RIDLEY
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Ridley Technology 進化し続けるリドレー
ツール・ド・スイスでカデル・エヴァンスが乗ったプロトタイプ。それがリドレー・ディーンだ
高い戦闘能力によりプロサイクリングレースの頂点で戦うリドレーのレーシングバイク。自転車大国ベルギーの経験豊富なスタッフや、その地の利を活かした研究開発により、プロサイクリストたちの走りを支えている。リドレーが世界最高峰のレース「ツール・ド・フランス」に向けて新たなテクノロジーを搭載したバイクをテストし始めている。
ツール・ド・ロマンディに登場したロビー・マキュアンのプロトタイプバイク。新型ノアという噂だった
各メーカーともツール・ド・フランスで新製品を実戦投入することを目標に日夜研究を重ねているが、リドレーも例外ではない。それはプロサイクリングチームに供給しているブランドなら至極当然のことである。春先のレースからロビー・マキュアンや、カデル・エヴァンス、レイフ・ホステといった選手が駆ったプロトタイプバイクは、レースフリークなら確認済みのはずだ。
そこで目にしたバイクは、ある性能を特化させていた。それは「エアロダイナミクス」である。今日、ハイエンドバイクのほとんどはカーボン素材を使用しているが、軽さや剛性の他にも形状の自由化というメリットがカーボンにはある。この有効性を最大限に活かしたのがエアロダイナミクス形状といえるだろう。リドレーが打ち出すエアロプロジェクトとは一体どのようなものなのだろうか?
エアロダイナミクスを追求する
"R-Flow(アールフロー)プロジェクト"と銘打ったこの計画は、2つの新型モデルを生み出すことになりそうだ。
これまでハイエンドモデルとしてラインナップされていたノア(NOAH)が、このプロジェクトにより形状を新たにした。そして新型タイムトライアル/トライアスロン用モデルとしてディーン(DEAN)というモデルがリリースされるという。

この2台は流体力学に焦点を当てて設計された。その上、いかに乗り心地を犠牲にしないかという面にも重点をおき製作されている。その理想を実現させたのが、オーバル・コンセプト社との共同開発である。

"アールフロー"の象徴的な部位はフロントフォークとシートステーに設けられたスリットにあるだろう。ジェットフォイル=水中翼船と名づけられたこのデザインにはオーバル・コンセプト社の技術が採用され、大胆な整流フィンが設けられる。これがホイール付近の空気の流れを適正化し、空気抵抗の軽減を実現しているのだ。通常、この付近の空気抵抗はホイールの性能に大きく依存しているが、このジェットフォイルによってスポークが空気を攪拌することで発生する乱気流による抵抗を軽減することに成功している。
リドレーNOAH(ノア)
リドレーDEAN(ディーン)
大胆なジェットフォイル・スリットが設けられたノアのフォークブレード
リアステーにもスリットが設けられる。ディスクホイールであっても空気抵抗低減効果があるという
スポークによって生じる乱気流を整える効果がある
驚異的空力特性をもつディーンのジオメトリー&デザイン
ディーンは空気抵抗軽減とパワー伝達効率の向上を狙った、まったく新しいタイムトライアル/トライアスロン用フレームだ。フレームジオメトリーはフィッティングマシンをリリースする企業Bikefitting.com社とリドレーのノウハウを融合させて製作されている。

それまでのTTバイクの問題は、ライダーの重心が前に寄り過ぎ、前輪荷重が大きいことにあった。ディーンのフロントフォークはライダーの身体がバイクの中心に位置するように新たにアングルが設計された。その結果コーナリング性能が適正化され、より鋭くコーナーを攻めることができるようになった。

そしてシートアングルにもリドレーの采配が活きる。フレームサイズによって大きく変動するこのアングルはサドル位置を決定する重要なファクターとなる。
ディーンはサドル高に応じてサドル台座の位置を可変式にしたことで、73.5°、76°そして78.5°という3種の仮想シートアングルを実現。コースの違いやDHバーの有無といったライディングスタイルの変化にあわせて適切なシートアングルを自由に選ぶことができるのだ。
DEANのスケルトン図。TTバイクに革新を呼ぶジオメトリーだ
ツール・ド・ロマンディでDEANを駆るロビー・マキュアン
流麗なデザインは究極的に低い空気抵抗値を実現した
空気抵抗減少のためにはリアホイールを極力シートチューブに近づけたい。ディーンではハブ取り付け位置の微調整ができる正ツメのリアエンドを採用している。ホイールの違いによる微妙な周長の変化や、タイヤの太さの違いにあわせてもっとも空気抵抗の少ない取り付け位置に調整可能なのだ。

そして空気抵抗増大の原因となるワイヤーの類は出来る限りフレームに内蔵される。さらにブレーキキャリパーはフロントはフォークの後ろ側、リアはボトムブラケットの下に装着するという徹底したエアロダイナミクス対策が練られている。

フォークやシートチューブだけでなく、前衛的なフレームデザインはリドレーの高度なカーボン成型技術がなせるワザだろう。流麗なチューブ形状、真っ先に空気を切り裂くヘッドチューブ形状には理由がある。
高度なカーボン成形技術
ディーンとノアに採用されたジェットフォイルの鋭いエッジや、ボトムブラケット領域やヘッドチューブの形状など、斬新なデザインが光る。これらはリドレーがもつ最新のカーボン・モールデッド技術の賜物だ。空力特性に優れ、さらにペダリング効率にも優れている。それは数値で表せるほどのものだ。

カデル・エヴァンスらによる比較テストでは、ノアに乗って時速40kmで走行した場合、ヘリウムよりも平均出力で12ワット低く、心拍数もわずかに減少していた。つまり空気抵抗軽減によってもたらされたのは、ライダーの運動性能向上というメリットだ。

サイレンス・ロットによってテストされるノアとディーン。ノアのプロトタイプはすでにロビー・マキュアンによってツール・ド・ロマンディとツール・ド・スイスでステージ勝利を挙げ、その理論が正しかったことが証明された。これらのフレームはツール・ド・フランスが正式なデビューとなる。 最高の機材は揃った。あとは最速で駆け抜けるだけという青写真ができあがっているはずだ。
テスト中のカデル・エヴァンス
風洞実験を繰り返して精度を高めたノアとディーン
プロトタイプのノアですでに勝利を挙げているロビー・マキュアン
リドレー
HELIUM