2007/7/22 4:32


南フランスのアルビを中心に行なわれたこの日の個人TT。コースはアップダウンを含む54kmで、途中には4級山岳が設定された難しいステージだ。テクニックと独走力、登坂力が要求されるコースレイアウトで、雨が更にその難易度を上げた。
レースがスタートすると天気は徐々に下り坂。雨が本降りに変わる中、まず19番スタートのブラドレー・ウィギンズ(イギリス、コフィディス)が1時間8分49秒のトップタイムをマークした。ウィギンズは4つの中間計測ポイント全てでトップタイムをマークし、このタイムは長くトップに君臨することに。
個人TTで優勝候補に上げられていたファビアン・カンチェラーラ(スイス、CSC)やパオロ・サヴォルデッリ(イタリア、アスタナ)は本降りの雨の中を走らざるを得なくなり、カンチェラーラに至っては下りのカーブでコントロールを失って落車。両者とも最後まで思うような走りができず、雨に沈んだ。
レースが中盤を過ぎると雨は小降りに変わり、そして総合上位陣が走る頃には雨は上がった。シルヴァン・シャヴァネル(フランス、コフィディス)やヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ、ディスカバリーチャンネル)がウィギンズに迫る勢いのタイムをマークすると、続々と好タイムを叩き出す選手が現れる。その筆頭は、落車の怪我によって総合成績で大きく遅れていたアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)だ。
ヴィノは序盤の中間計測ポイントからウィギンズを大きく上回るタイムを連発し、雨に濡れた下りコーナーも慎重にこなした。平坦路では持ち前の高出力エンジンをかき鳴らして突進し、危なげない走りでゴールに向かった。
コース後半に入るとヴィノは更にペースを上げ、ウィギンズを2分14秒上回る圧倒的なタイムでゴールに飛び込んだ。そしてこの大将の走りに続いたのがアンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)とアンドレイ・カシェチキン(カザフスタン、アスタナ)の2人だ。
序盤からペースの上がらなかったクレーデンとカシェチキンだが、後半にかけて徐々にペースを上げた。クレーデンに至っては途中で落車したものの、その後持ち直してスピードを上げた。結局カシェチキンは暫定2位でゴール。そしてクレーデンがそれを上回って暫定2位。一時的にではあるが、アスタナがワンツースリーというトップ独占状態に。
クレーデンがゴールすると残りは総合トップ6。その中で最も冴えた走りを見せたのがカデル・エヴァンス(オーストラリア、プレディクトールロット)だ。総合4位につけていたエヴァンスは序盤から快調に飛ばし、ヴィノから1分14秒遅れの2位でゴール。ラスムッセンの走り次第ではマイヨジョーヌに最も近い男として後続の走りを待った。
スペイン勢はアルベルト・コンタドール(ディスカバリーチャンネル)が下馬評通りの安定した走りを見せて2分18秒遅れの7位に入る。そのコンタドールとは対照的にイバン・マヨ(サウニエルドゥバル)、カルロス・サストレ(CSC)、アレハンドロ・バルベルデ(ケスデパーニュ)のスペイン3人は序盤から出遅れ、最後までペースが上がらなかった。特に個人TTでアドバンテージを得ると目されていたバルベルデは明らかに精彩を欠いた。
そして最終走者はマイヨジョーヌを着るラスムッセンだ。決して得意とは言えない個人TTだが、この日のラスムッセンは違った。序盤からバルベルデのタイムを大きく上回ったラスムッセンは、後半にかけて更にスピードを上げた。そして3分前にスタートしたバルベルデをラスト1kmでパス。バルベルデとのタイム差を最小限に抑えるどころか、勢いよく抜き去ったのだ。
結局ラスムッセンはヴィノから2分55秒遅れの11位でゴール。ライバルやTTスペシャリストをも上回る見事な走りでマイヨジョーヌを死守した。逆にバルベルデは6分8秒遅れの47位に沈む。この日だけでバルベルデはライバルたちから大きなタイムを失った。クリストフ・モロー(フランス、アージェードゥーゼル)に至っては9分26秒遅れの125位でゴールしている。
この結果を受けて総合成績は文字通りシャッフルが行なわれた。マイヨジョーヌを死守したラスムッセンを1分遅れで追う総合2位のエヴァンス。そしてマイヨブラン争いで首位を独走中のコンタドールが総合3位に上がった。
そしてステージ優勝を飾ったヴィノは一気に総合9位にジャンプアップ。アスタナは他にもクレーデンが総合4位、カシェチキンが総合6位に入り、総合トップ10に3人もの選手を送り込むことに成功した。アスタナはチーム総合成績でも一躍トップに立っている。
ヴィノにとってはこれがステージ通算4勝目だ。膝の怪我を思わせない力強い走りで最速の称号を得るのと同時に、マイヨジョーヌの射程圏内に舞い戻った。最も勢いのある選手、それはヴィノに他ならない。
いよいよ勝負の舞台はピレネー山脈へ。翌第14ステージから怒濤の3連続ピレネーステージが始まる。ピレネー初日から難易度は高く、超級山岳パイレール峠をゴール50km手前で越え、最後は超級山岳プラトー・ド・ベイユへの頂上ゴールだ。マイヨジョーヌを守ったラスムッセンは守りに入るか攻め込むか。ライバルたちは間違いなく攻撃に出るだろう。
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、プレディクトールロット)+1'14"
3位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ) +1"39"
4位 アンドレイ・カシェチキン(カザフスタン、アスタナ) +1'44"
5位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、コフィディス) +2'14"
6位 ヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ、ディスカバリーチャンネル)+2'16"
7位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ディスカバリーチャンネル)+2'18"
8位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、コフィディス) +2'38"
9位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、ディスカバリーチャンネル)+2'39"
10位 ミケル・アスタルロサ(スペイン、エウスカルテル) +2'42"
1位 ミカエル・ラスムッセン(デンマーク、ラボバンク) 58h46'39"
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、プレディクトールロット)+1'00"
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ディスカバリーチャンネル)+2'31"
4位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ) +2'34"
5位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、ディスカバリーチャンネル)+3'37"
6位 アンドレイ・カシェチキン(カザフスタン、アスタナ) +4'23"
7位 カルロス・サストレ(スペイン、CSC) +4'45"
8位 ミケル・アスタルロサ(スペイン、エウスカルテル) +5'07"
9位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) +5'10"
10位 キム・キルシェン(ルクセンブルク、Tモバイル) +5'29"
1位 トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ) 195pt
2位 ロバート・ハンター(南アフリカ、バルロワールド) 175pt
3位 エリック・ツァベル(ドイツ、ミルラム) 174pt
1位 ミカエル・ラスムッセン(デンマーク、ラボバンク) 98pt
2位 マウリシオ・ソレール(コロンビア、バルロワールド) 89pt
3位 ヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ、ディスカバリーチャンネル)86pt
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ディスカバリーチャンネル)57h40'18"
2位 リーナス・ゲルデマン(ドイツ、Tモバイル) +4'28"
3位 カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、バルロワールド) +7'54"
2位 ディスカバリーチャンネル +54"
3位 チームCSC +2'19"
リタイア
なし

ツール・ド・フランス2007第13ステージ グラフィックス

ツール・ド・フランス2007第13ステージ ダイジェストムービー
text:Kei.TSUJI
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ツール・ド・フランス2007第13ステージ
英雄ヴィノの復活劇、首位の座を守ったラスムッセン
南フランスのアルビを中心に行なわれたこの日の個人TT。コースはアップダウンを含む54kmで、途中には4級山岳が設定された難しいステージだ。テクニックと独走力、登坂力が要求されるコースレイアウトで、雨が更にその難易度を上げた。
レースがスタートすると天気は徐々に下り坂。雨が本降りに変わる中、まず19番スタートのブラドレー・ウィギンズ(イギリス、コフィディス)が1時間8分49秒のトップタイムをマークした。ウィギンズは4つの中間計測ポイント全てでトップタイムをマークし、このタイムは長くトップに君臨することに。
個人TTで優勝候補に上げられていたファビアン・カンチェラーラ(スイス、CSC)やパオロ・サヴォルデッリ(イタリア、アスタナ)は本降りの雨の中を走らざるを得なくなり、カンチェラーラに至っては下りのカーブでコントロールを失って落車。両者とも最後まで思うような走りができず、雨に沈んだ。
レースが中盤を過ぎると雨は小降りに変わり、そして総合上位陣が走る頃には雨は上がった。シルヴァン・シャヴァネル(フランス、コフィディス)やヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ、ディスカバリーチャンネル)がウィギンズに迫る勢いのタイムをマークすると、続々と好タイムを叩き出す選手が現れる。その筆頭は、落車の怪我によって総合成績で大きく遅れていたアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)だ。
ヴィノは序盤の中間計測ポイントからウィギンズを大きく上回るタイムを連発し、雨に濡れた下りコーナーも慎重にこなした。平坦路では持ち前の高出力エンジンをかき鳴らして突進し、危なげない走りでゴールに向かった。
コース後半に入るとヴィノは更にペースを上げ、ウィギンズを2分14秒上回る圧倒的なタイムでゴールに飛び込んだ。そしてこの大将の走りに続いたのがアンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)とアンドレイ・カシェチキン(カザフスタン、アスタナ)の2人だ。
序盤からペースの上がらなかったクレーデンとカシェチキンだが、後半にかけて徐々にペースを上げた。クレーデンに至っては途中で落車したものの、その後持ち直してスピードを上げた。結局カシェチキンは暫定2位でゴール。そしてクレーデンがそれを上回って暫定2位。一時的にではあるが、アスタナがワンツースリーというトップ独占状態に。
クレーデンがゴールすると残りは総合トップ6。その中で最も冴えた走りを見せたのがカデル・エヴァンス(オーストラリア、プレディクトールロット)だ。総合4位につけていたエヴァンスは序盤から快調に飛ばし、ヴィノから1分14秒遅れの2位でゴール。ラスムッセンの走り次第ではマイヨジョーヌに最も近い男として後続の走りを待った。
スペイン勢はアルベルト・コンタドール(ディスカバリーチャンネル)が下馬評通りの安定した走りを見せて2分18秒遅れの7位に入る。そのコンタドールとは対照的にイバン・マヨ(サウニエルドゥバル)、カルロス・サストレ(CSC)、アレハンドロ・バルベルデ(ケスデパーニュ)のスペイン3人は序盤から出遅れ、最後までペースが上がらなかった。特に個人TTでアドバンテージを得ると目されていたバルベルデは明らかに精彩を欠いた。
そして最終走者はマイヨジョーヌを着るラスムッセンだ。決して得意とは言えない個人TTだが、この日のラスムッセンは違った。序盤からバルベルデのタイムを大きく上回ったラスムッセンは、後半にかけて更にスピードを上げた。そして3分前にスタートしたバルベルデをラスト1kmでパス。バルベルデとのタイム差を最小限に抑えるどころか、勢いよく抜き去ったのだ。
結局ラスムッセンはヴィノから2分55秒遅れの11位でゴール。ライバルやTTスペシャリストをも上回る見事な走りでマイヨジョーヌを死守した。逆にバルベルデは6分8秒遅れの47位に沈む。この日だけでバルベルデはライバルたちから大きなタイムを失った。クリストフ・モロー(フランス、アージェードゥーゼル)に至っては9分26秒遅れの125位でゴールしている。
この結果を受けて総合成績は文字通りシャッフルが行なわれた。マイヨジョーヌを死守したラスムッセンを1分遅れで追う総合2位のエヴァンス。そしてマイヨブラン争いで首位を独走中のコンタドールが総合3位に上がった。
そしてステージ優勝を飾ったヴィノは一気に総合9位にジャンプアップ。アスタナは他にもクレーデンが総合4位、カシェチキンが総合6位に入り、総合トップ10に3人もの選手を送り込むことに成功した。アスタナはチーム総合成績でも一躍トップに立っている。
ヴィノにとってはこれがステージ通算4勝目だ。膝の怪我を思わせない力強い走りで最速の称号を得るのと同時に、マイヨジョーヌの射程圏内に舞い戻った。最も勢いのある選手、それはヴィノに他ならない。
いよいよ勝負の舞台はピレネー山脈へ。翌第14ステージから怒濤の3連続ピレネーステージが始まる。ピレネー初日から難易度は高く、超級山岳パイレール峠をゴール50km手前で越え、最後は超級山岳プラトー・ド・ベイユへの頂上ゴールだ。マイヨジョーヌを守ったラスムッセンは守りに入るか攻め込むか。ライバルたちは間違いなく攻撃に出るだろう。
ツール・ド・フランス2007第13ステージ結果
1位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) 1h06'35"2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、プレディクトールロット)+1'14"
3位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ) +1"39"
4位 アンドレイ・カシェチキン(カザフスタン、アスタナ) +1'44"
5位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、コフィディス) +2'14"
6位 ヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ、ディスカバリーチャンネル)+2'16"
7位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ディスカバリーチャンネル)+2'18"
8位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、コフィディス) +2'38"
9位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、ディスカバリーチャンネル)+2'39"
10位 ミケル・アスタルロサ(スペイン、エウスカルテル) +2'42"
1位 ミカエル・ラスムッセン(デンマーク、ラボバンク) 58h46'39"2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、プレディクトールロット)+1'00"
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ディスカバリーチャンネル)+2'31"
4位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ) +2'34"
5位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、ディスカバリーチャンネル)+3'37"
6位 アンドレイ・カシェチキン(カザフスタン、アスタナ) +4'23"
7位 カルロス・サストレ(スペイン、CSC) +4'45"
8位 ミケル・アスタルロサ(スペイン、エウスカルテル) +5'07"
9位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) +5'10"
10位 キム・キルシェン(ルクセンブルク、Tモバイル) +5'29"
1位 トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ) 195pt2位 ロバート・ハンター(南アフリカ、バルロワールド) 175pt
3位 エリック・ツァベル(ドイツ、ミルラム) 174pt
1位 ミカエル・ラスムッセン(デンマーク、ラボバンク) 98pt2位 マウリシオ・ソレール(コロンビア、バルロワールド) 89pt
3位 ヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ、ディスカバリーチャンネル)86pt
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ディスカバリーチャンネル)57h40'18"2位 リーナス・ゲルデマン(ドイツ、Tモバイル) +4'28"
3位 カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、バルロワールド) +7'54"
チーム総合成績
1位 アスタナ 159h20'49" 2位 ディスカバリーチャンネル +54"
3位 チームCSC +2'19"
リタイア
なし
ツール・ド・フランス2007第13ステージ グラフィックス
ツール・ド・フランス2007第13ステージ ダイジェストムービー
text:Kei.TSUJI
←第12ステージ 第14ステージ→
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