イル・ロンバルディア2026:通算5勝ポガチャル不在の”落ち葉のクラシック”を制したのは二十歳になりたてのセクサス!格の違いを見せ残り18㎞を独走で圧勝!マスが2位、チッコーネは3位

Pocket

©Il Lombardia

大会5連覇中だった歴代最強男のタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG)がいなくとも、レースはこれだけ面白いものにできる、それを示したのはたった2週間前までは10代だったポール・セクサス(デカスロンCMA・CGM)だった。進む世代交代と若年化の中で、今グランツールやクラシックで常に上位を伺うメンバーが勢ぞろいする中、それを力でねじ伏せたのは今シーズン大きく飛躍したセクサスだった。初出場のツール・ド・フランスで10代で総合4位に入ったのみならず、今シーズンはバスク一周でメジャーステージレース初の総合優勝、フレッシュ・ワロンヌでワンデイクラシックでも初勝利を挙げていたが、その勢いのままにクラシック最高峰の5大モニュメントの一つイル・ロンバルディア、落ち葉のクラシックまでも制して見せた。

圧巻の走りだった。もとより爆発力のある加速ができるタイプではないが、先頭集団が逃げに追いつき様の残り19㎞、有力勢が勢ぞろいする先頭集団のペースが遅いと感じたセクサスは一気にペダルを踏みこみ始める。ポガチャルのような華やかな一撃ではないが、ジワリとボディーブローのように響く一撃に当初反応できたのは、トム・ピドコック(ピナレロQ36.5 プロサイクリング)とジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック)のみだった。チッコーネは先日のヨーロッパ選手権で写真判定の末に、0.0002秒差、速度を考慮するとおよそ3ミリ差で敗北し悔しさを爆発させていたが、このレースでもヨーロッパチャンピオンジャージを獲得したレムコ・エヴァネポエル(レッドブル・ボーラハンスグロエ)に雪辱を果たすべく渾身の走りを披露する。

だが残り18.2㎞で上り区間の登坂力でセクサスは独走態勢へと持ち込むと、そのままゴールまで逃げ切って見せた。20歳16日は史上最年少でのイル・ロンバルディア制覇、モニュメント制覇も史上4番目の若さで達成した。これは1909年のヴィクトル・ファストレの18歳362日の最年少、1925年のジョルジュ・ロンスの19歳102日、1944年のリック・ファン・スティーンベルゲンの19歳206日に次ぐ若さでのモニュメント制覇となった。

©Il Lombardia

2位に入ったのはブエルタ・ア・エスパーニャで総合優勝を果たしたエンリック・マス(モビスター)、2022年にも2位に入っていたが、またしても一歩届かず2位でゴールラインを迎えた。チッコーネは粘り続けて3位表彰台確保、しかしながらその表情にはまたしても悔しさがにじみ出ていた。

この日レースを支配し続けたのはポガチャルのいないUAEチームエミレーツXRGだった。世界チャンピオンジャージを身に纏るブランドン・マクナルティー(UAEチームエミレーツXRG)がアシストをするという豪華な布陣で、エースに任命されたメキシカンチャンピオンジャージのアイザック・デル・トロ(UAEチームエミレーツXRG)での勝利を狙っていた。239㎞の秋の旅路は、14人の逃げが決まるところから動き出す。グランツールでも活躍してきた総合系のベン・オコナー(ジェイコ・アルーラ)やジョージ・ベネット(NSNサイクリング)が抜け出していくが、UAEチームエミレーツXRGとエヴァネポエルで勝利を狙うレッドブル・ボーラハンスグロエが大きなアドバンテージを許さない展開が続く。

©Il Lombardia

最大でも3分差ほどにまで広がることはなく、細かい心理戦が集団内では繰り返される。残り50㎞を切ると勝利を狙う各チームによる駆け引きはさらにはっきりと攻撃的となり、それに合わせて先行していた逃げ集団も徐々に人数を減らしていく。UAEチームエミレーツXRGはここでも牽引を見せ、アルカンシエルがメキシコチャンピオンジャージをアシストする豪華な隊列が目を引く。だが逃げ続けたメンバーたちとのタイム差の縮まり方を見ても、ペースは大きく上がっておらず、ジワリと追い詰めていく形となる。

©Il Lombardia

そんな中でこのペースが遅いと判断したのはセクサス、一気に自らペースを作り始める。だがこのペースアップについていけなかったのがデル・トロとエヴァネポエルの優勝候補筆頭の二人だった。更なる飛躍を狙うピドコックとヨーロッパ選手権での雪辱を果たしたいチッコーネ、さらにはブエルタ制覇で好調のマスという強力なメンバーが全く太刀打ちできないほどにセクサスのペースは快調そのもの、ゴールまで一人タイムトライアルをし続け、あっさりと二十歳になったばかりの自分への最高の祝砲を上げた。マスとチッコーネはそれぞれ単独でゴールし表彰台を確保、その背後に形成された小集団でのスプリントを制したエヴァネポエルが4位、世界チャンピオンのマクナルティーはきっちりと5位、ピドコックが6位に入った。

ゴール後には勝負所での加速に関して平然と「集団のペースが遅かったから」と世界最高峰のエース格が集まっていた集団のペースをバッサリと切り捨てる発言をするあたり、若々しさと怖いもの知らずな勢いを感じさせた。そして次にセクサスが出場するのは今シーズン自身の最終戦、MTBの主要レースとなるロックダジュールのレースとなる。どこまで成長していくのか、またポガチャルが復帰してきても同じように勝ち続けることができるのか、セクサスの成長から目が離せない。

©Il Lombardia

ポール・セクサス(優勝)
「やばいね、まだ実感がわかないよ。全ては完璧だったね。チームメイトが最高の仕事をしてくれたし皆が限界を突破してくれたよ。今日はなんかいけそうな気がしてて、脚もよく回っていたんだ。勝負どころでは僕にはなんかリズムとペースが遅い気がしてだから早すぎるとは思ったんだけどあのタイミングでペースを上げて勝負に出たんだ。でも勾配が緩むところもあったから、とにかく一番勾配がきついところで差を広げるべく踏み抜いたんだよ。あとはもう自分との闘い、ゴールまでTTだったね。」

©Il Lombardia

レムコ・エヴァネポエル(4位)
「個人的には調子よかったんだけど、でもまだ疲れが抜けきってなかったんだよね。それが終盤最後の一時間でドバっと出た感じだよ。ツール・ド・フランス以降調子を整えるのが難しくなっているんだ。今日のレースを見てもらったらわかると思うけど、その結果がこれだよ。悪くはないんだけど、脚がとにかく上りで重かったんだ。そして僕よりも強い選手たちがいたってことだよ。」

トム・ピドコック(6位)
「ちょっと位置取りがまずかったね。セクサスが動いたタイミングでそこまで順位を上げていくのに脚を使ってしまい、それで一気にレッドゾーンまで行ってしまったよ。でも調子は良かったんだ。ただ無理をしたら一気にばてたんだよ。これが失敗だったね。セクサスはそもそもアタックすらしていないからね。彼が自分のペースで走ったら誰もついていけなかった、それだけのことだよ。」

イル・ロンバルディア順位
優勝 ポール・セクサス(デカスロンCMA・CGM)
2位 エンリック・マス(モビスター)
3位 ジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック)
4位 レムコ・エヴァネポエル(レッドブル・ボーラハンスグロエ)
5位 ブランドン・マクナルティー(UAEチームエミレーツXRG)
6位 トム・ピドコック(ピナレロQ36.5 プロサイクリング)
7位 ペッロ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス)
8位 クリスチャン・スカローニ(XDSアスタナ)
9位 フィリッポ・ザナ(ソウダル・クイックステップ)
10位 マシス・ロンデル(チュードル・プロサイクリング)

H.Moulinette