日: 2008/07/11 10:40:10
カヴェンディッシュのスプリントすばらしいの一言ですね!!ツールステージ初優勝が23歳とは・・・・この先どんどん頭角をあらわしていきそうな存在でしょうね〜〜。 それにしてもチームコロンビア(旧Tモバイル)は相変わらず強いですね〜〜。この先もどんどん勝利を量産していってほしいものです。

9  コメンテーター: offshore  コメント日: 2008/07/18 10:33:31
ツール1勝の重み。ランス・アームストロングがフランスの地に蒔いた種。

DVD『 レジェンド・オブ・ツール・ド・フランス/ランス・アームストロング』の冒頭シーンはとても印象深いシーンがある。
いつものランスなら,レース後でもインタビューに対してレースの疲れすら見せず,強気な発言でプレスにアピールするはず。だが,この日のインタビューは,まったく打ちひしがれての登場だ。
向けられたマイクに「ウチャコフ(=ステージ優勝者)は速いと聞いていたけれど・・・あれほどとは。ツールで勝てるチャンスは滅多にない。だから今日は絶対に勝ちたかった。ボクは打ちのめされている」と定まらない視線,力なくバンの後部座席に身をまかせドリンクを飲み干すのが精一杯。
1995年に行われた第82回ツールドフランスの13ステージ。1993年以来のツールでの2勝目はならず,惜しくも2位。メイン集団から10分以上の差をつけてエスケープに成功したランスはゴール手前でロシアのセルゲイ・ウチャコフに一騎打ちのスプリントで一歩届かず敗れてしまった。

+ + +

ツール・ド・フランスのようなロードレースで活躍する自転車選手の選手生活は20歳くらいでプロ生活をスタートさせ,一流選手の仲間入りできるのが25歳過ぎ。選手としての盛りはせいぜい10年くらいなものだろう。

その10年の間に,自転車レース最高峰,「夢」の舞台といわれるツール・ド・フランスへの出場を果たせるのは一握り。所属チームが招待されないときもあれば,招待されても9人のメンバーに入れないことだってある。

この舞台を出走できることだけでも「夢」であろう。

そう考えた時,ステージ1勝がどれだけ価値あるものなのかを思い知らされる。

+ + +

この日のニコラ・ヴォゴンディの「トリコロールを着て長い逃げをツールで決めたことがいい思い出になるかだって?ノン!僕は今失望しているんだ。(中略)思い出になんかならないよ。これは失望以外の何ものでもない」というコメントは,冒頭の若かりし日のランスを彷彿させる。

フランス国土で行われるフランス人のための祭典が『ツール・ド・フランス』だ。
無敵の王者ランス・アームストロングが去って3年。フランスの若者たちのナショナリズムが,「勝利」への飽くなき「渇望」に現れている。

しかし,この「勝利への渇望」こそが,ランス・アームストロングから捧げられた「精神(スピリット)」であると考えたい。

その「精神」は,「自信家」ランスが,その若き日にここフランスの地で,叩きのめされ,挫折させられ,否定された・・・苦悩を乗り越えて培ってきたものといえよう。

フランスを舞台に国籍を超えて受け継がれ,培養された「勝利への渇望」という「精神」は,いまフランスの地を駆け巡る若者たちの心の中で開花を迎えるところだ。
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