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世界最高クラスのロードバイク、ピナレロ「プリンスカーボン」。そのバイクが供給されるプロチームは日本にもある。アジアツアーをメインに世界と戦うコンチネンタルチーム、愛三工業レーシングはピナレロ社よりバイク供給を受ける世界でも数少ないファクトリーチームだ。08年シーズン前半、チームは勝利の量産体制に入っているかのような活躍をみせる。
バイクの性能は勝敗を左右するファクターとなる。バイクにも活躍の秘密があるのではないだろうか。そこでチームの軸となるエース級ライダー4人に「プリンスカーボン」のアドヴァンテージを伺ってみよう。
「強力な一発を引き出せる決戦用バイク」ー 西谷泰治
「勝つための力を発揮できるプロ仕様」ー 別府匠
‐プリンスカーボンの第1印象はどうでしたか?

廣瀬敏選手(以下、廣瀬 敬称略) 2月の合宿で初めて乗ったのですが、剛性が高いですね。

盛一大選手(以下、盛) トラック競技が目白押しだったものですから、チームメイトよりも乗り込めていませんが、敏感なフレームですね。調整もばっちりと決まればかなり走るバイクになるのではと期待をよせています。今はよいイメージで乗れていますが、最初は高い剛性や、軽量すぎるフレームに戸惑ってしまいましたよ。

別府匠選手(以下、別府) 思った以上に硬いフレーム。ギヤのかかりがいいと思いました。しかしレースで使ってみないとわからないという気持ちはありました。

西谷泰治選手(以下、西谷) 乗り慣れていないながらも上りのキレがよかった。特にダンシングなど。前回のバイクとは明らかにフィーリングが違いますね。長所と短所がはっきりしている感じです。



‐第1印象はそれぞれに感想があったようですが、昨年使っていたパリカーボンとの違いといえば?

別府 一枚岩のような硬さがありますね。フォーク・フレームと。カーボンとは思えない高剛性でしょう。オンダ・カーボンフォークはストレートフォークと思わせる剛性感で、切れ込み方が他とまったく違います。上りでは軽いギヤよりもちょっと踏んでいるほうが進む感じでしょうか。

西谷 全体的に剛性を上げている感じはしませんが、ヘッドやBB周囲の剛性はかなりアップしていますね。バイクを振って走るようなシーンや、コーナーが続く高速セクションでは頼りになります。

廣瀬 パリカーボンよりも硬いですね! でもその硬さには不快なイメージは感じません。自動車でいうとスポーツサスが入っているようなイメージでしょうか。
パリカーボンよりも15%剛性が上がったとされるプリンスカーボン。3年の開発期間から生み出されたその性能の秘密についてはCYCLINGTIME.comPR「ピナレロプリンス・カーボンspecial」で確認してほしい。
‐剛性が上がったという意見が多いですが、その感覚を少し詳しく教えてください。

 この硬さがパワーをしっかりと推進力に変換していますね。

廣瀬 ちんたらと走るのではもったいないバイク、まさにレース用というフレームです。レースで成績を出したい人が使うような。下りの伸びはいいですね。ピナレロ全体にいえることなんですが、クセがなく、コーナーでも安心して走ることができます。

別府 レースでは主にカンパニョーロのボーラウルトラホイールとの組み合わせで使用していますが、まず感じることは自分のスピードのキャパシティを引き上げてくれるということです。加速が鋭くスピードが持続する。自分がもっている力を最大限を引き出してくれるような感覚です。地脚を使うようなところではいつも以上に力が出せてしまうので、気をつけないといつの間にか体力を奪われてしまいますが・・・・・・。そのかわり、レーススピードでは流れるようにスピードを維持してくれます。潜在的な自分の力を引き出すことはできますが、逆にその反動も大きい。凡庸性は度外視されていると思います。

西谷 スプリンターの僕はアルミの剛性感が好みなので、シートステーあたりをもっと硬くしたい。個人的にはアルミモデルのパリが自分にとって過去最高のバイクだったので! もちろんプリンスカーボンもハイスペックですから不満はまったくないですけれど。

別府 加速力はかなり軽快ですよね。踏みだしがかなり軽い。エアロ系のホイールと組み合わせるとかなりスピード持続性が高まりますけど、力を出し過ぎてしまう傾向があります。走りすぎてしまう。

‐つい踏みたくなってしまうような高い剛性感。魅力的ですね。その剛性感と反比例するように軽量なフレームですが。

廣瀬 重量も軽いので加速がいいんですよね。40キロ以上のスピード持続性が高い傾向にありますね。

西谷 中高速はかなりよく伸びます。高速時のスピード持続性はかなりのもの。軽量なんですが粘る感じですね。逆に低速時は軽いギヤからスタートしないときついでしょうか。基本的に実戦用の戦闘機なので、ゼロ発進のことは考えていないと思います。

‐高速域で走ることを前提としているようなバイクということですね。まさにレーススペックということでしょうか。

 感覚でいうと横移動がしやすいというところでしょうか。第一印象で不安定と感じていた部分が、今ではよりクイックに方向転換できるようになったと感じる。下りの印象も良くなりました。しっかりとハンドルが切れるので、スムーズにコーナーに入っていける。

別府 ヘッド剛性も高いですね。ピナレロ全般にいえることですけど、プリンスになりさらに剛性がリファインされているため、コーナリングの安心感が一層増しました。

‐ストレスなくコーナーや下りを攻めることができる?

廣瀬 さきほども述べましたが、下りはいいですよね!

西谷 高速になればなるほどその実力の高さを思い知らされました。踏まなければならないような下りでも、簡単にスピードに乗せられるのもいい。
「苦手な上りでも気持ちよく走れる」ー 廣瀬敏
「初期の不安要素が好印象へと逆転した」ー 盛一大
‐定評あるオンダカーボンフォークの性能は健在ですね。サイクリストのみんなが気になる上りの性能はどうですか?

西谷 さすがにピナレロの最軽量フレームだけあり、今までのどのモデルよりも上りが快適。ギヤをかけてグイグイ上っているようなシーンには適していますね。例えば富士スバルラインなど・・・。もちろんプロのレベルの話ですが。

別府 ダンシングをしてもびくともしないフレームなので、バイクを振るときに少々クセを感じるかもしれない。またシッティングではギヤをかけて上ることができますが、アマチュアサイクリストだったら定石どおり回転で走るのが無難でしょうか。

‐フレーム剛性の高さと、軽さの両立ですね。

廣瀬 僕は上りが苦手なほうなんですが、このバイクならヒルクライムも気持ちよく走ることが出来ますよ!
卓越した剛性と軽さ。世界最高クラスのサイクリスト、アレハンドロ・バルベルデも称賛している。
CYCLINGTIME.comPR「ピナレロプリンス・カーボンspecial」で確認してほしい。
‐他社が使用することができないレベルの最高クラスのカーボン素材を採用し、プロユースに耐えるハイスペックを誇る。そんなフォーミュラマシンを誰でも手に入れることができるとあってアマチュアサイクリストからは羨望の眼差しが注がれています。アマチュアがこのバイクを乗りこなすために、どんなアドバイスを送りますか?

西谷 正直、このバイクを乗りこなすのには高いスキルが必要でしょう。ただし走り方を意識することでバイクの特性を活かすことができると思います。例えば、ケイデンスを意識してしっかりと回して走れば脚への負担も少ないですから。まずはキレイなペダリングで走れるように練習するとプリンスカーボンの性能を愉しめるでしょう。強力な一発をもつ良いフレームですよ!

 この自転車を乗りこなすにはそれなりの時間と練習が必要でしょうか。しかし、そのぶんだけ得るものはありますよ。
写真は盛一大選手のバイク。バイクを見ただけで独走力に溢れるその走りが想像できる美しいセッティング
a 新幹線や航空機を思わせるノーズデザインはスポーツバイクの域を超えていると絶賛/b ピナレロだけに使用が許された50HM1Kという超高弾性カーボン素材。日本の東レ製だ/c 愛三工業のすべての選手が性能を絶賛するオンダフォーク。フォークの性能はロードバイクのキモといっていい/d 高い剛性感と反応性を誇るBB付近の造形。高い反発力と快適性を備えるのは高弾性カーボンならではの性能だ
バイクの安定感を生み出しペダリング応力に耐える強さが求められるバックステー。オンダカーボンバックはフォークとのベストコンベネーションだ
‐ペダリングを養成する良いきっかけとなりそうですね。バイクに鍛えてもらうというイメージもあって、自身のレベルアップも望めそうですね。

別府 ピナレロらしい美しさ。造形美があるので所有する喜びも満たしてくれるでしょう。ただ長距離を楽に乗れる自転車ではなく、長距離を楽に“速く”走る自転車。しっかりと乗り込んで自分のポジションをつかみ、踏みかたがわかったうえで乗ると使いこなせると思います。ポジションやペダリングなどは、フレームの剛性によって乗り方が変わってくると思いますので。

 ポジションに関しては、"かっこよく"よりも楽に長く乗れるポジションを見つけるのがいいでしょう。ちょっとアップ気味のハンドルポジションから徐々に下げて攻撃的なライディングフォームを見つけるのがいいでしょう。

廣瀬 ホビーレーサーの方はプリンスに乗るんだったらウエア、ヘルメット、シューズなどもコーディネイトすればすごくカッコ良く見えると思います。またこのバイクはツーリングをするためのものではなく、本当に本気でレースを走る人のためのバイクではないかと思います。またホィールの性能もきっちり引き出せるフレームなので、できるならいろいろなタイプのホイールを試して自分にあったものをセレクトできれば最高のバイクになると思います。

西谷 僕も同意見ですね、ホイールの特性が明確に現れるフレームだと思います。レースの性質、つまり平坦コースだったり、上りが多かったりなど特徴によって使いわけるとよりフレームの性能を引き出せるのではないでしょうか。

‐ピュアレーシングバイクとして生み出されたバイク、憧れますね。スタイリッシュかつ、高いポテンシャルをもったフレームということがわかりました。ピナレロ・プリンスカーボンと共にアジアツアーの頂点を獲得してください。期待しています!!

愛三工業レーシングチーム
UCIコンチネンタル登録する日本トップクラスのファクトリーチーム。選手は総勢9名。2008年の目標はアジアツアーの頂点に輝くこと、そしてオリンピック出場だ。 http://www.cyclingtime.com/modules/ctnews/view.php?p=7636

西谷泰治(にしたにたいじ)
1980年2月1日生まれ。身長167cm、体重63kg。プリンスカーボンのフレームサイズは50mm(トップチューブ長は525mm)。脚質はオールラウンダー。得意なコースはアップダウンに富んだコース。スプリンターとしての実力はアジアでもトップクラスだ。
別府匠(べっぷたくみ)
1979年9月29日生まれ。身長168cm、体重60kg。プリンスカーボンのフレームサイズは465mm(トップチューブ長は515mm)。脚質はクライマー、ルーラー。少人数の逃げと上りを得意としている。
廣瀬敏(ひろせさとし)
1976年3月17日生まれ。身長182cm、体重71kg。プリンスカーボンのフレームサイズは540mm(トップチューブ長は550mm)。脚質はルーラー、スプリンター。アップダウンのあるコース、少人数のスプリントが得意。
盛一大(もりかずひろ)
1982年9月17日生まれ。身長176cm、体重70kg。プリンスカーボンのフレームサイズは530mm(トップチューブ長は545mm)。脚質はスピードマン。最終局面の独走や、少人数のスプリントを得意とする。
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