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いつの世も、世界最強の称号というのは競技をするものであれば欲する称号だ。1時間の間にどれだけの距離が走れるのか（1時間の平均時速）というシンプル極まりない競技だが、過去には機材革新に拍車がかかりすぎて、機材制限というルールが生み出される結果となった。その為挑戦者が激減、古い記録がそのまま長年にわたり鎮座することとなった。

しかし改革を掲げたクックソン前UCI会長がルールを変更し、それにより再び挑戦者が毎年のように現れることとなった。しかしブラッドリー・ウィギンスが2015年に54.526kmという圧倒的な記録を樹立すると、メジャー選手たちの挑戦がぴたりと止まってしまい、そこからは知名度の低い9人が正式に記録に挑んできた。中でも19才のデンマーク人ミケル・ビヨルグは53.73kmと素晴らしい記録をたたき出してみせたが、誰一人としてウィギンスを超えることはできなかった。

しかしここへ来てついに新たな挑戦者が正式に名乗りを上げた。ロットソウダルのヴィクター・カンペナーツが、ヨーロッパチャンピオンとして記録更新を狙い4月の16，17日にメキシコで挑戦を発表したのだ。

「僕はウィギンスを尊敬しているし、ツール覇者より優れた選手だとは思っていない。でも様々な要素を順番に比較検討していくと、僕にも間違いなく爆記録更新のチャンスはあるんだよ。世界チャンピオン、オリンピックチャンピオンと並んで、アワーレコード記録保持者という称号は、僕が夢にまで見るタイトルなんだよ。オリンピックは来年挑むから、まずはその前に合われコードを狙っておきたかったんだ。」

そう語るカンペナーツは昨年度UCIの世界選手権個人TTで銅メダルを獲得した直後に今回の挑戦を計画、独自にスポンサーも見つけて高地トレーニングを実践してきている。果たして記録は更新されるのか、27歳の挑戦から目が離せない。

H.Moulinette