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2017/11/18 17:45

コラム:シマノという巨人

コラム:シマノという巨人、ツールで機材バトルで圧勝、ツール全ステージDi2が勝利で見えてきたライバルコンポーネントメーカーとの力の差、スラムは北米と女子プロレースを中心に転換


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昨今急激に株価の下落が話題となった自転車界のみならず釣具でも世界を代表するシマノ、もはや独占企業並みに業界を牛耳るといっても過言でもない力を持ったこのメーカーの勢いが止まらない。


『業界の巨人、シマノ ©Tim D Waele 』
今年のツール・ド・フランス、シマノDi2が圧巻の全ステージスイープを達成した。つまりは全ステージで優勝を成し遂げたのだ。もちろんこれは出場チームの中でシマノのシェアが圧倒的に高い事によるところが大きいのは事実だ。出場21チーム中シマノDi2を使用していたのはなんと17チームにも上る。ただその中で正式にスポンサーを受けているのはわずか8チーム、残りの9チームは他のサードパーティ製コンポーネントとのミックスコンポのために正式にスポンサーが受けられないためにカスタマーとして購入して使用している。スラムeTapを使っていたのはカチューシャとフォーチュネオ・オスカロの2チーム、そしてカンパニョーロスーパーレコードEPSを使用していたのはロット・ソウダル、モビスター、そしてUAEチームエミレーツの3チームだった。

チームスカイは正式にスポンサーを受けているが、ツール・ド・フランスを制したクリス・フルームは個人的に一部パーツ(チェーンリングなど)を部外品を使っているが、その強さ故にそれがまかり通っている。結果を残している選手でなければ、まず通常はありえない特別扱いを受けている。

とにかく今年のツールではこのDi2を使っているチームのみが勝利を挙げ、それ以外のチームが勝利を挙げられなかったというのが現実だ。これはシマノの技術力が高く評価されている証でもあるとともに、それだけ信頼性があるという証でもある。

圧倒的な力を握ったシマノは、ロードレース界へのディスクブレーキ導入を大きく後押ししている位が、現状で選手たちからは「必要がない」と言われ続けていおり、思惑が外れている。それでも電動コンポの導入など、常に先陣を切って新しい風を吹き込んできた業界の巨人は新しいマウント規格や、ディスクローターエッジの導入など、新たなマーケット開拓を模索し続けている。ただそこには巨人が故のおごりも指摘されており、「小さなメーカーへのパーツ供給を後回しにするなど蔑ろにしている。」「ユーザーやメンテナンスする側のことを考えない規格乱発」などの声もよく聞かれる。


『カンパニョーロはもはや少数派に ©Tim D Waele 』
これだけでもわかると思うが、現状においてライバルメーカーに開発力と資金力で圧倒的に差をつけているシマノの優位は今後も揺らぐことはなさそうだ。ヨーロッパ主導の男子ロードレースにおいては、これからも間違いなくシマノがその中心となっていくだろう。ヨーロッパブランドの対する憧れなどから、未だにカンパニョーロ信仰というものは根強く存在はする。ただやはり昨今のプロダクトデザインがシマノの後追いをしている感は拭えず、今までのような崇高なイメージは影を潜めてしまっている。現状のシェアと力関係を考えると、カンパニョーロはかなり苦境に立たされていると言わざるをえないだろう。

スラムと言えばレッドを世に送り出した時代にはワールドツアーの半数以上が使用するなど、ワイヤー式コンポーネントでは圧倒的な強さを見せていた。しかし電動化に立ち遅れシェアを失うとワールドツアーチームの中で急速にそのポジションを失っていった。しかしスラムは方向転換、ここ数シーズン盛り上がりを見せる女子プロロードレース、そしてアメリカ大陸でのロードレース、そしてMTB中心に大きくシェアを獲得している。ただしやはりヨーロッパでのシェアを獲得できていないことは、苦しいところだ。最先端技術を駆使しながら個性的なアイディアを盛り込んできているスラムも今が踏ん張りどきかもしれない。

シマノが圧倒的な力を発揮する今、ディスクブレーキの導入はコンポーネント競争の状況を左右しかねないテーマとなっている。スラムとカンパニョーロもディスクブレーキはすでに用意されて入るが、まだどうなるかが見えにくい状況となっている。そんな中でディスクブレーキの導入にかかわらず、新たな商材を求める開発バトルは続いていく。人力競技の自転車競技において、電動の次はオート変速となるのか、はたまたABSになるのか、段々とアナログからかけ離れていく家電化がどこまで進んでいくのかが気になるところだ。

一般マーケットではオート化、電子化は通常の進化として選択肢としてあるべきだろう、しかしプロのレースで、選手の実力差以上に機材が優劣をつけるようなレースになってしまった時にそれを見ていて楽しいと思うだろうか?人力だからこその自転車競技であり、だからこその駆け引きや心理戦が面白く、選手の技量が感じられるから魅力があるのではないだろうか。一時期のモータースポーツがそうであったように、行き過ぎた機材進化はスポーツそのものをつまらなくさせることがあるというのも我々は考えなければならないだろう。

H.Moulinette
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