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©A.S.O

完全復活を遂げたファビオ・ヤコブセン（ドゥクーニンク・クイックステップ）、今大会すでに2勝を挙げている男が、自らの復活と、そして誕生日を祝うこれ以上ない最高の勝利を挙げた。あまりの完璧な勝利、チームワークを称賛する男の笑顔に、ドゥクーニンク・クイックステップの強さの真意を見た気がした。

第16ステージはスプリンターステージ、しかも今大会スプリンターたちにとっては最後の本格的スプリントステージだけに、ポイント賞ジャージのヤコブセンが勝利を狙ってくるのは既定路線だった。後はまだ未勝利のライバルたちがそれをどう阻むかが注目された。

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180㎞の長丁場、スタートから予想外の落車が発生する。総合2位のギヨーム・マルタン（コフィディス）、さらには総合4位のエンリック・マス（モビスター）らが巻き込まれ、一気に緊張感が増していく。そんな中で逃げが発生、そのまま容認される形となる。しかしハイペースで展開されるレースに、大きなタイム差を稼ぎ出すことはできず、2分差程度で推移し続ける。

メイン集団はドゥクーニンク・クイックステップを中心としたチームが動き続け、総合リーダーのオッド・クリスチャン・エイキング擁するインターマルシェ・ワンティゴベール・マテリオーはのんびりと展開する一日となる。

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そしてステージ中盤では一躍チームのエースに昇格し、総合12位で奮闘していたギウリオ・チッコーネ（トレック・セガフレド）が落車し、チェーンリングで右ひざに裂傷を負い、涙を流しながらのリタイアとなった。そしてさらに元クラシック覇者のセップ・ファンマルケ（イスラエル・スタートアップネーション）もリタイアとなってしまう。

そしていよいよスプリントへ向けたバトルが始まると、是が非でも勝利を狙いたいマッテオ・トレンティン擁するUAEチームエミレーツは上りでペースアップ、これによりヤコブセンが遅れてしまうこととなる。それでもドゥクーニンク・クイックステップは冷静だった。30秒差のタイム差がついたが、組織力とチームワークでこれを追走、先頭の逃げを捉える前にヤコブセンが合流を果たすと、UAEらの攻めは終了を迎えた。

そして上りを迎えると、結局逃げはすべて吸収され、そして様相は一気にスプリントへと流れていく。ボーラ・ハンスグロエ、グルーパマFDJらが順番に主導権を握る中、残り1.8㎞でドゥクーニンク・クイックステップが先頭に躍り出る。しかし右左と繰り返すカーブに、各選手位置取りに苦戦するが、ここでヤコブセンはゴール勝負への嗅覚を発揮、チームメイトのサポートが終わるとすぐさまアレクサンダー・クリーガー（アルペシン・フェニックス）の背後に乗り換える。

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そしてそのまま一気にスプリントを開始すると、背後から攻めたトレンティン、そしてヨルディ・ミーウス（ボーラ・ハンスグロエ）を余裕で抑えて今大会3勝目、これでポイント賞争い確定に大きな一歩となった。

「誕生日の勝利は格別だよね。天にも昇る心地だよ。僕が上りで脱落したんだけど、我々ウルフパック（オオカミの集団）は僕を待っていてくれたんだ。それで僕は勝つことができたんだよ。僕の仕事は勝利すること、それがチームメイトたちの努力に唯一報いれる結果なんだ。」ヤコブセンはチームの組織力の高さを口にした。

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そしてまたしてもエイキングがマイヨ・ロホをキープ、インターマルシェ・ワンティゴベール・マテリオーにとってはバラ色のような毎日がまだ続いている。

ブエルタ・ア・エスパーニャ第16ステージダイジェスト

ブエルタ・ア・エスパーニャ第16ステージ順位
1位　ファビオ・ヤコブセン（ドゥクーニンク・クイックステップ）　　　4h08’57”
2位　ヨルディ・ミーウス（ボーラ・ハンスグロエ）マ）
3位　マッテオ・トレンティン（UAEチームエミレーツ）
4位　マイケル・マシューズ（チームバイクエクスチェンジ）
5位　アルベルト・ダイニースネ（チームDSM）
6位　ヨン・アベラスツリ・イザガ（カハルーラル・セグロスRGA）
7位　ルイ・オリベイラ（UAEチームエミレーツ）　　＋
8位　リカルド・ミナーリ（インターマルシェ・ワンティゴベール・マテリオー）
9位　アントニオ・ヘスス・ソト（エウスカルテル・エウスカディ）
10位　クレメント・ヴェントゥリーニ（AG2Rシトロエン）

ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位　オッド・クリスチャン・エイキング（インターマルシェ・ワンティゴベール・マテリオー）　　　64h06’47”
2位　ギヨーム・マルタン（コフィディス）　　　＋54”
3位　プリモズ・ログリッチ（ユンボ・ヴィズマ）　　　　＋1’36”
4位　エンリック・マス（モビスター）　　　＋2’11”
5位　ミゲル・アンヘル・ロペス（モビスター）　　　　＋3’04”
6位　ジャック・ヘイグ（バーレーン・ヴィクトリアス）　　　＋3’35”
7位　イーガン・ベルナル（イネオス・グレナディアス）　　　＋4’21”
8位　アダム・イェーツ（イネオス・グレナディアス）　　　＋4’34”
9位　セップ・クス（ユンボ・ヴィズマ）　　　　＋4’59”
10位　フェリックス・グロスチャートナー（ボーラ・ハンスグロエ）　　　＋5’31”

H.Moulinette