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2013/3/20 7:31

Steep Steeper Steepest

人が自転車で上れる限界の勾配とは?人は一体どこまで己の力のみで坂を登っていけるのだろう


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ロードレースを見ていて、ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)が得意とする激坂を見ていて、「人間ってどのくらいの坂まで自転車で登れるの?」と思った人は多いだろう。ホアキンはライバル達をあっという間に置き去りにするが、大半のプロ選手は登坂角度が20%を超えると蛇行し、中には止まって降りて押して上がる選手さえいる。プロでさえこのレベルなのだから一般人では当然もっと緩い角度でもまっすぐに上ることさえ困難になり、「もう二度とのぼり坂を登るか〜!」「上りなんて大嫌いだ〜!」と絶叫する羽目になるのである。


『ティレーノ第6ステージの激坂 ©RCS Sports』
実際のレースでは瞬間最大勾配が30%弱ぐらいまでのものがあり、その多くで選手たちがまるで止まっているかのように思えてしまう。まずはここでこの斜度に関して考えてみよう。道路では通常%表示が使われる。これは度数とは違うのだ。つまり例えば斜度15%であれば8.5度となる。これがどのようにして計算されるかというと、水平距離100mに対して、垂直距離何m上がるかで計算をする。例えば水平100mに対して垂直1m上ればそれが1%(0.6度)となる。現実には存在しないが、100%は45度の傾斜となる計算なのだ。

つまりブエルタ・ア・エスパーニャでホアキンがライバルを置き去りにした激坂28%は15.6度となる。日本で言えば富士あざみラインは最大勾配が22%なので12.4度となる。

ある物理学者がこれを計算式で計算してみている。これはあくまでも実証実験ではなく、物理の法則を当てはめての計算である。それでも面白いのであえて見ていこう。条件は空気抵抗がない状態で凹凸のない完全平面の路面、均一勾配を一定のエネルギー出力で登坂できるかというものだ。そこに接地点である前後のタイヤの摩擦係数や重力などを加味した上で計算されている。しかしエネルギー出力は、あくまでも常時同じ出力が疲労などなしに産み出され続けることを想定している。つまりは機械的出力ということだ。

計算は西洋人体系をベースとし、平均的な体重75kgでプロスポーツ選手が生み出す300ワットが常時エネルギ-出力として産み出され続けるという条件下では、最大登坂角度最大勾配80%、角度にして38.7度となる。おおまかに言えば三角定規の一番鋭角な角度プラスαぐらいと考えればいいだろう。雨が降り路面が濡れていた場合には、その最大登坂角度は45%、角度とにして24度となる。

しかし先にも述べたとおリ、これはあくまでも物理学者の計算でしかない。実際には人間は疲労が筋肉にたまり、出力は登り坂では著しく低下していく。そして体を揺らすなどの動作でもエネルギーは逃げていく。それを考えれば到底80%などという斜度は登れないだろう。

また傾斜%と必要エネルギーは比例しており、単純に%が倍になれば必要エネルギーも倍になる。また路面には凹凸があり、その舗装素材によっても路面の摩擦係数には変化が生じる。これらのことを踏まえて現実的に考えれば、健全なロード選手の最大登坂可能傾斜はその半分弱程度の35%、角度にして19.3度が妥当なところだろう。濡れた路面の場合は単純に学者のはじき出した数値の半分弱20%、角度として11.3度ぐらいだろう。


『世界最大勾配のボールドウィンSt.』
どちらの数字もあくまでも平均的な選手の話しであり、昨日のティレーノ・アドリティコでの第6ステージでは雨の激坂で瞬間最大勾配28%という激坂をトップクラスの選手たちは後輪をスリップさせながらも巧みに上っていった。トップクラスの選手にはエネルギー効率以外に経験値と技術というプラス要因があるため、濡れた路面でも瞬間的な勾配であれば辛うじて登り切ることができた。多くの選手が実際にここの坂は降りて押す羽目になったところを考えると雨の日の20%前後というのは妥当な数値だろう。

健全なロード選手の最大可能登坂勾配35%はギネス記録の世界最大勾配の道路(瞬間勾配ではなく一定距離のある勾配)と同じ数値であり、激坂男のホアキン・ロドリゲスや世界のトップクライマーであればもっときつい角度も登れてしまうだろう。ただし今現在レースコースとしても、生活用道路としてもはそんな激坂は存在しないが、もしあるのであれば是非とも世界のクライマーたちに挑戦して貰いたいものだ。

日本は山の多い素晴らしい国だ。レースに使われるコースでなくとも激坂はそこら中にある。今週末辺りどこかの峠道で自らの脚を試してみてはいかがだろうか。

H.Morine
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