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圧倒的な強さ、それでも手綱を緩めないのは真の強者、そして今大会口癖のように「攻撃は最大の防御」と言い続けているタデイ・ポガチャル（UAEチームエミレーツ）が、最難関山岳ステージでも攻めの姿勢を貫きライバルたちを圧倒してステージ優勝、今大会2勝目を挙げた。

そのポガチャルに食らいついたのは総合3位のヨナス・ヴィンゲガード（ユンボ・ヴィズマ）と総合4位のリチャード・カラパズ（イネオス・グレナディアス）、ポガチャルに食らいついた3人でのバトルはゴールラインまで続き、ヴィンゲガードは総合2位、カラパズは総合3位へと順位を上げ、総合表彰台圏内に入ってきた。それ以外の総合勢は全てタイムを失う形となり、総合表彰台争いも絞られてきた。

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最難関山岳ステージ、ステージ終盤に3連続で1級、1級、超級の標高2215mでのゴールとなるこのステージは、序盤から逃げようが最後の山岳で総合バトルにすべて吸収されていくことが予想できた。その総合争いはこの日はUAEチームエミレーツがその少ないアシストが大車輪の活躍を見せる。最初の二つの山岳をダビデ・フォルモロとルイ・コスタ（共にUAEチームエミレーツ）が牽引すると、最後の超級への上りでラファル・マイカ（UAEチームエミレーツ）が渾身の引きを見せる。これによりライバルチームはアシストを失っていき、気が付けばメイン集団は総合トップ10に加え数名のアシストが残るだけとなる。

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先頭で最後まで逃げていたアンソニー・ペレス（コフィディス）はフランス革命記念日の勝利を狙い必至の形相でこぎ続ける。その背後では残り8.5㎞でマイカがアシストを終える。するとヴィンゲガードを前に出しておいて、ポガチャルがアタック、これで一気に総合勢は粉々に粉砕される。ポガチャルについていけたのはリゴベルト・ウラン（EFエデュケーションNIPPO）、ヴィンゲガード、カラパズの総合トップ4のみとなる。さらにポガチャルが繰り返し加速、これでウランも脱落する。

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ヴィンゲガードとポガチャルは繰り返し先頭に出てペースを上げるが、カラパズはその背後で淡々とついていく。しかし残り1㎞でカラパズが動く。渾身のアタックもポガチャルは余裕の対応でぴったりとマークするが、ここでヴィンゲガードついに遅れてしまう。しかしここからがこの新鋭デンマーク人ライダーの真骨頂だった。何度となく後ろを振り返りヴィンゲガードの位置を確認するカラパズに対し、じわじわとその差を詰めていくと、残り200mでついに追いついてしまう。だがポガチャルはここでも容赦ない攻めを見せる。

一気にスパートするポガチャルの切れ味はカラパズとヴィンゲガードを最後の最後で突き放し勝負あり、総合リーダージャージ、マイヨ・ジョーヌのポガチャルが圧倒的な強さを改めて示して見せた。カラパズがステージ2位、ヴィンゲガードがステージ3位に入った。

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「3人になったけど、ヴィンゲガードと僕だけが交代で引き続けたね。何度か仕掛けたけど、決定打にはならなかったよ。もっと仕掛けが必要だったね。でも彼らが今日は強かったんだ。だから今日は最後の50mで十分だったね。」ポガチャルの言葉は王者のそれだった。

「今日の結果には満足だよ。カラパズのアタックはわかっていたけど対応できなかったね。でも運よく追いつけたよ。もちろんステージ優勝したかったけど、でも総合2位は上出来だし、本当にこの現実を今自分の中で噛みしめているよ。とにかくスーパーハッピーだよ。それにウランにタイム差をつけられたのも大きいね。」ヴィンゲガードは今日の走りに満足さをにじませた。

またベン・オ・コナー（AG2Rシトロエン）は総合5位をキープ、さらに脱落したウランとのタイム差を詰め、総合4位までわずか17秒差となっている。また最後のダウンヒル区間で落車、顔面から地面にたたきつけられたウィルコ・ケルデルマン（ボーラ・ハンスグロエ）だが、顔面から出血しながらも素晴らしい走りで総合6位をキープした。

ツール・ド・フランス第17ステージダイジェスト

ツール・ド・フランス第17ステージ順位
1位　タデイ・ポガチャル（UAEチームエミレーツ）　　　5h03’31”
2位　ヨナス・ヴィンゲガード（ユンボ・ヴィズマ）　　　+03”
3位　リチャード・カラパズ（イネオス・グレナディアス）　　　+04”
4位　ダビ・ガウドゥ（グルーパマFDJ）　　　+1’19”
5位　ベン・オ・コナー（AG2Rシトロエン）　　　+1’26”
6位　ウィルコ・ケルデルマン（ボーラ・ハンスグロエ）　　　+1’40”
7位　ペッロ・ビルバオ（バーレーン・ヴィクトリアス）　　　+1’44”
8位　セルジオ・イギータ（EFエデュケーションNIPPO）　　　+1’49”
9位　リゴベルト・ウラン（EFエデュケーションNIPPO）
10位　ディラン・テウンス（バーレーン・ヴィクトリアス）

ツール・ド・フランス総合順位
1位　タデイ・ポガチャル（UAEチームエミレーツ）　　　71h26’27”
2位　ヨナス・ヴィンゲガード（ユンボ・ヴィズマ）　　　＋5’39”
3位　リチャード・カラパズ（イネオス・グレナディアス）　　　＋5’43”
4位　リゴベルト・ウラン（EFエデュケーションNIPPO）　　　＋7’17”
5位　ベン・オ・コナー（AG2Rシトロエン）　　　＋7’34”
6位　ウィルコ・ケルデルマン（ボーラ・ハンスグロエ）　　　＋8’06”
7位　エンリック・マス（モビスター）　　　＋9’48”
8位　アレクセイ・ルチェンコ（アスタナ・プレミアテック）　　　＋10’04”
9位　ギヨーム・マルタン（コフィディス）　　　＋11’51”
10位　ペッロ・ビルバオ（バーレーン・ヴィクトリアス）　　　＋12’53”

H.Moulinette