Tweet

Pocket

パリ～ニースはそれ自体で価値があるものではあるが、さらにはグランツールへ向けたチーム内のセレクションンにもなっている。ここでの怪我はチームにとっても当人にとっても痛いものとなるが、第4ステージの個人TTで素晴らしい走りを見せ総合優勝を視野にとらえていたワウト・ポエルス（チームスカイ）にとっては第6ステージは悪夢となってしまった。チームにとっても本人にとっても極めて痛い結果となってしまった。

だがレースはすすむ、第5ステージではストイックに勝利への執着を見せたジェローム・クザン（ダイレクト・エナジー）が制し、第6ステージではだれも予想すらしていなかったルディー・モラード（グルーパマFDJ）がアタックを決め、その追走をお見合いした後続を突き放して独走勝利を決めた。

第5ステージ

『ストイックで冷静　＠Tim D Waele』

通常逃げに乗った場合、後続に追いつかれるのを防ぐために協調体制を取ることがほとんどだ。しかしこの日一日中逃げ続けたジェローム・クザン（ダイレクト・エナジー）に取っては最後はストイックに勝利にこだわり、一緒に逃げていたニールス・ポリット（カチューシャ・アルペシン）の背後に居座り続けた。この日山岳賞を獲得したクザンだったが、さらにもう一つ、ステージ勝利も狙いにかかると、勝利のチャンスが見えているだけにこの機を逃したくないポリットの心理を逆手に取り、自らは「君が引かないのであれば捕まってもいいんだよ」というスタンスを取り続ける。しかし内心は虎視眈々と勝利を狙い、ゴール前自らの間合いまで持ち込むとスプリント、悔しがるポリットを置き去りにガッツポーズで勝利を決めた。

『クザンは勝利にこだわった　＠Tim D Waele』

「勝利が見えたからね、そこからは心理戦だよ。勝利ってそうやってつかむもんだろ。今まで似たような状況で自分が動いて負けてきていたからね。今回はじっと我慢し続けたんだよ。卑怯という人もいるかもしれないけど、これが勝負だろ。」クザンはレース後のコメントもストイックだった。

パリ～ニース第5ステージ
1位　ジェローム・クザン（ダイレクト・エナジー）　　　3h57’25”
2位　ニールス・ポリット（カチューシャ・アルペシン）　　　＋02”
3位　アンドレ・グライペル（ロット・ソウダル）　　　＋04”
4位　マグナス・コート（アスタナ）
5位　アレクサンダー・クリストフ（UAEチームエミレーツ）

パリ～ニース総合順位
1位　ルイス・レオン・サンチェス（アスタナ）　　　17h45’26”
2位　ワウト・ポエルス（チームスカイ）　　　＋15
3位　ジュリアン・アラフィリップ（クイックステップ・フロアーズ）　　　＋26”
4位　マルク・ソレル（モビスター）
5位　ゴルカ・イザギーレ（バーレーン・メリダ）　　　＋34”

第6ステージ

『モラードが大金星　＠Tim D Waele』

第6ステージには波乱が待っていた。総合優勝を狙っていたワウト・ポエルス（チームスカイ）が高速の下りで落車、鎖骨骨折、胸部打撲、裂傷などで緊急搬送されリタイアとなったのだ。そんなレースは残り1.3㎞でルディー・モラード（グルーパマFDJ）が飛び出すが、それを誰も積極的に追走しない。追いつけるだろうという慢心が、モラードにワールドツアー初勝利、自身通算2勝目となる大金星をもたらした。これで今大会フランス勢が4勝と絶好調だ。

『ポリットは勝利を逃した　＠Tim D Waele』

「新スポンサーになっていきなりこれで大会2勝、いいよ！これが僕にとっての初めてのワールドツアー勝利なんだけど、僕この近くに住んでいるから、このコースを見たときからワクワクしていたんだよ。何度となく練習してきたところだからね、だから狙っていたんだよ。」モラードはこのステージを明確に狙っていたことを明かした。

ルイス・レオン・サンチェス（アスタナ）は総合首位をキープ、そしてポエルスのリタイアに伴い、この日ステージ3位に入ったジュリアン・アラフィリップ（クイックステップ・フロアーズ）が総合2位へと順位を上げ、虎視眈々と逆転での総合優勝を狙っている。またステージ2位のティム・ウェレンス（ロット・ソウダル）がこれで総合5位、今シーズン2つ目の総合優勝を狙う。

『美しい景色も選手に楽しむ余裕なし　＠Tim D Waele』

パリ～ニース第6ステージ
1位　ルディー・モラード（グルーパマFDJ）　　　4h40’05”
2位　ティム・ウェレンス（ロット・ソウダル）　　　＋02”
3位　ジュリアン・アラフィリップ（クイックステップ・フロアーズ）
4位　ルイス・レオン・サンチェス（アスタナ）
5位　サム・オーメン（チームサンウェブ）

パリ～ニース総合順位
1位　ルイス・レオン・サンチェス（アスタナ）　　　22h25’33”
2位　ジュリアン・アラフィリップ（クイックステップ・フロアーズ）　　　＋22”
3位　マルク・ソレル（モビスター）　　　＋26”
4位　ゴルカ・イザギーレ（バーレーン・メリダ）　　　＋34”
5位　ティム・ウェレンス（ロット・ソウダル）　　　＋35”

H.Moulinette