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2009/7/11 22:12

ツール・ド・フランス2009 stage7 カーマイケル・コラムVOL.7

ランスが登りで好走、その理由は減量にあり


集団内を走るランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)
『集団内を走るランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)』
12ヶ月前、ランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)が現役復帰、特にツール・ド・フランスへの参加について話し始めた時、私が最も気になっていたのは登りでの走りではなかった。彼の体重を心配していた。今年のツールのルートを最初に見た時、第7ステージが“最後の審判の日”になると思った。これは、ツールの総合争いの行方を決めるステージになるという意味ではない。ランスがイエロージャージの有力候補選手たちと渡り合えるか、どうかが分かるという意味で、そのためには減量が必要であった。

ランスにとって体重面で最大の問題だったのは、2008年7月の時点で上半身に多くの筋肉がつき過ぎていたこと。彼は36歳の引退した選手としては十分に細い身体だったが、それでも現在ほど締まっていなかった。しかし、彼はツールに向けて7kgを落とした。その内、脂肪は2kgから3kgで、あとは1年をかけて4kgから5kgの筋肉を計画的に削っていったのだ。

ランスが最後に短期間でまとまった筋肉を落としたのは、癌にかかり化学療法を行っている時だった。誤解しないで欲しいが、私は彼が癌を患って幸運だったとは思っていない。だが、現実を見ると、ランスが彼の人生においてここまで多くの筋肉を落としたのは、癌との闘病生活を送っていた時以来だった。

私を含めランスの現役復帰に関わる全ての人々にとって、これは大きな挑戦だった。アスリートが、筋肉を削るのは簡単なことではない。特にランス・アームストロングなど、トップ選手たちは、短期間でまとまった筋肉を自然と身に着けてしまう。これは、彼が激しいワークアウトからすぐに回復できるのと同じ類の遺伝子的な特徴だ。引退している間、彼はトレーニングを重ねる毎で、上半身に筋肉をつけていった。そのため、胸、肩、腕の筋肉を落とすため、多くの時間、自転車に乗る必要があった。

選手がワークアウトを行いながら、同時に筋肉を落とすには、魔法のような即効性のある手段はない。また、食事を取らず空腹にさせることも出来ない。何故なら、有酸素状態でのパワーを鍛えなおすトレーニングでは、栄養をしっかりとる必要があるからだ。私たちが出来るのは、トレーニングを多く積むことにより1週間、1ヶ月と継続してカロリーが不足している状態に耐えられる身体を作ること。ただ、この方法には大きなリスクもある。ランスは過去に、数キロの減量のため、短期間カロリーの摂取を抑えていた。しかし、数キロの筋肉を落とすためには、より多くの間、カロリーの摂取を制限しないといけない。これはどんな選手にとっても強い決意を求められるものだ。だが、私はランスの減量への強固な決意を疑ったことはない。

人生の半分以上、プロアスリートの生活を送ることで、ランスは、ただ好きなものを取るだけではいけないと食事に楽しみだけを求めなくなった。私は、キャリアの序盤から、各選手がこのように食事に気を使うべきだと考えている。ランスのように、選手たちには通常の生活を送っている時でも、自分のカロリー摂取を調節することを学んで欲しい。

冬と春を通して、ランスの体重は徐々に減っていった。これは5月のジロ・デ・イタリアに出場している時も変わらなかった。この時点で、彼がモナコでのツール・ド・フランス開幕前、目指す体重には達しないかもしれないと思っていた。ジロ・デ・イタリアでの激しく、過酷な戦いが、減量の助けになることは分かっていたが、彼はこれまでツールの準備として同大会に出場したことがなかった。そのため、実際、アームストロングがどれだけ減量できるのかは分からなかった。だが、ジロ・デ・イタリアで必要とされていた最後の数kgを落とすことができた。ツールの前までに2kg体重を減らして、これまでと同じ72kgで開幕を迎えることを目指していたが、実際には目標より、さらに0.5kg余計に落ちていた。

メイン集団から飛び出したアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)
『メイン集団から飛び出したアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)』
メイン集団がゴール、先頭カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)
『メイン集団がゴール、先頭カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)』
フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)
『フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)』
マイヨジョーヌを奪取したリナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)
『マイヨジョーヌを奪取したリナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)』
私は、今年のツール第7ステージを長い間、待ち望んでいた。そして、ランスが見せた走りに満足している。彼はイエロージャージの有力候補たちが集う集団で、気分良く走っているように見えた。アスタナの同僚アルベルト・コンタドールがアタックした後、カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)、アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)の抑え役をこなした。1ヶ月前、私はもし、ランスがまだ1kgか2kg、重いコンディションで第7ステージを迎えてしまったら、おそらく優勝候補たちから1分は遅れるだろうと考えていた。だが、今日のランスは、チーム力学から無関係に飛び出したコンタドールからも大きく遅れることはなかった。

現時点で、私はランスの走りにホッとしており、今後の活躍を期待している。ツール・ド・フランスへの復帰にあたって、彼は減量によって粘り強さが増した。そして、今日の走りは、彼がアスタナチームにとって大事な存在であることを示した。ランスが代表的な山岳ステージで先頭グループを走ることにより、アスタナはより多くのカードを揃えることになった。これはカデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)、カルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ・テストチーム)、アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)、クリスチャン・ヴァンデベルデ(アメリカ、ガーミン・スリップストリーム)といったライバルたちを不利にさせる。

最後に、ステージ優勝を果たしたブライス・フェイユ(フランス、アグリチュベル)、総合トップに立ったリナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)と2人の新星におめでとうと言いたい。彼らは共に逃げを行った9人のグループにいた。そして、フェイユは最後の登り集団から飛び出し、キャリア最大の勝利をあげる力を持っていた。ノチェンティーニの走りも素晴らしく、コンタドールをわずか6秒だが上回り、総合1位に浮上した。

By Chris Carmichael
translation:Eiichi Suzuki
photo:(c)Tim De Waele
News Commentator
1  コメンテーター: soramimit  コメント日: 2009/07/13 09:58:50
トレーニングと食事制限、そして実際のレースを経て、きっちり体調管理が出来るところに、
ランス・アームストロングの衰えることのない強さの秘密があるのだなぁ。

エヴァンスもA・シュレクもサストレももう少し諦めてるんじゃないかなぁ。
コンタを追えば、ランスが付いて来る。
コンタがトラブったら、ランスがまた本気の本気で牙をむくだろう。

6秒だけプレゼントしてゴールするブリュイネールの戦術と、
それをいとも簡単に実現してしまうコンタドールも恐ろしいほど。

最後まで、コンタとランスの二人から目が離せないっ!
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