コンピュータや携帯電話に使われる半導体や、遺伝子治療に使われるDNAなどもこのナノテクによって新たな可能性がひらけると期待されている。そしてイーストンとBMCが着目したのが“カーボンナノチューブ”という物質だ。
それはカーボンの分子が網状につながった物質。優れた化学的特性を持つと同時に、驚くべき引っ張り強度を持つという物理的特性でも注目さている。 このカーボンナノチューブを世界に先駆けて自転車のフレームに応用したのがBMCだ。アメリカ・イーストン社とのコラボレーションにより開発されたSLC01は、カーボン繊維をつなぐエポキシ樹脂中にカーボンナノチューブを混入させている。 通常、カーボンを成形するエポキシ樹脂はコンポジット素材の強度アップにはほとんど寄与していないが、SLC-01ではエポキシ樹脂の部分までストレスメンバーとして生かすことに成功したのだ。 その結果として、フレーム単体重量を990gという超軽量に抑えながら、強度は飛躍的にアップさせることに成功。さっそく実戦投入された2005年のツール・ド・フランスでは、フォナックチームのオスカル・ペレイロやフロイド・ランディス、サンティアーゴ・ボテロらによって区間優勝を含む華々しい活躍をした。
■クロスロック・スケルトンデザイン BMC独自の“クロスロック・スケルトンデザイン”は、強い接合部とチューブ全長の短縮を実現している。応力を完全に分散し、ペダリング運動による力の伝達性を追及した形状は解析データに基づいたものだ。 ■ユニディレクショナルカーボン 使われるカーボン素材は航空機にも使用されるユニディレクショナル(=単一方向性)のスーパーハイモジュール700カーボンだ。これをシート集合部、ボトムブラケット、ヘッド部など、部位によって方向性を変えて積層し、同一重量の中で最も高い強度が出せるように工夫している。 ■フルカーボンドロップアウトエンド また、エンドまでカーボンで作られた“カーボンドロップアウト”を採用した点も画期的だ。クイックシャフト当たり面にも金属のカバーは使われていない。これは量産バイクとしては世界初。もちろんカーボンナノチューブによる強度アップがこれを可能にしたのである。ナノテクノロジーを採用した恩恵は、こんな部分にも表れているのだ。 ■エアロヒンジ SLC01に先駆けてデビューしたタイムトライアルバイク“タイムマシーンTT1”は、ヨーロッパのあらゆる賞を総ナメにした画期的なバイクだ。“エアロヒンジ”と名付けられたヘッド部分は、フロントフォーク・ヘッドチューブ・ステムを一体型とする画期的システム。ヘッド全体を統合されたユニットとすることにより、限りなく少ない空気抵抗値を実現している。 ■ウルトラライトアルミ また、“ロードレーサーSL01”などに採用されるアルミ素材は、イーストンが誇る軽量・高剛性アルミチューブ“ウルトラライト”だ。カーボン全盛の時代になってもアルミの剛性感を好むライダーのためにBMCは開発を怠らない。 ■スタイル・パッション・プレシジョン ここまで数多くのBMCテクノロジーを紹介してきたが、優れたテクノロジーというのは決してコンピュータや機械が作り出すものではない。あくまでも、それらの根底にあるのは「良いバイクを作りたい」という人間の情熱だ。BMCのポリシーは“STYLE PASSION PRECISION”(スタイル、情熱、精度)。BMCの最大の魅力は、素晴らしいバイクを創り上げるという姿勢そのものに他ならないのだ。