1882年にフランスのロミリー・シェルセーヌで誕生したルコックは、世界最古の伝統を誇る総合スポーツアパレルメーカー。エミュール・カミュゼが創設した当時の社名はカミュゼ社で、元々は主にメリヤス製品を作っていたブランドだった。そこで製品の質の高さを評価され、地元チームのサッカーウェア製作などで徐々に会社の規模を大きくしていく。現在のルコック・スポルティフという社名になったのは1948年のことであり、同社の高い品質を示すものとしてロゴマークにはフランスの国鳥である鶏を選んだ。
鶏マークとともに認知されていったルコックにとって、大きな転機となったのが、1951年ツール・ド・フランスのスポンサーに初めてなったこと。出場13チーム中、12チームのサプライヤーを務めた。ツール・ド・フランスにおいて、スポーツブランドがスポンサーとなったのはこの時のルコックが初めてだった。その後も1960年のローマ五輪で、フランス代表の陸上チームが採用。1966年のサッカーW杯でフランス、ソ連、ハンガリーが、ルコックのユニフォームを着用するなどし、知名度はどんどん上がっていく。
三角形にかたどられた初期のルコックスポルティフのロゴ
昔から豊富で斬新なデザインのジャージを提供していた
1960年代の後半から70年代にかけてはテニスに力を入れ始め、同社のウェアを着たアーサー・アッシュが1968年の全米オープン、ヤニック・ノアが1983年の全仏オープンを制するなど、契約選手が主要大会で結果を残しブランドの認知度アップに貢献。そして80年代からは、サッカーでも1982年にイタリア、1986年にディエゴ・マラドーナ率いるアルゼンチンとルコックのユニフォームを着た2カ国が連続でW杯の優勝チームとなった。
ルコックの1つの大きな特徴は、スポーツブランドの中でもデザインに特徴のある、革新的なブランドである。他のブランドとは違うポジションを築いてきた。1920年代、30年代と昔の資料を見てみると、当時ではかなり斬新なデザインを採用していたことが分かる。ルコックと言えば、過去の歴史を振り返れば分かるようにこれまではサッカー、テニス、サイクリングの3種目での活動に力を入れてきた。しかし、現在では、これらに加え新しくライフスタイルを切り口としたスポーツとの関わりにも注目。ルコックらしいデザイン性を活かしたファッションとの融合を図っている。しかし、ファッションとの融合と言っても、一般的なスポーツカジュアルとは違い、ルコックのウェアは機能性も兼備している。
また、日本での展開では、1982年からスタートと、約25年の歴史を誇る。そして、現在、日本では健康指向による自転車への注目が高まり、競技者ではないサイクリングユーザーが増えている。この状況の中、1950年代から自転車と深く関わってきたルコックは、日本市場における自転車ウェアの大きな展開を行っている所だ。


現在、ルコックがサイクリングウェアの新ブランドとして展開しているのが、「TrendSport」、「Platinum」、「sousou」、「heritage」の4ラインだ。これらの4ラインの違いを説明するには、機能性、スポーツ性、ファッション性の3つがキーワードとなる。機能性、スポーツ性の高いものが「TrendSport」、機能性とファッション性が高いのが「Platinum」。機能性は上記の2ラインと比べると低いがスポーツ性の高いものが「sousou」、機能性は低めもファッション性が高いのは「heritage」となる。
これらの4ラインは、競技者ではなく、自転車で日頃の運動を行うなどライフスタイルに組み込んでいる愛好者を対象としている。値段を見ると、機能性の高い「Platinum」と「TrendSport」は、他の2つに比べると高額になっている。中でも「Platinum」は4ラインの中で最もグレードが高い。例えば「Platinum」が対象としているのは、従来の典型的なサイクルウェアは派手で着づらいと感じている自転車通勤を行っている人たち。通勤時に着て行き、さらに、そのまま会社で仕事をできるようなファッション性を備えている。ラグジュアリーなファッション性、機能性の融合を目指し、こだわり派の30代、40代以上の大人からの支持を目的としている。
「TrendSport」は、自転車歴が浅く、健康のための運動や日常生活のちょっとした外出時に乗るといったオフシーンで着るスポーツウェアという感覚だ。そのため、普通の競技ウェアでは出せないデザイン性、質感に拘る。しかし、一方でスポーツウェアとしての機能性も備えている。対象としているのは、特に30代中盤までの団塊ジュニア世代。スポーツはスポーツ、ファッションはファッションと分かれるのではなく、スポーツをする時にもファッション性も重視する人たちのニーズに応える。
学生時代、体育会系クラブに入っていたのでスポーツをするのではなく、健康のためにスポーツをする人はいま増えてきている。そういう人たちは、これまでスポーツウェアも買ったこともなく、ウェアに対する固定概念もない。だから、当然、スポーツウェアにも体育会系の人と比べるとファッション性を求める。「TrendSport」は、スポーツウェアにしてはお洒落で、可愛い。街でも着用してもいいんじゃないか、と思わせ、さらにスポーツをするための便利な機能がついていると感じさせるウェアだ。
「heritage」は、ファッション性を重視したラインであり、「Platinum」や「TrendSport」のような機能性は持たせていない。ルコックは60年以上に渡ってサイクルウェアを作ってきた歴史があり、「heritage」は他社にない過去のモチーフを活用して生み出されている。例えば、かつて使われていたウール素材のウェアなどを作っている。
「sousou」は、和とフランス、異文化の融合を目指したコラボーレション。このラインはまずシューズからスタートしており、ウェアを始めるに当っては、和の人の心を和ませるLOHAS的な要素を取り入れた。伝統的な和柄のアイテムでありながら、可愛いポケットがついているなど最新のデザイン性も備える。「Platinum」や「TrendSport」は都会派、アーバンなイメージだが、「sousou」はもっと身近な生活範囲を対象としている。

