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CYCLINGTIME.com

2009/3/24 10:58

IRC HUTCHINSONに見る

迫りくるチューブレスの波を考える!チューブレスとは一体何か?


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タイヤを使ったレース・スポーツで、チューブを使っているのは自転車くらいで、バイク(モーターバイクの方です)にしろ、カーレースにしろ、大方チューブレスが使用されている。もちろん自転車にもチューブラーというものがあり、ロードレースでは今も現役で活躍しているが、リムにセメント付けする構造や、そもそもタイヤ内にチューブが収まっている等、まったくの別物と言える。


クリンチャータイヤ(タイヤと別にチューブを使う、一般的な自転車タイヤ)が自転車の世界で重宝されている背景にはそれなりに理由もあり、車やモーターバイクほど自重による負荷がかからない、修理面での効率等、クリンチャーの普及に一理ありといった感じが、今の自転車タイヤの現状ではないだろうか。

しかし、ここにきてロード用チューブレスタイヤが騒がしくなってきた。某有名メーカーからチューブレスが発表されるらしい、○●○から安いホイールが出るかも、等の噂もあり、ただ事ではなくなってきている。

チューブがなくなるとはどういう事なのか。

 

チューブレスはその名の通り「タイヤしかない」ため、路面からの振動や摩擦をタイヤのみで受ける。クリンチャーの場合、タイヤとチューブで受けるが、タイヤとチューブでは力の伝わり方が違うので、転がるだけでロスパワーが発生する。チューブレスは構造上、このロスが圧倒的に少ない。意外かもしれないが、クリンチャーの場合はチューブ=抵抗になってしまっている。これは、タイヤ内に厚みも弾力も違うチューブと言うモノを内包しなければならないクリンチャーの、構造上しかたのないロスと言えるし、無くしてみて初めて、チューブに抵抗力がある事が理解できる。

そして、チューブが無い事で、タイヤ内の空気の量が増える。同じ空気圧でも、チューブの分だけ空気の容量が多いので、乗り心地が良くなる。空気圧を低めに設定も出来るので、路面からタイヤ、フレームと伝って体にくる振動が、実にソフト。これは、シリアスなレーサー以外にも体感できるチューブレス最大の特徴だろう。体感する振動が柔らかければ、それだけ体へのダメージが少なくて済む。転がり抵抗の軽減と相まって、距離を伸ばすのに最適なタイヤだと言える。



次に気になるのはパンク、修理関係。

パンク修理は、2つの方法がある。一つ目は専用の修理キットで裏からパッチを貼る方法。手間はクリンチャーの場合とあまり変わらない。タイヤを全部外す必要がない為、慣れればクリンチャーより早いかもしれない。

2つ目はチューブを入れてクリンチャーにして使う方法。チューブレスホイールはクリンチャーとしても使えるので、チューブを入れても問題なく使える。だが、チューブレスを使っているのにチューブを携帯するのはちょっと悔しい。ちなみにタイヤレバーは不要だ。

リム打パンクもなく、タイヤ交換時のバーストの心配もないため、修理初心者の方や女性の方にも楽に取り扱えるはず。

パンク時の空気漏れが少ないので、走行中も安全なのもうれしい特徴の一つ。チューブは本来ぺらぺらなので、異物で穴があくとすぐに空気が抜けるが、タイヤの場合はゴム厚も伸縮も強いので、自力で穴を塞ごうとする。走行中にピンを踏んでも、いきなりプシューとはならず、スーッと少しずつ抜けてくれるのでパンクによる転倒の危険がぐっと減る。これが理由でチューブラー使ってる人も多いだろう。チューブラーでも同じ特徴があるからだ。

良い事ずくめのようなチューブレスにも欠点が・・・

その1、タイヤの性能と安全性がリム精度に依存する。

ちょっと分かりにく言い方かも知れないが、クリンチャーの場合、空気自体はリムとタイヤから独立しているチューブが保持しているため、リム精度が多少悪くてもそこから空気が漏れたりする事は無いが、チューブレスはあり得る。今は大手メーカーの完組しかリリースされていないので精度は安心しているが、ポテトチップス型に変形したホイールがタイヤの空気漏れを引き起こす事も考えられる。リムの振れや微妙な変形で空気漏れを起こさないというインフォメーションは、メーカーからは出されていない。リムの傷にもやや神経質になる必要があるだろう。

あまりタイヤとリムの相性を考えてタイヤを選んだりはしないが、チューブレスの場合は自分の使っているホイール/リムとセットで考えるべきだと思う。メーカーによって使用不可の場合もあるので特に注意が必要だ。

その2、タイヤの減りが早い
これは必ずしもチューブレスだからではないが、総じて減りが早いものが多い。値段もまだ高いので、経済性ではクリンチャーが上。

その3、軽量化にはあまり貢献できていない
「今のところは」という注釈付き。チューブの分が丸々なくなるのでその分軽くなると思いがちだが、チューブレス自体はお世辞にも軽いとはいえない。だいたいクリンチャーで中級グレード程度の重さのものが多いが、これはやはりクリンチャーの経験値にまだまだ勝てない。これは、チューブレスの欠点ではなく、クリンチャーの経験が勝ってると言える。クリンチャーを軽く仕上げる為に、各メーカーは血のにじむような努力と投資をしてきた。これから同じ努力をチューブラーに当てる必要があるが、心配はない。メーカーが一番敏感な言葉の一つ、「重量」だから。かならず改良くるはずだ。

やや難癖を付けると、見た目がクリンチャーと見分けがつきにくい。各社、ハイエンドモデルに亜種としてナンバリングするケースも増えると思うので(○△□%& 2みたいに)、併用する場合は注意が必要だ。

総評・・・

改良の余地あれど、それをしのぐ性能と扱いやすさ。今から手を出しても損はしない。次にホイールを変える時は、絶対にチューブレスがおすすめ。特に、距離を伸ばしたい初心者の方にこそ使ってほしいアイテムだ。今後のポイントは軽量化とバリエーションをどこまで増やせるか。リムとの連携が重要な構造の為、リム/ホイールメーカーが推奨タイヤをカタログに載せる日が来るかもしれない。

クリンチャーに取って代わる存在になる事は間違いが、クリンチャーが淘汰されて無くなるとも思えない。チューブラーがその扱いにくさを超えるメリットに生かして、現在でもレースの最前線で生き延びているように。

やがてクリンチャーのパンク修理をした事が無い人がいたり、チューブを入手するのに苦労したりする時代がくるだろう。筆者はチューブラー、クリンチャー、チューブレスを扱える最初で最後の世代になりそうな予感がする。


text:Yusuke Shukuya
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