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©La Vuelta

昨日ゴール前100mでまさかの落車をした総合2位、大会4連覇を狙ったプリモズ・ログリッチ（ユンボ・ヴィズマ）だったが、この日のスタート前にリタイアとなった。怪我はあったが骨折などではなかった。それでもチーム関係者の説明では「気持ちが折れた」と説明しており、4連覇を狙うだけの体の状態にないというのがモチベーションの維持が困難となったようだ。

そんなステージの主人公となったのはリゴベルト・ウラン（EFエデュケーション・イージーポスト）、グランツール総合2位3回、トップ10が10回を数え、かつては総合優勝候補としてグランツールを駆け回っていた35歳のベテランがきっちりと仕事をやってのけた。勝負勘とベテランの勝利への嗅覚で逃げ集団での激しいアタック合戦での駆け引きを制し、最後の最後で加速、そのまま曲がりくねった上りゴールをトップで駆け抜けた。これがグランツールのステージ4勝目、全てのグランツールでのステージ勝利を達成した。スプリンターは達成しやすいが、総合系、クライマーにとってはよりハードルが高い全てのグランツール勝利を遂にやってのけた。そしてこの逃げ切りステージ勝利で総合でも9位へとジャンプアップ、通算11度目のトップ10フィニッシュを目指すことになりそうだ。

多くの選手がコロナや落車によりリタイア、138名にまで減った選手たちで、162.3㎞のステージは幕を開けた。他のグランツールであれば山岳ステージにカテゴライズされそうなステージも、ブエルタでは平坦ステージ扱い、ゴール前の上りはクライマー向けではあるため、上れるパンチャー達にとってはステージ勝利のチャンスとなった。

今大会まだ目立っていないミスター逃げ男、トーマス・デ・ヘント（ロット・ソウダル）がアタックを仕掛けるがうまくいかず、今大会まだデ・ヘントらしさがほとんどみられていない。その後も散発的にアタックが発生するが、レース自体のペースが平均時速50㎞を超える速度で推移したため、逃げが決まったのはスタートから40㎞を過ぎてからだった。フレッド・ライト（バーレーン・ヴィクトリアス）、ボブ・ユンゲルス（AG2Rシトロエン）、マルコ・ソレル（UAEチームエミレーツ）、ウランらが抜け出すと、そこに9人が合流し、最終的に13名の逃げが決まる。

©La Vuelta

このままレースは推移し、逃げ切りが確定的となると、逃げ集団の中からローソン・クラドック（バイクエクスチェンジ・ジェイコ）が仕掛け、ステージ優勝を目指すバトルが開始される。一度は吸収されるもすぐさまカウンターアタックを決め、単独で逃げていく。その差は最大で25秒差にまで広がるが、ここでウランら3名が追走を開始する。残り4㎞でクラドックとウランらとの差は10秒ほど、そして追走はさらに3名が加わる。すると追走の間でのアタック合戦が勃発する。

©La Vuelta

そして残り1㎞を切りウランがアタックを決め、ヘスス・エラダ（コフィディス）を引き連れクラドックを捉える。さらにそこにソレルとクレメント・シャンプーシン（AG2Rシトロエン）が合流、5人によるステージ勝利を目指す駆け引きが始まる。そうなれば勝負所を心得たウランが優位、ライバルたちとの駆け引きもそこそこに自らが先頭に出て加速、ライバルたちを抑えきりステージ優勝を決めた。

©La Vuelta

後続では総合リーダーのレムコ・エヴァネポエル（クイックステップ・アルファヴァイニルにとってはログリッチがいなくなったことで、直接総合優勝に関係しそうなのはエンリック・マス（モビスター）のみとなったことでしっかりとモビスターの動きをマークし続けた。その間隙を縫ってジョアオ・アルメイダ（UAEチームエミレーツ）が飛び出し僅かにアドバンテージを保ってゴール、総合3位以下の激戦はさらに混沌としそうだ。

ブエルタ・ア・エスパーニャ第17ステージダイジェスト

ブエルタ・ア・エスパーニャ第17ステージ順位
1位　リゴベルト・ウラン（EFエデュケーション・イージーポスト）　　　3h42’28”
2位　クエンティン・パシャール（グルーパマFDJ）
3位　ヘスス・エラダ（コフィディス）　　　　∔02”
4位　マルコ・ソレル（UAEチームエミレーツ）　　　∔15”
5位　ケニー・エリッソンデ（トレック・セガフレド）　　　∔26”
6位　クレメント・シャンプーシン（AG2Rシトロエン）　　　∔29”
7位　アレッサンドロ・デ・マルキ（イスラエルプレミアテック）　　　∔46”
8位　ボブ・ユンゲルス（AG2Rシトロエン）　　　　∔55”
9位　エリー・ジェスベール（アルケア・サムシック）　　　∔1’09”
10位　ローソン・クラドック（バイクエクスチェンジ・ジェイコ）　　　∔1’30”

ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位　レムコ・エヴァネポエル（クイックステップ・アルファヴァイニル）　　　　61h26’26”
2位　エンリック・マス（モビスター）　　　＋2’01”
3位　ホァン・アユソ（UAEチームエミレーツ）　　　＋4’51”
4位　カルロス・ロドリゲス（イネオス・グレナディアス）　　　＋5’20”
5位　ミゲル・アンヘル・ロペス（アスタナ・カザフスタン）　　　＋5’33”
6位　ジョアオ・アルメイダ（UAEチームエミレーツ）　　　＋6’51”
7位　サイメン・アレンスマン（チームDSM）　　　　＋7’46”
8位　ベン・オ・コナー（AG2Rシトロエン）　　＋9’11”
9位　リゴベルト・ウラン（EFエデュケーション・イージーポスト）　　　＋9’23”
10位　ジェイ・ヒンドリー（ボーラ・ハンスグロエ）　　　＋11’40”

H.Moulinette