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©ASO

今大会の最短ステージでありながら、総獲得標高が3000mを超えるハードなステージは、逃げ切りが容認されるかどうかが一つ目のポイントだった。しかし総合優勝を争うユンボ・ヴィズマ、UAEチームエミレーツ共にそれを許さなかった。そんなステージはUAEチームエミレーツのアシストが爆走、これにより最後の激坂区間で総合1位のヨナス・ヴィンゲガード（ユンボ・ヴィズマ）とタデイ・ポガチャル（UAEチームエミレーツ）の直接対決となった。双方疲労困憊の中、最後は地力に勝るポガチャルが意地の走りで今大会3勝目を挙げた。総合でのタイム差をつけることが困難となった瞬間、ステージ優勝へと頭を切り替え、見事に勝利を奪って見せた。

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「ステージ勝利でも十分に凄いだろ。特に主力アシスト3人失っては、今日の攻めが限界だったよ。最後まで僕も出し切ったし、今日はミケル・ビョーグ（UAEチームエミレーツ）がクライマーのような牽引でペースを上げてくれて、ブランドン・マクナルティ（UAEチームエミレーツ）が最後まで鬼のような引きでライバルをちぎってくれた。今日の勝利はマクナルティ抜きにはありえなかった。まあ今日のところは勝利できたことに乾杯、明日は明日の勝負だよ。」ポガチャルは現有戦力で限界の勝負をしたことを説明しながら、明日の山岳ステージへと集中力を切り替えていた。

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僅か129.7㎞のステージのスタートラインに、ポガチャルの最強アシストの一人ラファル・マイカ（UAEチームエミレーツ）の姿はなかった。昨日のステージで上りでアシスト中にチェーンが切れたことで脚の腱を痛めてしまいリタイアとなってしまったのだ。数的不利になったUAEチームエミレーツに対し、エースアシストらを失っているユンボ・ヴィズマの苦しい状態、しかし両者ともにこのステージでも攻めの姿勢を崩さなかった。逃げな容認されない中で、中間スプリントでワウト・ファン・アールト（ユンボ・ヴィズマ）がこの日もしっかりと2位で17ポイントを確保、なんと残り4ステージを残して、完走さえすればポイント賞という暫定確定を成し遂げてしまった。

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レース後半にまとまっている山岳に入っても決定的な動きとはならない。しかしティボー・ピノー（グルーパマFDJ）とアレクセイ・ルチェンコ（アスタナ・カザフスタン）が飛び出し、この強力な二人はそのまま後続との差を1分以上にまで広げていく。山岳賞ジャージのサイモン・ゲシュケ（コフィディス）はこの二人を追う追走集団を形成していたが、メカトラでこれ以上の山岳ポイントの積み重ねが困難となり、徐々に遅れていってしまった。

その背後では残り65㎞、追走集団はUAEチームエミレーツのペースアップで粉々となっていき、早くも総合上位勢でもアダム・イェーツ（イネオス・グレナディアス）が脱落してしまう。

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ロメイン・バルデ（チームDSM）はタイムロスを取り戻し再び総合順位を上げるべくこの日も積極的な動きを見せ逃げに乗っていたが、一級山岳のヴァル・ロラン・アゼでマクナルティがメイン集団の先頭でペースアップを図ると、逃げ集団は一人、また一人と飲み込まれていき、あっという間に勝負はヴィンゲガードとポガチャルのものとなっていく。総合3位のゲラント・トーマス（イネオス・グレナディアス）までもが後れを取り、ポガチャル、ヴィンゲガート、マクナルティの3人は、逃げ続けた最後の一人アンドレアス・レクネサンド（チームDSM）を捉え、そのまま下りへと入っていく。驚異的なマクナルティーの引きは、ライバルのエースクラスを一気に撃破、総合トップ10に名を連ねる選手たちは協調して何とかタイムロスを抑える走りに徹せざるを得ない状況となった。

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そしておなじみスキーリゾートのペイラギュードの上りに入るが、3人の体制は崩れない。ポガチャルも仕掛けたいが仕掛けられないのか、結局最後の直線の激坂まで勝負は持ち越された。そしてついにポガチャルが先行してアタック、しかし突如スローダウン、それに合わせてヴィンげがーどが今度はアタックするが、それにポガチャルが対応すると、そのまま一気にゴールラインまで駆け抜けた。ゴール後は珍しく大の字で地面に転がったポガチャル、それほどまでにきついステージとなった。この日最強の走りを見せたマクナルティーが3位でゴール、この日の敢闘賞を獲得した。

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総合では2強に対して皆がタイムを失う展開、総合ではバルデがまた順位を上げたが、総合3位のトーマスが5分近い差となり、総合優勝争いは確実に2強に絞られた感がある。

ツール・ド・フランス第17ステージダイジェスト

ツール・ド・フランス第17ステージ順位
1位　タデイ・ポガチャル（UAEチームエミレーツ）　　　3h25’51”
2位　ヨナス・ヴィンゲガード（ユンボ・ヴィズマ）
3位　ブランドン・マクナルティ（UAEチームエミレーツ）　　　＋32”
4位　ゲラント・トーマス（イネオス・グレナディアス）　　＋2’07”
5位　アレクセイ・ルチェンコ（アスタナ・カザフスタン）　　　＋2’34”
6位　ロメイン・バルデ（チームDSM）　　　＋2’38”
7位　ダビ・ガウドゥ（グルーパマFDJ）　　　　＋3”27
8位　アレクサンダー・ヴラソウ（ボーラ・ハンスグロエ）　　　＋3’32”
9位　ルイス・メインチェス（インターマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー）
10位　ナイロ・キンターナ（アルケア・サムシック）

ツール・ド・フランス総合順位
1位　ヨナス・ヴィンゲガード（ユンボ・ヴィズマ）　　　　67h53’54”
2位　タデイ・ポガチャル（UAEチームエミレーツ）　　＋2’18”
3位　ゲラント・トーマス（イネオス・グレナディアス）　　　＋4’56”
4位　ナイロ・キンターナ（アルケア・サムシック）　　＋7’53”
5位　ダビ・ガウドゥ（グルーパマFDJ）　　＋7’57”
6位　ロメイン・バルデ（チームDSM）　　＋9’21”
7位　ルイス・メインチェス（インターマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー）　　　＋9’24”
8位　アレクサンダー・ヴラソウ（ボーラ・ハンスグロエ）　　　＋9’56”
9位　アダム・イェーツ（イネオス・グレナディアス）　　＋14’33”
10位　エンリック・マス（モビスター）　　　＋16’35”

H.Moulinette