サイクリングシューズと普通のスポーツシューズを比べて、第一に挙げられる相違点がソールの硬さだ。右の写真を見て欲しい。シューズのソールが硬ければ、ペダリングで踏み込んだ力がソール全体に伝わり、それが推進力につながることがおわかりいただけるだろうか。もしこれが柔らかいソールならばどうなるか? 力が分散され、かかとにかかる力までペダルに伝えることは難しくなる。

「シューズ選びで大切なのは、ソールの硬いものを選ぶこと。硬いだけに、自分の足裏のカーブと合っているかどうかも、重要なチェックポイントです。」

シューズも人も「ソリが合うかどうか」が大切ということか。

また、かかとのホールド力も重要だ。仮に、かかとがシューズで固定されていない場合を想定し、サンダルを使ってペダリングをしてみた。それが右下の写真だ。

この実験から体感できるのは、かかとが浮いてしまうと、ペダルにかかる力はつま先でしか生まれない。また、足を引き上げるときに生じる力も推進力として活かせないということ。

「ペダリングのときは足首で角度を調節するので、普通ならシューズからかかとが離れてしまいますが、サイクリングシューズは、それが離れないような構造になっています。その構造を最大限に生かすためには、自分のかかとにピッタリとくるシューズを選ばなければなりません。」

もちろんアッパーのホールド力も重要だが、まずはシューズの底が足にフィットしていることが大前提。シューズ選びでは、この点を重視したい。
ペダルの部分だけで踏み込むのではなく、シューズのソール全体で踏み込むことで、より大きな力が走りにつながる。

ソールがやわらかく、かかとがホールドされないシューズはサンダルと同じ。つま先踏み込む力しか、推進力にならない。(使用サンダル:パールイズミ「アールエス02」)

 
愛三工業レーシングチーム所属
1979年9月29日生まれ。
神奈川県茅ヶ崎市出身。

高校卒業後、6年間ヨーロッパのレースを走り、2004年に日本の愛三工業レーシングチームに移籍。移籍1年目に日本の2大ステージレースのひとつツアー・オブ・ジャパンでステージ優勝をあげ、日本人で初めてリーダージャージを獲得した。2005年度は日本実業団ランキング1位を獲得。現在、世界最高峰のUCIプロチームに日本人で唯一所属している別府史之(ディスカバリーチャンネル)の実兄。

ブログ「Takumi's Weblog」
5700 オクタンLE
5015 ピーアイベイパー®ロード
5071 ジュースR2
5067 ピーアイバイパー®R2
5060 ピーアイバガボンド®R4
5050 ファストR3
5063 アールエス02
 
 
ひと口に「硬いソール」と言っても、乗り方によっては硬すぎると感じる場合もある。

「自転車用シューズには、カーボンや樹脂など、乗り手に合った硬さのソールが選べるように、各種揃えられています。自分のレベルやどんなシーンで乗るのかを考えて選ぶようにしましょう。」

ロードレースに臨んだり、本格的なスポーツライドを目的とするなら、フルカーボンソールのモデルやパールイズミ・オクタンLE®に採用されているカーボンとチタンのハイブリッドソールのようなタイプがおすすめだ。カーボンソールよりもさらにペダリング性能を追求して軽量に造られたハイブリッドソールは、ペダリング効率をグッと引き上げてくれる。

レース用の主流はカーボンソールだ。オクタンLEのカーボン&チタンほどの硬さは期待できないが、レースや本格的な走りに充分耐え得る硬さを備えている。ほとんどのプロ選手が使用していることでも、その性能はお墨付きだ(ほとんどのメーカーにハイブリッドソールの製品がないこともその一因だが)。

乗り慣れない初心者のうちはソールの硬さがストレスとならないように樹脂製ソールを選ぶという考え方も確かにある。多少の重量増もレースでなければ目をつぶれるだろう。しなやかな樹脂製ソールは変形してくれるので、多少フィットしていなくてもシューズが足に合わせてくれるという面もある。

ただしここで紹介するシューズのフィット・選び方がしっかりとできていれば、硬いソールがストレスにつながるというわけではないことが分かるはずだ。

レースで勝ちたい、より速く走りたいならカーボンソールやより性能を追求したハイブリッドソールのものを。常用速度が遅いポタリング程度の乗り方なら樹脂製ソールのものでも不都合はないだろう。

「ぜひこの機会に、自分に合ったソールはどの素材でできているものかを考えてみてください。」

 
パールイズミの「オクタンLE」に採用されているカーボンとチタンのソール。周囲のグレーの部分がホワイトカーボンで、中心部分がチタンという組み合わせ。硬すぎずやわらかすぎないハイブリッドならではの剛性と超軽量性を高次元で実現する。(写真:パールイズミ「オクタンLE」)
ほとんどのロードレース用シューズに採用されているフルカーボンソール。硬さと軽量性を兼ね備えていることで、これまでのロード用シューズを支えてきた。若干のしなりはある。(写真:パールイズミ「ピーアイベイパーR2®」)
上記2つのソールよりもしなやかな樹脂ソール。とは言え、自転車用シューズの樹脂ソールはペダリングに有効な硬度を持つのが特長。初心者や歩くシーンもあるサイクリストに。価格が安いこともメリット。(写真:パールイズミ「ジュースR2」)