ブエルタ・ア・エスパーニャ第5ステージ:今大会初の頂上ゴールを制したのはルチェンコ!総合もバトル勃発、フルームに対応できたのはチャベス、アルー、ニーバリらは脱落!

早くも総合争いが激しいバトルとなっている。今大会初めての頂上ゴール決戦の勝者は逃げの手に委ねられたが、その背後で総合バトルも勃発、グランツール連覇を狙う総合リーダーのクリス・フルーム(チームスカイ)が動き、総合争いの行方がおぼろげながらに見えてきた。

『ルチェンコにとってもアスタナにとっても大きな勝利 ©Tim D Waele 』

『ベビーに捧げる勝利 ©Tim D Waele 』
頂上ゴールの日は間違いなく総合勢が動く、そんなステージではステージ優勝は逃げの手に委ねられることが多く、この日のステージでもステージ優勝争いの権利は逃げのメンバーに与えられた。ジュリアン・アラフィリップ(クイックステップ・フロアーズ)、マルコ・ハラー(カチューシャ・アルペシン)、アレクシス・グジャール(AG2R)、アレクセイ・ルチェンコ(アスタナ)と言った強豪どころが逃げに乗り、レース中盤ではジェッツ・ボル(マンザナ・ポストボン)がバーチャル総合リーダーになるなど。展開は目まぐるしく動いた。そして逃げ集団から飛び出したハラーとルチェンコが揃って最後の頂上ゴールへの上りへと突入、すると圧倒的な登坂力を見せたルチェンコが独走態勢となり、そのまま初のグランツールステージ優勝を飾った。ステージ2位には後方から追い上げたマラウィ・クドゥス(ディメンション・データ)が入った。
「2014年に初めてブエルタに出場したときはステージ2位だったんだよ。間違いなくこの勝利は人生最大の勝利だよ。逃げからは飛び出したけど、そうそうたるメンバーが揃っていたし、追走を仕掛けてくるのはわかっていたからとにかく耐えるしかなかったよ。」ルチェンコは淡々と語った。

『チームスカイの組織力がまたしても力を発揮 ©Tim D Waele 』

『フルームについていけたコンタドール ©Tim D Waele 』
そんなステージで早くも総合勢バトルが勃発、そして早くもそれぞれの調子が露呈、明暗がくっきり別れるステージとなった。最後の上りに入りジャンニ・モスコン(チームスカイ)が物凄い渾身のアシストを見せる。これにより総合勢は大きく分裂、あっという間に粉々となる。そしてそこからフルームが満を持してアタックを決めると、それについていけたのはまたしてもエステバン・チャベス(オリカ・スコット)だった。更にこの日は復調してきたアルベルト・コンタドール(トレック・セガフレド)、そしてマイケル・ウッズ(キャノンデール・ドラパック)がこれに対応、この4人が集団でゴールした。それにわずかに遅れティージェイ・ヴァン・ガーデレンが単独でゴール、さらに遅れてアダム・イエーツ(オリカ・スコット)、イルヌール・ザッカリン(カチューシャ・アルペシン)、ファビオ・アルー(アスタナ)らがゴール、そこからさらに遅れてサイモン・イェーツ(オリカ・スコット)、ダビ・デ・ラ・クルス(クイックステップ・フロアーズ)らがゴールした。ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)はそこからもさらに遅れる苦しい展開、激しいペースアップについていくことが出来ずに苦悶の表情を浮かべながらのゴールとなった。

『ニーバリも伸びずに苦戦 ©Tim D Waele 』

『AG2Rツートップ崩壊 ©Tim D Waele 』
これで総合争いもフルームが変わらずトップ、そしてそれ以下が一気にシャッフルされた。BMCのヴァン・ガーデレンとニコラス・ロッシュが初日のチームTTのアドバンテージを未だにキープし、総合上位をキープするなか、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォとロメイン・バルデのダブルエースが共倒れとなっているAG2Rにとっては早くも苦しいブエルタとなっている。またオリカ・スコットはトリプルエースのイェーツ兄弟とチャベスが全てトップ10に入っている状況、フルームにとっては手強い存在となりそうだ。

『フルームも注目のチャベス ©Tim D Waele 』
「間違いなくチャベスが好調だね。要注意だよ。去年もいい走りをしていたし、間違いなく今年もそうなると思うからね。でも第16ステージの個人TTは彼にとっては不向きだろうから、そこだろうね。またコンタドールも最後まで諦めないだろうから要注目だよ。そして今日はモスコンが素晴らしかった!あれでライバルたちが完全に崩壊したね。」フルームは最大ライバルとなりうる男、復活してきた王者、そして自らのチームメイトを褒め称えた。
ブエルタ・ア・エスパーニャ第5ステージ
1位 アレクセイ・ルチェンコ(アスタナ) 4h24”58”
2位 マラウィ・クドゥス(ディメンション・データ) +42”
3位 マルク・ソレル(モビスター) +56”
4位 マテイ・モホリッチ(UAEチームエミレーツ) +1’11”
5位 アレクシス・グジャール(AG2R) +1’24”
6位 マルコ・ハラー(カチューシャ・アルペシン) +1’37”
7位 ジュリアン・アラフィリップ(クイックステップ・フロアーズ) +1’40”
8位 ジェッツ・ボル(マンザナ・ポストボン) +2’04”
9位 マトベイ・マミキン(カチューシャ・アルペシン) +2’18”
10位 ジェレミー・メゾン(FDJ) +2’31”
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 クリス・フルーム(チームスカイ) 18h07’10”
2位 ティージェイ・ヴァン・ガーデレン(BMC) +10”
3位 エステバン・チャベス(オリカ・スコット +11”
4位 )ニコラス・ロッシュ(BMC) +13”
5位 ダビ・デ・ラ・クルス(クイックステップ・フロアーズ) +23”
6位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ) +36”
7位 ファビオ・アルー(アスタナ) +49”
8位 アダム・イェーツ(オリカ・スコット) +50”
9位 サイモン・イェーツ(オリカ・スコット) +1’09”
10位 マイケル・ウッズ(キャノンデール・ドラパック) +1’13”
H.Moulinette