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2008/4/7 13:58

ロンド・ファン・フラーンデレン2008

雪舞うロンド、ベルギーの至宝デヴォルデルが独走勝利


先頭で石畳の上りを進むトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)
『先頭で石畳の上りを進むトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)』
ゴール25km手前の「エイケンモレン」でアタックを仕掛けたステイン・デヴォルデル(ベルギー、クイックステップ)
『ゴール25km手前の「エイケンモレン」でアタックを仕掛けたステイン・デヴォルデル(ベルギー、クイックステップ)』
追走グループから単独で飛び出してデヴォルデルを追うセバスティアン・ラングヴェルト(オランダ、ラボバンク)
『追走グループから単独で飛び出してデヴォルデルを追うセバスティアン・ラングヴェルト(オランダ、ラボバンク)』
最後の難所「ボスベルグ」を進むフィリッポ・ポッツァート(イタリア、リクイガス)、トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)、ニック・ナイエンス(ベルギー、コフィディス)
『最後の難所「ボスベルグ」を進むフィリッポ・ポッツァート(イタリア、リクイガス)、トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)、ニック・ナイエンス(ベルギー、コフィディス)』
先頭で「ミュール」を駆け上がるステイン・デヴォルデル(ベルギー、クイックステップ)
『先頭で「ミュール」を駆け上がるステイン・デヴォルデル(ベルギー、クイックステップ)』
ボーネンとフレチャの前で「ミュール」を駆け上がるニック・ナイエンス(ベルギー、コフィディス)
『ボーネンとフレチャの前で「ミュール」を駆け上がるニック・ナイエンス(ベルギー、コフィディス)』
ゴール5km手前で集団の様子を伺うニック・ナイエンス(ベルギー、コフィディス)
『ゴール5km手前で集団の様子を伺うニック・ナイエンス(ベルギー、コフィディス)』
歯を食いしばってゴールまで独走するステイン・デヴォルデル(ベルギー、クイックステップ)
『歯を食いしばってゴールまで独走するステイン・デヴォルデル(ベルギー、クイックステップ)』
両手を天にかざしてゴールするステイン・デヴォルデル(ベルギー、クイックステップ)
『両手を天にかざしてゴールするステイン・デヴォルデル(ベルギー、クイックステップ)』
追走が届かずに悔しさを見せるフアンアントニオ・フレチャ(スペイン、ラボバンク)
『追走が届かずに悔しさを見せるフアンアントニオ・フレチャ(スペイン、ラボバンク)』
優勝トロフィーを受け取ったステイン・デヴォルデル(ベルギー、クイックステップ)
『優勝トロフィーを受け取ったステイン・デヴォルデル(ベルギー、クイックステップ)』
表彰台、左から2位ニック・ナイエンス(ベルギー、コフィディス)、優勝ステイン・デヴォルデル(ベルギー、クイックステップ)、3位フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、ラボバンク)
『表彰台、左から2位ニック・ナイエンス(ベルギー、コフィディス)、優勝ステイン・デヴォルデル(ベルギー、クイックステップ)、3位フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、ラボバンク)』
2008年4月6日、ベルギーに於いてプロツアー第2戦ロンド・ファン・フラーンデレンが行なわれ、ラスト25km地点の「エイケンモレン」で飛び出したステイン・デヴォルデル(ベルギー、クイックステップ)が他の追撃を振り切り、後生に語り継がれるであろう劇的な独走勝利を飾った。ベルギーチャンピオンの躍進にベルギーが沸いた。

クラシックレース随一のステータスを誇るフランドル。石畳と急坂に彩られた難関レースとして有名だが、今年は雨、霰、そして雪を伴う低温の悪天候により更にその難易度を上げた。

レースには国内外から選ばれし200名の選手が出場。2度の優勝者トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)や、今年こそ「万年2位」の汚名を返上したいレイフ・ホステ(ベルギー、サイレンス・ロット)、絶好調ファビアン・カンチェラーラ(スイス、チームCSC)、昨年大会覇者のアレッサンドロ・バッラン(イタリア、ランプレ)らが勢揃い。日本人選手としては別府史之(スキル・シマノ)が唯一出場した。

レースは観客で埋め尽くされたブルージュのマルクト広場をスタート。太陽射し込むレース序盤は、平均スピードが50km/hに迫るハイスピードで進行した。アタックはことごとく封じ込められ、集団一つのままレースは最初の2時間を消化した。

序盤から集団内では落車が多発し、エンリコ・フランツォーイ(イタリア、リクイガス)やヨースト・ポストゥーマ(オランダ、ラボバンク)、ピーター・ベリトス(スロバキア、チームミルラム)らが主な被害者。バッランも85km地点で落車したが、大きなトラブル無く集団に復帰した。

やがてこの日最初の急坂「クルイスベルグ」に差し掛かるとようやくこの日最初の逃げが決まった。集団から飛び出したのはヤネク・トンバク(エストニア、ミツビシ・ジャルタジ)、トム・フィーラース(オランダ、スキル・シマノ)、スヴェン・レンデルス(オランダ、トップスポート・フラーンデレン)、ヴァンサン・ジェロム(フランス、ブイグテレコム)の4人で、2分のリードを広げてフランドルの田園地帯を突っ切った。

レースはラスト100kmに差し掛かると徐々にその牙を剥き始めた。日中にも関わらず気温は5度。空からは雹や雪が落ち始め、路面は完全にウェットな状態に。157km地点の石畳「モーレンベルグ」を前に集団前方では熾烈なポジション争いが繰り広げられ、道幅の狭い急坂区間で集団は一気に長く伸びた。集団先頭からロバート・ワグナー(ドイツ、スキル・シマノ)が飛び出す一方、集団後方では渋滞が巻き起こった。

少し縮小したメイン集団は1分差で先頭4人を追走。ランプレやサイレンス・ロットが集団を牽いてスピードを上げ、難所の一つ「オウデ・クワレモント」に向かった。集団から飛び出したワグナーが先頭4人に合流し、スキル・シマノが逃げに2人入る光景も見られたが、真の勝負どころを前に逃げは全て吸収。フリダシに戻ったレースはここから目まぐるしく展開した。

長さが2200mに及ぶ石畳の上り「オウデ・クワレモント」ではトーマス・ヴァイクス(リトアニア、アスタナ)やフアンアントニオ・フレチャ(スペイン、ラボバンク)が飛び出し、遅れてボーネンらがここに合流。先頭集団は20人ほどに絞られ、次の難所「パテルベルグ」に向かった。

フランドルの女神は容赦しない。レースの重要ポイントに合わすように天候は悪化。風雪の中、最大勾配20%オーバーの「パテルベルグ」を先頭集団はクリアした。次に待つのは最大勾配22%、長さ600mの「コッペンベルグ」だ。フランドル一の激坂として知られ、補修工事を終えて今年コースに復活した。

雪が舞い落ちる「コッペンベルグ」を先頭で上ったのはボーネンだった。濡れた石畳の路面を感じながら、慎重なトラクションコントロールで最大の難所を先頭でクリア。先頭集団は10人ほどに絞られたが、まだゴールまで距離があるので本格的なアタックは掛からず、後方から遅れた選手が続々合流。集団は脱落と復帰が繰り返されたが、アップダウンは確実に力無き選手の脚を弱らせた。

続く石畳の「シュテインビークドリシュ」ではホステが痛恨のマシントラブルでストップを余儀なくされた。集団先頭ではセバスティアン・ラングヴェルト(オランダ、ラボバンク)がアタックするが失敗。しかしラボバンクは積極的で、続いてオスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)がゴールまで55kmを残して飛び出した。

フレイレを追って数名がメイン集団から飛び出すが、クイックステップがしっかりと状況をコントロール。石畳の平坦路をかっ飛ばしたフレイレも10kmを独走したのち集団に吸収された。その一方、トラブルで遅れたホステは勝機が断たれたと思われたが、チームメートの助けを借りて懸命に追撃し、何とか集団に復帰した。

レース終盤に入ると分厚い雲は去り、眩しい太陽が射し込んだ。ゴール48km手前の「レベルグ」で飛び出したのはデヴォルデルで、これにフィリップ・ジルベール(ベルギー、フランセーズデジュー)が合流。遅れてラングヴェルトやフレチャ、ニック・ナイエンス(ベルギー、コフィディス)らも加わって10名弱の先頭グループが形成された。

次の「ベレンドリシュ」で今度はボーネンが自らアタックを仕掛け、すぐさま先頭グループに合流した。バッランとカンチェラーラも何とかこの先頭グループに追いついたが、要所でボーネンから遅れを取る光景が多々見られた。

ゴールまで40kmを残して集団から再び飛び出したのはデヴォルデルだ。これにラングヴェルト、ジョージ・ヒンカピー(アメリカ、チームハイロード)、カルステン・クローン(オランダ、チームCSC)、そしてバッランが合流して5人の先頭グループが形成。5人は20秒のリードを広げて逃げた。後方にリーダーのボーネンが控えるデヴォルデルはもちろんこの逃げの先頭交代に加わらない。

メイン集団はリクイガスとコフィディスが積極的に牽き、ゴール25km手前の「エイケンモレン」で先頭グループを吸収、と思いきや先頭からデヴォルデルが再度飛び出した。デヴォルデルが独走を始める後方ではシルヴァン・シャヴァネル(フランス、コフィディス)やトル・フースホフト(ノルウェー、クレディアグリコル)、マヌエル・クインツィアート(イタリア、リクイガス)、序盤の逃げに乗ったトンバクが追走グループを形成するが、デヴォルデルに追いつくこと無く集団に吸収された。

決死の表情で逃げるデヴォルデルは先頭で勝負どころの「ミュール・カペルミュール」に突入。最大勾配が20%に迫るこの石畳でもデヴォルデルのペースは崩れなかった。20秒後方の集団ではセレクションがかけられ、ボーネン、バッラン、ナイエンス、ラングヴェルトを含む10人の追走グループが形成。ここからラングヴェルトが最後の難関「ボスベルグ」を前に飛び出した。

ラングヴェルトは「ボスベルグ」でデヴォルデルを10秒差にまで詰めたが、その後は逆にデヴォルデルが引き離した。結局ラングヴェルトはラスト6kmで吸収。そして次にフレチャが飛び出してデヴォルデルを追走した。

勢い良く飛び出したフレチャは19秒のタイム差を一気に9秒まで縮めたが、ラスト4kmでペースダウンしてしまう。フレチャは後方から合流したナイエンスと2人でデヴォルデルを追った。その後方の集団にはカンチェラーラやボーネン、バッランが含まれたが、牽制によってペースが上がらなかった。

黒黄赤のベルギーチャンピオンジャージを着るデヴォルデルの勢いは最後まで止まらなかった。フレチャとナイエンスの追撃を振り切り、15秒のリードを保ったままラスト1kmに突入。後方を振り返って勝利を確信すると、ゴール地点に溢れかえる観客たちの声援に応えるようにそのジャージをアピールし、両手を挙げてゴールに飛び込んだ。

15秒遅れの2位にナイエンス、そして3位にフレチャ。21秒遅れの集団の先頭はバッラン、パリ〜ルーべを見据えるヒンカピーが5位に。チームメートの勝利を喜びながらゴールしたボーネンはスプリント勝負に加わらなかった。フミは「オウデ・クワレモント」の下りで沿道から飛び出した観客と接触して落車。その後もレースを続行し、「コッペンベルグ」を乗車でクリアする姿も見られたが、200kmを越えてバイクを降りている。

ベルギーに新チャンピオンが誕生した。中盤まではボーネンのために献身的に集団を牽き、終盤に入って何度もアタックを仕掛けたデヴォルデルが逃げ切り優勝。「ミュール」や「ボスベルグ」では無く、ゴールまで距離を残した「エイケンモレン」で賭けに出たデヴォルデルがベルギー最大のタイトルを獲得。名実共にベルギートップ選手の仲間入りを果たした。

デヴォルデルは2002年に地元ベルギーチームでプロデビューした28歳。2004年からUSポスタル(翌年からディスカバリーチャンネル)に在籍し、2005年にはデ・パン3日間レースで総合優勝。2006年のジャパンカップでは4位に入っている。ベルギーチャンピオンに輝いた2007年のブエルタ・ア・エスパーニャではタイムトライアルでリードを広げてリーダージャージを獲得。地元ベルギーのクイックステップに籍を移した今シーズンは既にアルガルベ一周で総合優勝を飾っている。その定評ある独走力が今回の逃げ切り優勝をもたらした。山岳もそつなくこなす総合力のある選手であり、グランツールでも有望だ。

ステイン・デヴォルデル(ベルギー、クイックステップ)
「ベルギーチャンピオンジャージを着てフランドルで優勝することはずっと夢見ていた。まだ信じられない気持ちでいっぱいだ。周りの選手は疲れていたけど、自分は調子の良さを感じていたし、ミュールまで追い風が吹いていることを知っていたから単独で飛び出したんだ。ミュールは15秒リードしたままクリア出来たけど、きっとボスベルグで吸収されるんだろうなと思っていた。でも後続は明らかにフレッシュではなかった。例え捕まっても、そこにはボーネンがいる。クイックステップは完全にレースをコントロールしていたよ。とにかく自分に残された選択肢はゴールまで逃げ切ることだった。フレチャが9秒後方にまで迫っていたことは知らなかった。後ろを振り返ってもバイクしか見えなかったし、並走するバイクはずっとリードが15秒だと言っていた」

ロンド・ファン・フラーンデレン2008結果
1位 ステイン・デヴォルデル(ベルギー、クイックステップ)    6h24'02"
2位 ニック・ナイエンス(ベルギー、コフィディス)        +15"
3位 フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、ラボバンク)
4位 アレッサンドロ・バッラン(イタリア、ランプレ)       +21"
5位 ジョージ・ヒンカピー(アメリカ、チームハイロード)
6位 フィリッポ・ポッツァート(イタリア、リクイガス)
7位 クルトアスル・アルヴェセン(ノルウェー、チームCSC)
8位 フレフ・ヴァンアフェルマート(ベルギー、サイレンス・ロット)
9位 サイモン・スピラック(スロベニア、ランプレ)
10位 アラン・ヨハンセン(デンマーク、チームCSC)


ロンド・ファン・フラーンデレン2008 グラフィックス

text:Kei TSUJI
photo:Tim de Waele

News Commentator
16  コメンテーター: tsugu  コメント日: 2008/04/10 21:13:27
Jスポーツのおかげでクラッシクレースが観戦できてありがたい。
昨年のパリ〜ルーベでは別府史之選手の姿が映し出された。
実況の白戸太郎氏(今回は違うが)解説の栗村修氏は一流と言って良い。
土壌は整った。後は画面の真ん中に日本人選手が登場することを待つばかりだ。
それにしても、ステイン・デヴォルデル、(クイックステップ)選手の強さは恐るべし。
過酷で歴史のあるこの大会で、ベルギーのチャンピオンジャージを着ての優勝は
この上ない幸せであろう。
ベルギー人にとっても眠れない日になったに違いない。
17  コメンテーター: kohei_1991  コメント日: 2008/04/11 17:34:22
デヴォルデルの逃げ素晴らしいの一言ですね。ロンドのレース自体平均50km/hに迫るスピードでのレースだったのでとても迫力があったと思います。ベルギーでのレースだったのでデヴォルデルの勝利にベルギー国内ではすごく盛り上がっただろうと思います。さすがクラシックレースに強いクイックステップですね〜〜。
18  コメンテーター: takeru  コメント日: 2008/04/12 22:17:40
今日ようやく見ました。
デヴォルデルすごすぎます。
あれだけアシストとして仕事をしていたのに、
なんで最後まで逃げ切れる脚が残っていたんだろう。
あまりにすごすぎるので、あとで陽性だとかイヤなニュースが
流れなければいいけれど・・・と心配してしまうくらいです。
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