ブエルタ・ア・エスパーニャ第16ステージ:フルームが個人TTで圧勝!ニーバリ激走でステージ3位もタイム差広がりガックリ、コンタドールが渾身の走りで総合5位にジャンプアップ!

総合争いに向けて大きな意味を持つ個人TT、この結果次第で一気に総合が大きく揺さぶられるそんなステージだったが、それを制したのは他でもないマイヨ・ロホを着用する総合リーダーのクリス・フルーム(チームスカイ)だった。誰よりも速くコースを駆け抜けた男は、ツール・ド・フランスを制した勢いそのままに、このブエルタでも盤石の強さを見せておりこれで今大会ステージ2勝目、総合争いを繰り広げるライバルたちに大きなタイム差をつけた。

『強いフルーム、自分のペースで走りきった ©Tim D.Waele 』

『圧巻の勝利、ダブルツールへ前進 ©Tim D.Waele 』
「正直自分のタイムがどの程度なのかわからなかったんだよ。あまりいい感じではなかったから、中間計測では焦りさえあったんだよ。でも残り6~7kmになり、ようやくちゃんと走れているということが確信できて安堵したんだよ。これでタイム差も広げられたし、あとはその日その日に集中していくよ。とにかくチームには感謝しているよ。」フルームは笑顔で語った。
大会後半の個人TT、しかも距離は十分すぎる40.2kmとなれば、自ずとTTスペシャリストたちにステージ勝利のチャンスが落とすれるはずだった。しかしこのステージではなんと総合上位の選手たちが激走、ステージ上位トップ5を総合トップ10圏内の選手が占める結果となった。

『総合上位勢がそれぞれ出来る限りの走りを見せた ©Tim D.Waele 』
フルームに最後にステージ優勝こそ奪われたが、ウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ)が会心の走りでステージ2位、これで総合3位へと浮上した。そしてそのケルでルマンに総合3位の座を奪われたのはステージ4位のイルヌール・ザッカイン(カチューシャ・アルペシン)、こちらも素晴らしい走りを見せたが、ただそれ以上にケルデルマンの走りが文句なしだった。だが二人のタイム差は拮抗しており、間違いなく総合表彰台争いはこの二人を中心として激化しそうだ。今年ジロ・デ・イタリアを制したトム・デュムランに続けとばかりにチームサンウェブはまたしてもブエルタでその才能を大きく開花させる選手が現れた形だ。

『ニーバリはいい走りをしたが、結局タイム差を広げられ落胆 ©Tim D.Waele 』
そして総合2位のヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)もこれ以上ない走りでステージ3位を獲得、しかし総合ではフルームに約1分差をつけられてしまい、珍しくレース後に弱音を吐いた。「この結果を見れば、僕のコンディションがいいことはよく分かるはず。でもそれではフルームを倒すにはまったく足りないということ。」ニーバリは現状のフルームが手のつけようがない状況であることを語った。
そしてこの日一番の盛り上がりを見せたのが、アルベルト・コンタドール(トレック・セガフレド)の走りだった。中間計測では一時トップタイムをマークするなど、往年の姿を彷彿とさせる走りで沿道の観衆は大きく沸いた。結果はステージ5位、しかしこれで総合でも一気に5位まで順位を上げ、自身最後のツールで元王者の威厳を見せつけている。
対してこの日苦しんだのが、エステバン・チャベス(オリカ・スコット)、ファビオ・アルー(アスタナ)、マイケル・ウッズ(キャノンデール・ドラパック)だろう。それおぞれ大きくタイムを失い総合順位を下げたが、3人共今までの貯金がいきて総合トップ10は死守した。

『フルームは自力でライバルたちを突き放した ©Tim D.Waele 』
そしてフルームの山岳でのアシスト、ワウト・ポエルス(チームスカイ)がこの個人TTでステージ7位と見事な走りを見せ、なんとフルームをアシストしながら走っているにも関わらず総合7位までジャンプアップしてきた。ダブルエースではなく明確にアシストの役割を似な居ながらのこの順位は驚異的といえるだろう。
これで総合はまたしてもシャッフルとなったが、フルームの優位がさらに盤石となり、また個々のタイム差も広がったことで、総合表彰台を巡るバトルは、大きな博打に出なければ逆転できない選手もでてきた。これによりここからの山岳ステージではますます激しい駆け引きとバトルが期待できそうだ。
ブエルタ・ア・エスパーニャ第16ステージ
1位 クリス・フルーム(チームスカイ) 47’00”
2位 ウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ) +29”
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ) +57”
4位 イルヌール・ザッカリン(カチューシャ・アルペシン) +59”
5位 アルベルト・コンタドール(トレック・セガフレド)
6位 トビアス・ラドヴィグソン(FDJ) +1’07”
7位 ワウト・ポエルス(チームスカイ) +1’11”
8位 レナード・カムナ(チームサンウェブ) +1’30”
9位 ボブ・ユンゲルス(クイックステップ・フロアーズ) +1’41”
10位 ダニエル・オス(BMC) +1’49”
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 クリス・フルーム(チームスカイ) 62h53’25”
2位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ) +1’58”
3位 ウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ) +2’40”
4位 イルヌール・ザッカリン(カチューシャ・アルペシン) +3’07”
5位 アルベルト・コンタドール(トレック・セガフレド) +4’58”
6位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ) +5’25”
7位 ワウト・ポエルス(チームスカイ) +6’27”
8位 ファビオ・アルー(アスタナ) +6’33”
9位 エステバン・チャベス(オリカ・スコット) +6’40”
10位 マイケル・ウッズ(キャノンデール・ドラパック) +7’06”
H.Moulinette