BMCスイス本社周辺のフィールドで世界各国の走れるバイクジャーナリストがSLX01をテストした
4月下旬、スイスでのステージレース、ツール・ド・ロマンディの時期にあわせてSLX01のシークレット発表会が開催された。招待されたのは世界各国のBMCディーラーとキーメディアのジャーナリストたち。ジュラ山脈に囲まれたスイス・ゾロトゥーン地方のグレンヘンにあるBMC本社は、周囲すべてがサイクリング好適地。BMC開発スタッフには元プロ選手やメダリストも多く、「昼休みは必ずランチタイムライドに行く」という。そんなスタッフたちのサポートで100kmほどのテストライドに出かけることができた。
ロケーションは平坦、上り、ダウンヒルのバリエーションに富んだローリングコース。脚自慢の世界のバイクジャーナリストとともにアタックを掛け合いながらのレーススピードのインプレッションになった。

塗装前のSLX01。上半分がナノカーボン、下半分が7005アルミという組み合わせ。カーボンアークとアルミトライデントの合体だ
踏み出した瞬間に分かる高い剛性感は、フルアルミか超高弾性カーボンを使ったフルカーボンのレーシングバイクに近いものだ。ダウンチューブからBB、そしてチェーンステイにかけてが7005アルミニウム製ということで、つまり駆動に関わるパートはすべてアルミチューブが受け持つ。とくにBB周辺に撓みがほとんどなく、ペダリング入力をすべてパワーに変換してくれるその高い剛性感は特筆モノだろう。
"カーボンアーク"によるフレーム上半分のカーボン化が、振動吸収ユニットとして機能するというコンセプト。ペダリングを含む横方向の入力にはアルミの高い剛性感を感じつつ、タテ方向にはある程度の快適性を感じるのは、まぎれもなくこのカーボンアークが作用しているのだろう。
高剛性のフルアルミフレームほどではないが、全体的にカッチリ、シャッキリとした剛性感をもち、そこから生み出される鋭い反応性は、昨今のレーシングバイクの中でもかなり高い部類に入るだろう。ダッシュ、アタック。どんな加速や動きの変化にも対応できるその運動性能は、BMCのフラッグシップモデルであるプロマシーンSLC01に匹敵する。剛性感に関して言えばその高剛性はSLC01以上だと言えるだろう。ペダルを踏んだパワーがすべて推進力に変換されるというその高いペダリング効率は、まさにロードレースをメインユースとするサイクリストが求める性能だ。
SLX01はセカンドグレードのバイクではあるが、プロサイクリストがレースで使うにあたっても、好みでこちらを選ぶこともあるだろうことは充分想像できる。

ハンドリングコンシャス&レーシングレスポンス。SLX01はロードレーサーに必要な条件を高いレベルで満たしていることがわかる
一方、快適性についての過度の期待は禁物だ。もちろん前述の通りフルアルミほど過剛性ではない。しかしそれは安楽なものでは決してない。このバイクはロングライドを楽にのんびりと走るコンフォートバイクではなく、速く走るためのスピードバイクだ。快適性はそのために必要なレベルに抑えられ、むしろエネルギーロスを最小限に抑える方向に味付けされている。
ハンドリングの安定感が非常に高いことにも感心する。コーナリングは思い通りのラインがとれ、まさにオン・ザ・レール。ハンドルから両手を離したときに尚感じる安定感の高さは、例えば両手離しでウィンドブレイカーを着る動作においても不安感を感じない。レースの密集した集団内において上体を起こして補給食を摂るときなどにもその恩恵に預かることができるだろう。これはレーサーにもビギナーにも嬉しい特性だ。かつコーナリングもダルではない。
CNTカーボンナノチューブテクノロジーを採用したストレートフォークは非常に高剛性でコントローラブル。ブレードは薄いエアロ形状で空気抵抗値も低そうだ。安心してコーナーに切り込んでいける特性はストレートフォークに特徴的なそれだ。振動吸収性は高くはないが、そのぶんハンドリング性能と高速での安定感といった性能が磨かれた高性能フォークだ。

ワンアクションで上下が可能なナノカーボン製のストリームポスト。フレーム全体のデザインも引き締めていると感じた
"ストリームポスト73.5"はアーレンキー1本でサドルの高さが調整可能なユニークなシステムだ。翼状断面のエアロフォイルシートチューブと一体のデザインで、内部にカムで作動する斜臼を備えるこの専用シートピラーはデザイン上もフレームと一体の流れでスマートにまとまっている。そしてピラー単体で200gという超軽量を達成している。BMCの説明によればインテグレーテッドシートポストのように高さを調整するのに切断したりすることなく、軽量性と高剛性を実現した「クレバーな解決法」ということだ。
ポスト上部にあるアングルロックシステムは、6mmアーレンキーボルトによる90度+20度の2段階の角度のクリックで固定される。固定力は斜臼につながるシャフトのボルトで調整が可能だ。サドルを固定するヤグラはオーソドックスな2本ボルト留めで角度も微調整しやすい。
フレーム、ポストとも精度が高いため出し入れは非常にスムーズ。その密閉度から防水性は高そうだが、砂などが入り込まない様な注意は必要だろう。
エッジの効いたトップチューブからスケルトン部までのラインはSLC01のデザインを象徴する
フラットなトップチューブ上面にあしらわれたフレーム名のロゴはデザインのポイントになっている
エッジが効き、しかもそのラインがフレーム全体へと破綻なくつながる"コンティニュアス・エッジデザイン"。クールでメリハリの効いたグラフィックデザイン。洗練されたロゴタイプ。それらによって醸し出される全体の雰囲気は非常に都会的で、高度な工業デザイン・プロダクツとなっている。それは伝統美が求められる傾向があるスポーツサイクルの世界にあって、稀ともいえる先進的を放っている。このバイクにはアルテグラSLなど新たなデザイン性をもったコンポーネントも良く似合う。また新たにデビューするニューデュラエース7900にも似合いそうだ。直線を生かしたスラムコンポしかり、2009モデルがリリースされる予定のカンパニョーロのコンポなどもフィットするのだろう。バイクデザインの世界に新たな一石を投じそうだ。
impression by Makoto.AYANO/CYCLINGTIME.com

マルティン・コーラー
(スイス、BMCレーシングチーム)
ペダルの最初のひと漕ぎ目から、SLX01フレームの高い反応性と剛性を感じ取ることができた。このフレームはライディング・リズムの変化にすぐに反応する。すべてのペダル入力を即、ダイレクトに推進力へと変換する。まったくエネルギーロスなく加速し、ハイスピードにのせることができるんだ。驚くほどの剛性にもかかわらず僕を驚かせたのは、その快適性の高さと、CNTカーボンアークが生み出す走りの精度だ。SLX01をコントロールすることはたやすい。曲がりくねったダウンヒルで、ハイスピードの長い直線区間で、完璧な安全性を感じたよ。それはまるで曲がりくねったアルプスのダウンヒルにレール敷いて、その上を走っているかのようだったよ!