いうまでもなくカーボンとは炭素のことである。しかし、ひとくちに炭素といっても様々な顔がある。結晶構造の違いによって、柔らかくて真っ黒な黒鉛になったり、硬くて透明なダイヤモンドになったりするのだ。そして、最近注目されているもう一つの顔が「フラーレン」である。フラーレンは1985年に発見されたばかりの比較的新しい炭素同素体で、科学技術への応用も始まったばかりだ。

フラーレンは結晶構造のネットワークが黒鉛のように平面構造とはならず、球、チューブ、螺旋など多様な形を示し、炭素原子がつくるネットワーク全体が閉じた多面体構造をとることが多い。最も代表的なモノが“バッキーボール”と名付けられたフラーレンで、これは60個の炭素原子がサッカーボール型に結合した構造を持っている。そして、このバッキーボールがチューブ状につながったフラーレンが“カーボンナノチューブ”だ。
カーボンナノチューブは1991年に日本の飯島澄男博士により発見された。その優れた化学的特性から電子ディバイスへの応用が急速に開発されつつあるが、物理的にも驚くべき特性があることがわかっている。特に優れているのが“引っ張り強度”で、何とアルミや鉄、あるいは通常のカーボン繊維とは比較にならないほど高い値を示す。

このカーボンナノチューブに目をつけたのがアメリカのイーストン社だ。様々な試行錯誤をくり返し、カーボンナノチューブをコンポジット素材に応用する技術を開発した。カーボンコンポジット素材は、カーボン繊維をエポキシ樹脂で固めて成形されているが、そのエポキシ樹脂中にカーボンナノチューブを混入させることに成功したのだ。結果は素晴らしく、非常に高い強度を持ったカーボンコンポジット素材が完成した。
イーストン社は、まずはハンドルバーなどでこれを製品化し、ノウハウを蓄積していった。続いてフォークなどを完成させたが、いよいよフレームを完成させる段になって、優れたパートナーが必要になった。そこで真っ先に名前が挙がったのが、卓越したフレーム設計思想を持つスイスのBMCだった。BMCはスイスのプロチーム“フォナック”にフレームの供給もしており、実戦テスト行う環境も完璧だったのだ。

BMCとイーストンのコラボレーションは素晴らしく、約1年の開発期間を経て“SLC01”が完成した。さっそく2005年のツール・ド・フランスで実戦テストされ、オスカル・ペレイロやフロイド・ランディス、サンティアゴ・ボテロらによって、区間優勝を含む素晴らしい成績が収められた。そのあまりにも素晴らしい性能に、選手達は“Most innovative bike we have ever ridden(こんなに進化したバイクに乗ったことがない)!”と感嘆の声を上げたという。

カーボンナノチューブという新しい素材を他メーカーに先駆けてフレームに応用し、実戦バイクとして昇華させたBMCとイーストン。まさにSLC01こそ“最も先進の技術を取り入れた革新的バイク”と言うことができるだろう。
フレーム素材 ピュアカーボンユニディレクショナル
フォーク イーストンEC90 SL-X
ヘッドパーツ FSAオービットSPX
シートポスト イーストンEC90カーボン
カラー チームレッド(グロス+マット)、ネイキッドカーボン(マット)
サイズ 47、49、51、53、55cm
フレーム重量 990g(チームレッド、サイズ51)、970g(ネイキッドカーボン、サイズ51)
価格 498,750円(チームレッド、税込み)、488,250円(ネイキッドカーボン、税込み)