一つの伝説の終焉、メルクスの陰で最も輝いた「不死鳥」と呼ばれ、3大グランツール、世界選手権、パリ~ルーベらクラシックを制した元祖オールラウンダーのジモンディが76歳で死去
自転車界には多くの伝説の名選手がいる。ジャック・アンクティル、ファウスト・コッピ、フランチェスコ・モゼール、ベルナール・イノー、エディー・メルクス、そして最近ではファビアン・カンチェラーラやアルベルト・コンタドールといった名前を聞いたことがある人は多いだろう。彼らの中には自分のブランドを興したものも多く、今でもその名を聞くことは多い。
そしてそんな伝説の男がまた一人世を去った。フェリーチェ・ジモンディ、ツール・ド・フランス、ジロ・デ・イタリア、ブエルタ・ア・エスパーニャの3大ツールを制し(ツール一勝、ジロ3勝、ブエルタ1勝)、さらにはパリ~ルーベ、ジロ・デ・ロンバルディア、ミラノ~サンレモなどクラシックも制し、そして世界選手権も制した男は常にダンディーであり続けた。
過去全てのグランツールを制したのは、アンクティル、ジモンディ、メルクス、イノー、コンタドールしかいないのだが、ジモンディの名はその中でも最も過小評価されているように思える。
1942年生まれのジモンディは、23歳となった1965年にプロになると、まずはジロで・イタリアでいきなり総合3位に入り、そのままの勢いでツール初出場、初優勝をあげたのだ。そこから勝利を量産し続けるとともに、全盛期のエディー・メルクスのライバルでもありながら、メルクスの華やかさに比べて、地味な印象であり、メルクスの陰の中で走り続ける印象はぬぐえなかった。しかしその実力はまさに最強オールラウンダーにふさわしいものだった。その後1979年まで現役を続けた。
ジモンディのパリ~ルーベでの雄姿
自転車競技の歴史はまだまだ浅い、その中でも数少ない伝説の男の一生は、今後さらに再評価されるだろう。不死鳥と呼ばれた伝説の男は、死してなお英雄なのである。
ジモンディRIP
H.Moulinette