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2017/5/23 18:29

SCIENCE:DHではどの姿勢が一番速いのか

SCIENCE:DHではどの姿勢が一番速いのか、フルーム、サガン、ニーバリ、パンターニらの特徴的なDHフォームを科学的に検証


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昨今レースシーンでは上りではなく下り、ダウンヒルでのアタックが勝敗を分けることが増えてきている。上りではクライミング能力と体力が試されるが、下りでは度胸とリスクを背負う覚悟が求められる。昨年度のジロ・デ・イタリアではマリア・ローザを着用していたスティーブン・クライズワイク(ロットNLジャンボ)と総合上位につけていたイルヌール・ザッカリン(カチューシャ・アルペシン)が下りでライバル達のアタックに無理をしてついていこうとして落車、それぞれ肉体的、精神的のみならず、結果でも痛い目を見た。

それほどまでに下りの技術は選手によってばらつきがあり、現役ではヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)などが下りのスペシャリストとと言えるほど、圧倒的な速度とテクニックをレースで披露しており、それが勝利に直結するシーンを多く見てきている。


『それぞれのライドポジション ©B.Blocken 』
そんな下りのテクニックを見ていると、選手たちはそれぞれ個性的なフォームで下りをこなしている。そこでオランダのアイントホーフェン工科大学のバート・ブロッケン教授を中心とした研究者たちが、一体どのフォームが一番効率がいいのかを検証した。今回は模型を使った風洞実験、そしてコンピュータ上での数値流体力学(CFD)の2つの方法で算出し、それらを比較検証した上で結論を導き出している。

比較対象となったのは、通常の状態を少し起こした形のカンチェラーラポジション、一般的なダウンヒルポジション、クリス・フルーム(チームスカイ)のダウンヒルポジション、ニーバリのダウンヒルポジション、ピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)のダウンヒルポジション、そして伝説のクライマー、マルコ・パンターニのダウンヒルポジションだ。

まず見た目でわかるのは、パンターニだけが体を後ろに引いた独特の形であり、これは昔はよく見られたが最近ではまったく見かけなくなったスタイルであるということだ。最近では前乗りが主流であり、その中でもフルームのポジションなどは極端で体でハンドルを押さえ込むような形だ。


『風洞実験で各モデルを比較 ©B.Blocken』

『この計算式で弾き出す ©B.Blocken』
まずは模型を使った風洞実験でその空力性能を測った見たところ、なんと一番エアロダイナミック数値が良かったのはパンターニポジョンであり、それに次いでニーバリポジションとなった。フルームポジションの極端な前乗りは空力的には劣り、背中が地面と並行となる一般的常ダウンヒルポジションと大差がないという結果がでた。これだけとってみれば、フルームはあまりメリットのない極めてハンドルさばきが難しいポジションを取っていることとなる。

この風洞実験の結果、カンチェラーラポジションを基準とした時、最も効率が良かったのはサガンポジションで17%速く走れることがわかった。それに次いでパンターニポジションの14%、ニーバリポジションの12%、そしてフルームポジションは9%、一般ダウンヒルポジションは8%という結果がでた。


『風洞とCFDで同じ結果に ©B.Blocken』
そしてもう一つの実験は数値流体力学(CFD)を用いた実験だ。これは説明すると難しくはなるが、これはコンピューター計算で導かれる”空気がいかに滑らかに流れていくか”という数値だ。そして想定通り、この実験で得られた結果は風洞実験のそれと同じだった。

結論から言えば、フルームのあのポジションはリスクが高い割には空力抵抗が良くはなく、その上あのポジションでペダルを漕げば、さらに空力が乱されるのでマイナスになるという結果がでた。

エアロポジションは、各選手が1秒でも削るために本能的に試行錯誤をするものだが、研究者たちは「あの格好であの速度で実験(試行錯誤)をするのはリスキーすぎる、ぜひとも我々に連絡を貰えれば、様々な実験でより安全に良い結果を求めることが出来るだろう。」と語っている。


『それぞれのポジションの比較結果 ©B.Blocken』
”レースは研究室でやっているんじゃない、現場でやっているんだ!”という人もいるだろうが、機材に最新技術を求めるのであれば、そのポジション出しにも最先端技術を求めてもいいのではないだろうか。

Contents and graphic based on:Which cyclist hill descent position is really superior? Froome, Pantani, Nibali or Sagan? The scientific answer. Part 2.
https://www.linkedin.com/pulse/which-cyclist-hill-descent-position-really-superior-froome-blocken

H.Moulinette
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