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2015/12/20 3:50

ASOとUCIの対立

ASOとUCIの対立、ツール・ド・フランスは2017年度より格下げ開催へ、UCI主導の改革に壁、ワールドツアー改革VSレース主催者協会、分裂を招くASOの姿勢に疑問符


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ブライアン・クックソン新UCI体制となっていこう、様々な改革が行われてきた。時に弱気と言われ、時に業界のご機嫌取りをして妥協したと言われながらも、幾つもの変革をもたらした功績は大きい。そして多くの改革案を掲示し、これからさらなる改革を推し進めようという中、衝撃的なニュースが飛び込んできた。先日のディスクブレーキ実質的解禁(年間を通してのテスト解禁)に、プロ選手協会が意義を申し立てたのに引き続き、今度はワールドツアー改革案に対し、ASOを中心としたレース主催者協会が反対の意志を示したのだ。


『変革を求めるクックソンUCI体制 (C)Tim D.Waele』
どちらのケースでもUCIが主導しているために、会議では押し切る形で賛成多数となったことで、問題は思わぬ形へと発展している。ただし、これは必ずしもUCIが悪いわけではない。ワールドツアー改革に関しては誰が利益を得るかという部分で、ASOを中心とした一部主催団体が譲らなかったことが原因となっている。

UCIはワールドツアーの拡大と安定のために、シリーズ戦の収益分配制度(各主催者と各チームに)などを通して、レース界全体を安定させとバランスをとる改革を提案している。そのためにワールドツアーレースの数を増やし、プロツールライセンスは毎年の更新ではなく3年ごとの更新(毎年チェックは入る)とする予定だ。またさらに各チームには放映権などによる分配金でチームの安定運営を促す反面、代わりにより厳しい選手のマネージメントと健康管理(ドーピング防止)を要求する形となる。11のプロチームで構成されるVelon(自転車界の経済的安定性を目標とする共同体)はUCIの改革案にすでに賛成の態度を示している。


『ASOは変革の足かせとなるのか (C)Tim D.Waele』
ASOら順調な運営をしている主催団体がこれに反発したのには大きな理由がある。それはASOの影響力の縮小と主催団体としての収入の減少だ。つまり大きなレースで収益が上がった分は、結局規模が小さく運営費が乏しいレースに分配されることとなる。それは組織が大きければ大きいほど分配で収益の減少となることがはっきりとしており、結果的に主催者のレベルの均衡へと繋がり、ASOの影響力が弱くなることを意味するのだ。また同時に、ASOの考えに賛同していないVelonに所属している11のプロチームにもASOの収益が分配金と言うかたちで配分されることに明确な嫌悪感を示している。その為ASOは2017年度よりワールドツアーの縛りのないHCカテゴリーにツール・ド・フランスを格下げして開催することを決めたのだ。おそらくASOが主催する他のレース、リエージュ・バストーニュ・リエージュ、パリ〜ニース、パリ〜ルーベのみならず、ブエルタ・ア・エスパーニャも同様に格下げしての開催となりそうだ。つまりは自らの収益は自らのものというスタンスを明确にしたのだ。

そもそもASOは2016年度よりのワールドツアー脱退をちらつかせてはいたが、改革案が2017年度より施行されることを踏まえて今回正式に2017年度よりワールドツアーからの格下げを意図的に行うと発表したのだ。これは明確にUCIに対して”ノー”を突きつけた形であり、クックソンの自転車界の改革に刃を向けた形だ。つまりは次回の会長選挙では自らの息の掛かったものを送り込むため、影響力と収益を守るための政治的強攻策に打って出たとされている。

このASOの動きは自転車界を分断へと導く可能性がある。フランスを拠点とするプロチームは原則ASO側に立っており、それに対してジロ・デ・イタリアを主催するRCSとVelonはUCI側に立っている。早急に解決策や妥協点を導き出さねば、自転車界の分裂のみならず、自転車界へのスポンサーマネーの減少につながりかねない案件だけに、今後一年間難しい交渉が続きそうだ。


『ジロ・デ・イタリア主催のRCSはUCIに賛同 (C)Tim D.Waele』
昨今選手会が確実にその存在感と存在価値を高めており、ASOはそれに不快感を示している。そもそも選手たちの為のレース界でありながら、選手主導ではなく業界主導であったのは、企業と労働組合の関係と同じ構図だ。そこでプロチームが共同体となって活動をするVelonが力をつけてきていることをASOは明确に恐れている。


『明确な立場のBMCもASOと対立の立ち位置に (C)Tim D.Waele』
現実としてツール・ド・フランスがワールドツアーから外れた場合何が起きるのか、それは今までのようにプロツール全18チームを招待する必要がなくなり、ASOがどのチームを招待するかの権限を持つこととなるのだ。そうなればVelonに所属しているチームスカイ、エティックス・クイックステップ、BMC、オリカ・グリーンエッジ、ロット・ソウダル、ロットNLジャンボ、ランプレ・メリダ、キャノンデール・ガーミン、ジャイアント・アルペシン、トレック、ティンコフ・サクソ(2015年時の名称)をASOが除外する可能性が高い。つまりは自転車界の分裂を意味するのだ。

ビジネスとして考えるのは当然のことだが、それ以前にASOは今一度、誰のためのレース、誰があってのレースなのかを考えて欲しい。皆が楽しみにしているツール・ド・フランスを、自らが優位であるためのカードとして使うASOの姿には、大切な物が欠けている気がしてならない。

H.Moulinette
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